第7話  見えない同居人

それからしばらくは、これまで通りのやりとりが続いた。

朝、起きたら朝食とお弁当が用意してあり、かえではいない。


まだ、温かいという事は、時間は経っていない。


いつものように、メモ書きがある。

最近は、互いの近況報告も書く事になった。


かえでが何の仕事をしているのかは、わからない。


そして、帰宅したら、晩御飯が用意してあり、かえではいない。

でも、温かい。


さすがに、風呂だけは僕が自分でわかしているが・・・

かえでのために夜食を作っておき、よく朝には奇麗に洗われている。


かえでと違い、料理は上手くないので、栄養のバランスまでは頭が回らないが、

なるべく、色のついた野菜を多く出している。


かえでと共同生活するようになり、最近になり気付いた事がある。

それは、僕の預金通帳に、サクラカエデの名で、振り込みがされている。


その事をメモに書いてみた。


【冥くん


やっと気がついた?

遅いよ・・・なんてね・・・


私も一緒に生活してるんだもん。

私のお小遣い分は頂いてるけど、後は振り込んでいるからね。


じゃあ、これからもよろしくね。


あっ、そうそう。

これからは、かえでさんでなく、かえでと言ってね。


じゃあ、がんばって


かえで】


かえでに対する疑心暗鬼はあったが、最近は薄れて言っている。


現実に存在することは、間違いないが・・・

いつになったら、会えるんだ?


以前、「まだ、わからない?」と書かれていた。

ということは、知っている人間だ・・・


僕には彼女はいない。

現在完了形で・・・

(かえでを除いた場合)


疑うわけではないが、会社の女の子の字とかえでの字を、筆跡鑑定してもらった結果、全員が、別人と判明した。


つまりこれは、かえでの字。


一体、いつになったら会えるんだ・・・



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