第4話  すれ違い

自室にこもり、僕は眠い目をこすりながら、起きている。

学生時代は、寝る間を惜しんで深夜ラジオを聴いていて、よく採用された。


でも今は、そんな時間があれば、寝る。

完全に退化している。


しかし、何としてもつきとめる。

かえでと名乗る、女の子の正体を・・・


どれほど、待ったか・・・

物音ひとつしない・・・

透明人間か?

いや、それなら物音くらいは立てるだろう・・・


幽霊?

いや、それなら家に入れない。

念のために、玄関にお清めの塩を置いておいた。


うとうとする。

「寝るな」と、自分に言い聞かせる。


だが、いつの間にがうとうとし始めた・・・

そして・・・

「いかん、いかん」

自分で自分の頭を、叩く。


ふと時計を見る。

日付が変わりかけていた。

「顔を洗ってこよう」

そして、台所へ行った。


もし、あのかえでという子が帰っていないのなら、夜食はそのまま

それを確認する意味もあった。

で、台所へ着くと、夜食はなくなっていて、食器は洗われていた。


「えっ、ウソだろ?」

食卓には、メモ書きがあった。


【冥くん


ごちそうさま

夜食美味しかったよ。


今日は、これからまた仕事だから、出かけるね。


夜更かししないで、きちんと寝てね。


かえで】


気がつかなかった・・・

いつの間に・・・


「そうだ。部屋・・・」

彼女が寝泊まりしているという部屋に行く。

ドアを開けると、服が何着か、ベットの上に置いてあった。


選んでいたようだが・・・

えっ、またメモ?


【冥くん


まだ、わからない?

でも、もうすぐ会えるよ。


君の会えるのが楽しみ・・・

腰抜かすよ・・・


あっ、私は女の子だからね。生身の人間の・・・


かえで】


翌日、朝起きたら、いつも通りだった。


僕は警察を呼んで、調べてもらったが、

盗聴器や怪しい物は、出てこなかった。


ちなみに、アパートなので屋根裏部屋にもない。

両隣りや、上の階下の階の部屋とも、隠し扉のない、普通の部屋だった。


会社に電話を入れ、今日は休む事にした。

見張っていよう。

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