第19話:熱海芙蓉会の誘い
その後、冬、暖かい熱海のマンションで過ごし、春まで風邪に気をつける様に
心がけた。やがて4月になり、加納夫妻のカラマラン・クルーザーヨットで、
釣りを初めて、毎週、釣り三昧の日々を過ごし、東京銀座、日本橋、橫浜、元町、
中華街をぶらついて、土日は、家にいて、火曜は、釣りに、木曜日は、東京か横浜
へ出かける生活を始めた。そうして、加納夫妻が、石津の奥さんが退職したのを知
ってから、熱海芙蓉会という、富裕層の会合に誘ってくれ、毎月第二、四の日曜の
昼から5時まで、熱海のホテルの景色の良いホテルのレストランで、昼食をとって、
大きな宴会場を貸し切って、カラオケをしたり、いろんな話をして、仲間同士の
親交を深めていた。
メンバーは総勢で56名で、半分程度が夫婦同伴で、その他は1人で、連れ合いを
なくした富裕層の人が多かった。4月の第2、4日曜日に、加納夫妻が石津夫妻を
同伴して、熱海芙蓉会の仲間に、紹介してくれて、石津夫妻が自己紹介をした。
奥さんが看護婦さんをしていたと言うのが話題になり、中高年が多く、多くの
病気の相談をされるようになり、いろんな面で重宝がられるようになった。その他、
石津健之助は、釣りの名人という紹介であったために、加納夫妻のカラマラン・
クルーザーで、釣り同好会を開くようになった。
石津三千子さんは、医療相談で、病院の紹介や、何科にかかったら良いかとか、
生活指導とか、毎回、数グループに呼ばれ、人気者になった。いろんな有益な情報
を、教えて上げると感謝されて、高価な土産をもらったり、商品券をいただいたり、
その後、お中元、お歳暮も増えた。
その中に、井上達弘さんと井上慶子さんの夫婦が、春と秋に、ハワイの別荘に、
1ケ月程、行くのですが、一緒に行きませんかと誘われる様になった。奥さんの
井上慶子さんが、リウマチで困っているという話で、国立相模原病院を紹介して、
リウマチの痛みの症状が、すっかり楽になったと、感謝された。井上夫妻は、
自分達が、ハワイに行かない1997年4月と10月以外は、熱海芙蓉会の仲間に、
1週間単位で別荘を格安で貸している様だ。また海外長期クルーズに行きませんか
とか、ラスベガスとか、フロリダ、マイアミ、スイス、イギリスなどの旅行も
企画しているようだ。
そして有名な旅行会社の方が、毎回、土産を持って。参加し、ツアーのパンフ
レットを用意して、クルーズや、ビジネスクラスの豪華海外旅行の募集もしていた。
そして6月12日に、そのツアー会社の方から、石津三千子さんが呼ばれ、透析
患者さんとのツアーとか、心臓病の方のツアーなども企画しているのだが、時間が
あれば、給料を払うから、ツアーに参加してくれないかと誘われ、契約条件を
書いた書類を渡され、是非、検討して下さいと頼まれた。家に帰ってから、石津三
千子さんから、その話を聞いた、石津健之助は、悪い話じゃないから、自分が行き
たい所だったら行ったら良いと、助言した。そうーね、自分が行きたい旅行が、
無料というか、給料をもらっていけるなんて、夢のような話だから、良いかもねと、
笑いながら、奥さんも同意した。
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