2月21日

像を

呼び込む ために

手当り 目に映る

物の名を

――くちずさむ

いくつ

   も

    いくつ

   も

足早に

   くちずさ

  む

口籠

  り

   雨森

 水紋

   たて

 たつ

たつ   たて

  たて

       たつ

たて  たつ


たつ


たつ


たつ



目面

もくめん/めも

目紋

もくもん/めもん

にうつす



望月遊馬『水辺に透きとおっていく』の冒頭の詩を、昨日は久しぶりに目に映した。この詩の行分けはどんな意味をもつだろうなどと思っている。



干渉してしまうことをやめられない

世界から

分子が

盗まれて

実るこの

人体だから


あるかぎり

世界から失われている

分子の分

世界は空白をもつ


罪深い

存在

ある

という罪

あることは そのまま

罪の実り なのだと

心得て

あることを

ないことへ

差し向けたかった

みんな豊かな不毛に帰すればいい

ないことは

光るようにやさしく

あることを刺してくるから痛い

あるという痛みに耐えかねて

ないことへ

人体を

世界も

ないことへ 差し向けたかった


無に帰す夢にキスする傷跡

純潔の無につく

あるという傷口

傷口はない

なくてあることへ

無は傷ついている

無なんてない

と呼気で気流を乱す

山腹の緑に一条の

煙がすくすくと昇っている

山積したあることが

ほどけているのだ

煙は人体のように凍ることなく

次々に

ないことへと

あることを

ほどいていった

そのように

無なんてない

と灯した火は

気流に絶えた 声は

絶えられると

人体で

羨ましく思っている

それでも


一条の無に帰す傷は

あかあかと

燃える

あるだった

声に照応する

あるだった

あかあかとある煙の一条は

中空で散る前に

湖水に一石を投げかけたのだった

燃焼する

焼尽しても 干渉する

こと

  を もの

      は やめられなかった

逆さまに無の頬を伝う涙だった


やめられない

あることを

やめられない

とあきらめてもある

あることのそれぞれは

明かり

全存在に射す

太陽だから

刺す

いることによって

いぬことによって

だから

いつか

無に帰す

希死のある風景も

既死そのままの風景だった

ねえ

確率の海 そのある波と

またある波の

別はないのだね

すべて是なのだね


と問えば確率の

ウ/ム

が聞こえた



水面の一枚がゆれると

別の一枚がゆれる

別の一枚がゆれると

さらに一枚がゆれる

水面から水面へ

水面の層が転写したり遊離したり

景色を交わす

邂逅と別離をめくるめく

多層構造の

水面がゆれている



ヒューム



テーマを語りながらそのじつ私情を語ってる、ってある。私の場合高村光太郎の智恵子の扱いに不満がある一端には、中学時の先生の言葉と、野田秀樹の脚本『売り言葉』の影響が大きいとはいえ、光太郎に私自身が同化する部分があり、自己嫌悪の現れとして光太郎に託してそうした自分を捨て去りたいのだ。



脱け殻を

自らに感じたとき

この感じが

大人になるということだろうか

趣の彩色を漂白してしまってこれが

と思うと

湯の沸き上がってくる気配が

身中に起こって

もう何もかも価値のない

つまらないものと思うのだった

更地に建てられたバベルの塔よ

尖った塔頂は神をは指さない



明日からぼくもアスコルビン



やるべきことをするために、動いてきたのに肝心の、やるべきことをおろそかに、のらりくらりと戻ってくる、戻ってみるとはたとして、やるべきことを思い出し、やるべきことへとうごくのに、やるべきことをまたおろそかにする堂々巡りをどうしようもない



記憶がすっこんすっこん抜けるから、行動も思考も会話もすっとんきょうなんで、ただでさえ低い自己承認感に拍車がかかってよ、はなれればいいものを行動も思考も会話も好きでしたくてしょうがない衝動が掻きむしられて、自ら自己承認感削っ削っ



現実逃避のハイウェイ



人の話をきくと、自分の好きなものへの引き寄せのうまさ、というのを感じる。それはたぶんおおよその人がやっている。勝手に連想が働いている。高校のときは私もそんなだったと思う、会話に困難は感じていなかった。言葉に記憶のページへのハイパーリンクがあったんだな。実感のある記憶がないのでない

だから人は人と話すのが楽しそうだが、私と話すと話に窮しているふうに見えて、心苦しい。自分の問題でしかないんだわ。


現場に会社の人来てたから、気分が落ちている現在。



湖上は世俗を離れる歌という印象

心中の誘いととった方もある

なるほど心中

また距離を隔つ恋人が

唯一の月によって仮の逢い引きをするためにしたためた手紙

とも思う



北海道、震度6

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