第9話 監察医の見解

 ホッパー警部は首をすくめて立っていた。寒さと、それからライトと一緒にやってきたサミュエルに対しての態度だった。

「そう、嫌そうな顔をしないでくださいよ」

 サミュエルの美人顔がそういうのを、「そうは言いますがね」と言いたそうだった。

「監察医のジョーです」

 監察医が今月末で定年退職となるので、代わりに入ってきた男だ。老監察医は今は彼を指導するために残っていて、彼は、三か月前からいると言った。

「一応、任されているので、あ、一応、いろいろと身分とか、話も聞いてますけど……、ここは、私たちの、」

「もちろん、ここでの王様はあなたたち監察医ですよ。僕の好奇心は単なる個人的なもので、一応、知り合いがあなたたちのだというだけです。この二人は僕の秘書と、助手。ととらえてください」

 サミュエルの言葉にジョー監察医は「そういうことなら」と遺体のそばに立った。

「連続殺人事件だという証拠はありません。ただ、この二体はミイラ化しているので、同時期かと思われます」

「例の連続殺人は、去年の夏あたりでしたっけ? なぜ連続殺人だということになったんでしたっけ? そうそう、凶器のナイフだかが同じようなものだということでしたっけ?」

「まぁ、新聞ではそう書いてもらってますよ」ホッパーが嫌そうに言い、「一応、文屋にも言ってますがね、大事なものが無くなっているとね。まぁ、ブローチだとか、口紅だとかも無くなっているので、それは公表してます。しかし、大事なことは公表してない。おい、ライト、お前も書くなよ」

「解ってますよ。ガルシア卿と一緒の時には書きません。誓いますよ」

 不服そうなライトに鼻を鳴らし、「臓器っていうやつですか、あれが無くなっているんですよ」

「臓器というと、心臓とかですか?」

 サミュエルが眉を顰める。エレノアは検視台にある遺体の、その異様さにくぎ付けになっていたので、ロバートがそれを遮るようにエレノアの前に立った。

「まぁ、そうです。最初の二体は心臓、次の三体は心臓、肝臓、すい臓、腎臓、まぁ、胃と、腸以外ですね。次の二体が肝臓と、子宮です。これが去年の初冬までの事件ですね。そして、今月に入って二体が、肝臓だけです。

 という点を見ると、この二体とははるかに毛色が違います。この二体は血液を抜かれているが臓器は抜き取られていない」

「凍傷の跡があったそうで?」

「ええ、内臓が凍ってましたよ」

「人が凍ると、こう、干からびるんですか?」

「さぁ、実験をしたことがないけれど、でも、体液を抜いた後でなら、可能ではないかと。ただし長い時間がかかるでしょうね」

「では、この死体はかなり前に殺されたと?」

「そうでしょうね」

 サミュエルは腕を組み、枯れてしまっている遺体の腕や足を眺めた。

「どう思う?」

 サミュエルがロバートのほうを見る。ロバートの後ろで口にハンカチを抑えているエレノアがそらしていた顔を向けた。

「なぜ、体液を抜いたんでしょう?」エレノアが頑張って言う

「ミイラにする気だったかのかもね」ジョーが報告書を書くためこちらに背を向けて机に向かい、軽く答える。

「でも、ミイラって、内臓を取り出さないといけないんでしょう? 体液だけっていうのはおかしくありません?」エレノアの言葉にジョーが振り返る。

「そう言われると……。

 本来ミイラを作るにあたって残しておくべき臓器は心臓だけのようです。心臓にはその人そのものが宿ると言われているようでね。それ以外はとにかくすべて排除していた。脳も。だが、あ、こちらの首から上は川底のどこかだろう、こちらは脳はそのままあった」

 そう言って椅子型のほうを指さした。

「そうなると、エレノアが言うように、なぜ体液だけを抜いたのか。ということが疑問になるね。もしかすると、体液を抜いて、他の臓器を抜く前に手放したか?」

 サミュエルの意見にロバートが首を振り、「いや、だってそれじゃぁおかしいだろ? 体液をすべて抜くほうが時間がかかると言っていたじゃないか。それこそ、ミイラを作るのならば、すべて出しそうなもんだよ」

「では、体液の使い道を考えよう」サミュエルの意見に、ロバートとライトが同時に、「使い道?」と聞き返した。

「何かに使わなければ、手間のかかる作業をわざわざするかね? 体液、つまり血液を何に使ったか?」

 全員が黙って思考する。

「今から数百年昔には、不老不死の薬として処女の血を飲むという金持ちが居たそうだ」ジョーが言い、首をすくめ、「吸血鬼伝説だよ」と半ば笑いながら話す。

「どうした訳だか、僕の家にはこういうくだらないなどの本がたくさんあってね、その中でも僕はこの吸血鬼伝説が好きなんだが、ご存じない? まぁ、貴族の方々には無縁の三流オカルトですよ。でもね、この中で、

 無作法を行ったメイドを鞭で打ち伏していたところ、娘の柔らかい皮膚が切れ、そこから飛び散った血がこともあろうに夫人の腕に付いた。夫人はその汚らわしい血を急いで拭いたところ、血が付着していた皮膚が信じられないほどの艶をよみがえらせたのだ。

 夫人はもう一度メイドを打ち付け、滴り出た血を手ですくい、それを腕に塗ると、腕は若さを取り戻したのだ。

 ここまでくるともう解ると思われるが、夫人はメイドから血を絞り出し、その血で作った風呂に入り、その血を飲んだ。という伝説だ。

 もし、体液をすべて抜き、その体液で何をするのかと聞かれたら、私は風呂にでも入るのだろうというね」

 ジョーの言葉にエレノアがロバートの背中に縋って顔を伏せる。ロバートはそのエレノアの肩を抱いて、それを支えた。

「では聞くが」サミュエルが口元にこぶしを持って行った「風呂に入るほどの血を一人でまかなえるのでしょうか?」

「あー、」ジョーが唸り、「無理ですなぁ」と頭を掻いた。

「二人だとしてもおおよそ足りないでしょうね」とサミュエル

「ですね」

「では、風呂でないとしたら、飲むためでしょうか?」

「飲む……まぁ、無いことではないでしょう、この本の夫人は飲んだそうですからね」

「人一人の血を、一気に飲めますか?」

「……味のことを言っているのですか? それとも量?」

「両方です。どれほどの量があるのか解らないが、僕だって子供のころには外で駆けずり回って、腕やひざなど擦りむいたことはありますよ。血がにじんで、手近にある舌で舐めとったりしたけれど、お世辞にもうまいとは思えなかった」

「まぁ、血液を好ましいと思うことはほとんどないでしょう。牛や馬の肉でも、血の滴っているものはどこか臭い。あれは血が酸化して出るいわいる腐臭です」

「いや、そう言われると食べる気が」ロバートが苦笑いを浮かべる

「まぁ、こういう商売をしていると、平気になりますけどね。

 とにかく、人の体液を飲み干すには忍耐と努力が必要だとは思いますね」

「では、その苦痛を押してまで欲しいという人は居ると思いますか?」

 サミュエルの言葉にジョーは黙った。かなりの時間が過ぎた。

「居ると、思います。ええ。居るでしょう。ただしそれは飲むため、不老不死とか、そう言ったおとぎ話ではないですよ。…………まだ、成功例が少なく、危険な方が多いので、学界でも信ぴょう性の問題として世間的に公表していませんが、大きな手術時に輸血を行うというやり方です」

「輸血? ですか?」

「そうです。手術を行う際に血を足すんです。

 今はまだ不治の病がたくさんありますが、その技術が進めばそれらは完治する病気になりえるのです。例えば、長時間の末、悪性なものを切り離す手術が、輸血により可能になるのです。ただ、そうするためには大量の血液が必要です。しかもな。血液はすぐに酸化し、凝固します。そうでないと、傷口からいつまでも血が出てきますからね。それを防ぐ手段を今開発中だと聞いています」

「では、大量に、その血が手に入る状態、例えば、人を括り付け―もちろん生きた状態です―そして手術を行う。ずっと輸血をし続ける。ことは可能ですか?」

「献血者は死亡してもいいということであるならね。ただし、問題があります。手術中にどれほどの血を出すかは不明だということ。もう一つ、これは患者の命にも関わってくることですが、血液型というものがあります。

 ジョーの言葉に他よりも静かなこの部屋がさらに静かになった。

「この二体の血液型は同じでしたか?」

 サミュエルの声がやたらと響く。

「この状態なのでね、詳しくは、」ジョーの顔が歪んだ。

「では、臓器を取り出されていた被害者たちは?」

 サミュエルの意外な言葉にホッパーが反応した「何を言ってる? さっき言っていたじゃないか、別件だと、」

 サミュエルは笑顔を向け、ジョーに「どうです?」と聞いた。

「さぁ? 調べていませんが、……調べてみましょう。この二体とは別だとして、なぜ臓器を取り除いているか気になりますしね」

「そうです。ではこの件―なぜ臓器を取るのか―も考えてみましょう。胃と腸以外の臓器を取り除く理由です。えっと、ミイラは心臓に個人が宿っているのでしたね? では、なぜ心臓を取らなくなったのか?」

「個人は欲しくない?」ロバートが言う。

「そうだと思うね。では、多く取り除かれているのは?」

「肝臓」

「先生、肝臓はどういった機能があるんですか?」

「え? 肝臓? 肝臓は」

 腹を切り裂かれた女性の死体は無縁墓に埋葬される準備が整っていたらしく、搬送されるように棺桶に入れられていたようだ。ジョーはその死体から何やら取り出してきて、試験管にそれを入れ何やら施してから、

「えっと、なんでした? あぁ、肝臓? 肝臓はですね、いろんな機能を備えている臓器で、人間の臓器の中で一番大きなものです。血液をためていて他に送ったり、免疫を高めたり、まだまだいろいろと機能解明がされるでしょうね」

「例えば、血をすべて抜くのに、二日かかる。しかも、初日の午前零時にスタートしたとして、その最初の一滴と二日後、最後の一滴では、鮮度も味も違うだろうね? だが、肝臓を一つとれば?」

「……そりゃ鮮度は良いでしょうね、切り刻めば食べれないわけじゃない」

「輸血のように違う血液を食べて死にますか?」

「……、あなたはいろいろと無謀なことを聞きますね。ですがね、牛や豚のレバーを食べますよね? 血液型は違うでしょう。種族すら違う。腹を下すだろうが、加熱処理を十分にすればたいていの人は大丈夫じゃないか?」

「では、この二体も同じ目的だとしたら?」サミュエルの言葉に唖然とする。

「いや、でも、方法が、」

「僕の記憶が正しければ、確か、臓器にも血液が循環しているという論文が年が明けてすぐに出たと思う。それからしばらくして肝臓が臓器で一番大きくて、血液の貯蔵量が多い、という論文を冬の初めに読んだ気がする。違いましたか?」

 ジョーが本棚を探し、「確かに、血液は臓器を循環し、心臓がそれを運ぶポンプの役目をしている。という論文は一月。肝臓については十月の出版ですね」と言った。

「それ以前に、血が必要だった―何かしらの理由で―大量に必要だとしたら、単純に考えて血を抜くことをするだろう」

「だが、さっき君が言ったように鮮度が変わる」

「味もね。だから、二体で辞めたんだろう。どうにかして新鮮な血が欲しかった。そこで論文が出た。犯人にとっては願ってもない情報だったと思うよ。そしてまず考えた。心臓というのは古来から重要なものだ。心臓を一突きされれば死ぬのだから、きっと、他の臓器よりも重要だと考え心臓を取った。

 だけど、心臓は食するには血液が少なかった。もしくは、体液ほど味がしなかった。まぁ、とにかく、心臓だけでなく、他の臓器全てを取って味比べをするしかない。だから、一緒くたに臓器を取った。そしてそれらすべてを。どの臓器に一番血があるかなんて、測って解るものじゃないだろう。心臓より小さな臓器の方が味が濃ければ、血液が多いと感じるだろうからね。さもなければ、胃以外の臓器を取る必要がないからね。

 そして十月の論文。肝臓に血液が集中する。だから、肝臓を取った」

「子宮は?」ロバートが臓器リストを見ながら聞く。

「……解らないねぇ。子供が宿る場所だという以外、たしかにお産で出血はするが、それは子供が居てこそだ。あ、あぁ……だが、その、月のものがあるからね、」ジョーが言い難そうに言った。

「ともかく、この犯人は、血液が欲しいようだ。目的は解った。血が欲しいのだ。

 では、その手段だ。え? 犯行理由? なんとも考え付かないが、理由は旨いと思ったか? 僕は、人の臓器などを食べたいと考え付かないからね。解らない。いずれ、解るだろうよ。

 とにかく、手段だ。それを考え付けば次が防げるかもしれないからね。

 血を集めるもしくは、肝臓を集めるためにどうするか。血液型の件を知っているか不明だが、とにかく肝臓提供者を探すしかない。夏頃は娼婦がほとんどだった。手あたり次第、安い女たちだ。だが、冬が近くなってくると、職業もまちまちだし、選んでいるように感じる」

「人によって味が変わるのかな?」ロバートの言葉にサミュエルが片方の眉を上げる。「いや、人は同じではないから、食べ物も、生活習慣も、違うだろ? だからだよ」

「味はどうか不明だが、選ぶという点でなら、血液型で選んでいる。と考えてもいいのじゃないか?」ジョーが言う。「今はまだ二人分しかないが、他は掘り起こせばまだ解るかも。解るかなぁ? とにかく、二人は同じ血液型だった」

 そう言って検査し終えたものを見せた。「詳しい話は省きますが、左から順に、A型。B型。O型。AB型。となります。このAB型はつい最近発見され、この検査薬も届いたばかりの最新なものです。

 この変わっている部分、彼女たちはB型であるという証拠です」

「でも、このAB型。にも反応が見られるが?」

「AB型は両方の反応が見られるのです。だが、A型と、B型では、B形にだけ反応が出てますよね? だから、B型になる。AB型である場合は、このA型のところにも反応が出るんです」

「では、B型の人を探している。として、どうやって見分けますか?」

「それは、こういう検査をしないと解りませんよ。もし、見たところで分かっていたら、もっと医学は発展していたでしょう」

「検査は簡単にできるんですか?」

「少量の血。と言っても検査に必要な量は要りますよ。そして、こうした検査キットが必要です。舐めて解りませんよ」

「医者ならば、そのキットを購入または手に入れることは可能でしょうね?」

「そりゃね。……あなたが言いたいのは、輸血が必要な手術をした医者がということですか? それならば持っているでしょう。しかし、その手術を成功させたのはたった五人です。そのほかにも何人かが輸血を施し手術を行っているが、残念な結果になっている。ちゃんとした身元だし、権威ある医者だ。趣味嗜好で血液や、臓器を食べるとは考えにくい」

「そうですか……。ちょっと、思いついたんだよね。キディーが言っていただろう? あの宴の最中に医者が居たと。前後不覚になっている対象者から血をもらい、検査し、B型の人だけを運ぶことは可能じゃないかとね」

「おい!」ホッパーの怒鳴り声が響いた。「冗談じゃないぞ、この連続殺人と、麻薬パーティーを結び付けるなんて。ありえないだろう?」

「そうかなぁ?」サミュエルはすっとぼけた声を出す「ではなぜ宴を開くんだろう? 麻薬漬けの貴族を増やしたところで得るものはないよ? まぁ、金づるにはなるだろうけど、それならば、田舎くんだりまで連れて行く必要はないじゃないかい? 田舎に連れて行くもう一つの理由は、その日のうちに帰れないことだ。帰れないから時間に余裕がある。血の検査で足止めができる。キディーの胸の傷はその検査のためにつけられたんじゃないかと思うんだ」

 サミュエルの言葉にホッパーはぐうの音も出ず顔をゆがめる。

「そうなると、貴族を集めるにはリスクが高くないかい?」ロバートが言う。「貴族が帰らなければ大騒ぎとなるじゃないか」

「貴族は、一人か、二人でいいんだよ。あとは骸骨と、貴族の愛人になれるという噂だけで」

 サミュエルの骸骨にジョーが反応する。「骸骨が宴?」ばかばかしい、あんたも麻薬にやられたのか? と言いたげなジョーに、

「本当に、不思議だよね」とサミュエルは笑った。


 しばらくは誰も口を開かなかった。話すことがなかったわけではなく、各々思考をめぐらしていたり、思考が追い付かず停止していたりしたからだ。

「もし、麻薬パーティーで、この連続殺人の被害者を見つけたとして、」ホッパーの言葉が続かない。彼の思考はここで止まっているようだ。

「なぜ田舎で開くのか? なぜ同じ場所ではないのか? まぁこれは警察に踏み込まれないようにするためだろう。なぜ、血液、もしくは臓器が必要なのか? なぜだろうね?」

「そこに」とエレノア「田舎にそれを必要としている人がいる。住んでいるのでは?」

「なるほど。では、住んでいると仮定して、自分が住んでいる村、もしくは近隣の村で宴会を開く。村人が気付かないだろうか? セブンズ村で聞いたが、顔見知りは参加していなかっただろ? みな一様に迷惑していると言った。もし、同じ村に住む誰かが開けば、近隣の村でもそうだ、あいつが首謀者だと告げ口されないかな?」サミュエルの言葉にエレノアが納得する。

「でも、そうすると、……例えば央都に住んでいて、その臓器を取り出すには田舎のほうがいいとする。匂いや、やはり殺害するのだから、ねぇ」ロバートが言い難そうに顔をゆがめる「そして、田舎で取り出した臓器を央都まで運ぶには、遠すぎないかい? セブンズ村から央都まではほぼ一日かかる。鮮度が大事だというのならば、それは時間がかかりすぎないだろうか?」

 全員がジョーを見た「保管方法の一つが、凍らせる。というやり方があるんですよ。この二体の内臓が凍っていたように、凍らせれば可能だと思いますよ。ただ、凍らせる方法がね、冬の間は可能ですよ。寒いし、雪が降っているからね」と首をすくめた。

「夏場には雪は無いからね」ロバートの言葉にライトが頷く。

「雪……氷? だから、ねぇ。そうでしょ? だからよ」エレノアの興奮した甲高い声が響く「だから、アイスビーズなのだわ。ほら、氷の商人」

 サミュエルとロバートが手を打つ。

 ホッパーがなるほどと頷く。

「アイスビーズ屋敷。クロスビーの家だ。クロスビー社が使っていた氷室が庭の隅にあったはずだ」

「田舎で宴を開く理由ですね」エレノアの言葉に全員が頷いた。

「もしかすると、この二体もそこに保管されていたのかもしれない。そして、もう用が済んだので捨てられた。川に。そして、央都の、下町チムニー・タウンの橋脚に引っかかった。とすると、他にも何か出てくるかもしれない」

「あと、次は12日にダース村で宴は開催されると思いますよ」サミュエルは暗示的な村の候補地の説明をした。

 ホッパーはダース村とセブンズ村に警察を配備するよう指示するとともに、アイスビーズ屋敷の庭の氷室を捜査すると言ってそこを出た。

「我々も失礼しよう……騒がせてすまなかったね」サミュエルは二体の遺体に会釈をして外に出た。

 ロバートとエレノア、ライトはその部屋から出て、廊下の、西に傾いているが陽の光を受けて生き返ったような錯覚を受けた。

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