第3話
ちょっと!やだ、あんたベロンベロンじゃない。
ホントに大丈夫なの?突っ伏したままカウンターで吐いたりしないでよ・・・って、泣いてる?あんた泣いてるの?
ど、どうしましょ・・・とりあえずキャンティ、この子にティッシュ持ってきてあげてー。
いったいどうしたのよ、あんたらしくもない。え?聞こえないわよ。なぁに?彼女に男がいたですって?
あれまぁ・・・今日はやけ酒だったのね。変だと思ったわ。あんた普段はそんな悪い飲み方しないものね。
ふむ、結婚まで考えていたの。それは辛いわね。でも指輪を渡す前にわかって良かったじゃない。いろいろ決まってから真実を知ったら今以上に悲劇だわよ。ねぇ、キャンティもそう思うでしょ?
もう女が信じられないって?別に信じなくてもいいのよ。女の方だって男を信じ切っている子は少ないと思うし。信じていないことを言葉や態度に出し過ぎることは問題だけど、心の中で相手の言葉や行動を探ることは悪いことではないわよ。
相手を疑うことは裏切り行為じゃないからね。相手のことより自分のことを信じるってだけの話しじゃない、それだけのことよ。
優し過ぎるのよ、あんた。
もっと自分のことを優先に考えたってバチは当たらないわよ。まったく理不尽なもんよね、優しい人間ほど損な役回りを任されるんだから。
ほら、白湯飲みなさい。熱いからゆっくりね。
別に泣くななんて言わないわよ。泣いてもいいしいじけていてもいいけど、自分を責めるんじゃないわよ。責めるべきは浮気した女の方なんだから、優しい自分を嫌いになっちゃだめよ。あんた良い子なんだからさぁ。
優しい自分に自信を持ちなさいな。自信を持って立ち直る頃にはまた素敵な出会いがやって来るから。
ほら、鼻拭いて。あら、今のあんた店に来た時よりすっきりした顔になってるわよ。これなら大丈夫ね、ゆっくり立ち直って次の出会いに備えなさいな。
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