第34話 乱戦と勝利の意味

『さあて。皆さんのために状況をおさらいしますよぉ。

 まずはエントリーナンバー019 カナタ選手。制限時間内にどれだけ先に進めるか。という耐久レースを挑まれています。挑んだのはもちろん、中学生コンビのお二人ですねぇ。

 こちらはあと2時間程度で決着。その時になったら私がタイムアップを告げますから、その時点で後ろにいた人が負けですよぉ。

 そして、エントリーナンバー360 ミハエル・フォン・アイゼンリッター選手。あと80kmほど先にあるショッピングモールまでの競争を、茜さん相手に挑んでいますぅ。

 えっと、つまり現役女子中学生14歳の茜さん。20代の男性ふたりを一度にお相手するわけですねぇ。その小さなカラダで持つのでしょうかぁ。それとも男の人に囲まれて壊れちゃうのでしょうかぁ』


「何も間違ったことを言ってないのに、お前が言うと卑猥だな」

 茜が律義にツッコミを入れる中、隣で空は目を伏せた。

「ん?どうした空?」

「え?いや、何でもない、よ……」

 今の実況で、ナチュラルに自分の名前が含まれなかった――あるいは茜のバーター扱いされた。

 それが仲間外れにされたみたいで、少し嫌だったのだ。



『現在先頭を走るのはカナタさん。相変わらずの一定ペースですねぇ。続く茜さんは空さんを引いて追走。カナタさんとの差は4馬身から5馬身。まだまだ勝負の分からない位置ですよぉ。

 ミハエルさんが、空さんからやや遅れて追走。こちらはスリップストリームに入らないんですねぇ。まあ、車高が違うからでしょうかぁ』


 カナタは肘をDHバーのパッドに付けて、体重をハンドルに預けるようにして走る。こうすることで、上半身に支えが出来るのだ。その分、腰を動かさずにダンシングを続けられる。しかも、空力抵抗を最小限にした状態で。

(ここで、やや下り坂ですね)

 DHバーの先端に取り付けられたボタンを、指で軽く押す。電子機器を操作するだけの簡単な動き。それによってリアの変速ギアが1段上がる。

 従来のケーブル式シフターであれば、こんなことは出来なかった。DHバーから一度手を離し、ハンドルに取り付けたデュアルコントロールレバーを操作しなくてはならないはずだった。それが、DHバーの弱点。

 しかしDi2のワイヤレスコントローラーによって、その弱点が克服できる。これはトライアスロンやタイムトライアルに革命をもたらす新技術だ。

 ハンドルのどこを握っていても、そこにコントローラーさえついていればギアを変えられる。そのコントローラーの数も自由。旧来のように一つしか付けられないわけではない。


「だからカナタさんは、体力を温存している。姿勢が自由って事は、そういうメリットがあるからな」

 茜は冷静にそれを分析し、空に伝えていた。

「たしかに僕も、バーエンドバーを付けてから楽になったかも……」

 空のハンドルバーの横に付けられた、サイドミラーを兼ねたバーエンド。そこを握ることで、手の角度を変更できる。たかがその程度が、上半身の疲労を大きく軽減してくれるのだ。

「ロードバイクも長距離に合わせて、ドロップハンドルにショルダーやフラットを設けているわけだ。これによって姿勢を大きく変えられる。アタイも昔はMTBばかり乗ってたけど、長距離だとシクロが一番だな」

「ふむ。吾輩にはよく分からん話だな。ご覧の通りペニー・ファージングは、姿勢を変えられないのでね」

 ミハエルが近づいてくる。彼はどうも、他人の会話に入りたい症候群らしい。

「なあ、ミハエル。お前はどのくらい体力を温存している?」

「ふむ……敵であるミス茜に、その話をすると思うかね?」

「最終的に決着はつけるさ。でも、今は手を組んでカナタを倒すってのも一つの手だろう?」

 駆け引きだ。しかし……

「お断りするよ。吾輩はカナタと戦っているつもりはない。勝手にやっていてくれ」

「そうか」

 交渉決裂。茜も予想していたことなので、特に落胆はしない。

「ちなみに、どんな作戦があるの?茜」

 空が訊く。その質問に、

「んー。そうだな……みんなで仲良くするのさ」

 そう答えて、ギアを上げる。たった1速だけ。しかし、確実に速度が上がる。じわじわと、カナタが近づいてきた。


(ふむ、近づいてきますか。ですが構いません。たとえ追い越されようとも、私はペースを維持するのみ)

 最後に笑うのは、体力を温存したものだけ。それは今日のレースでも、チャリチャン全体を通しての結果でも同じことだろう。だからこそ、無駄を省くだけ……

「よう、カナタさん。ちょっとお邪魔するぜ」

 茜の声が、真後ろから聞こえてきた。カナタは驚いて振り返る。横にではなく、下に首を動かして、脇の下越しに確認した後方には、茜がピッタリ距離を詰めていた。

「バカな!追突する気ですか!?」

「人聞き悪いな。スリップストリームに入れてもらおうってだけだぜ。なあ、空」

「え?あ、うん。よろしくお願いします」

 3台の自転車が、まっすぐに連なる。これによって、空気の抵抗を減らせるのだ。さらに確実に空気を切り裂くことによって、後方の乱気流も遠ざけられる。

 問題は、きちんとしたチームワークとテクニックがないと、追突すること。そのリスクは計り知れない。

「やめなさい。私はそのような訓練を受けていません」

 この『トレインを組む』と呼ばれる一列での走行は、訓練を必要とする。ゆっくりとした速度で並んで走ったり、自動車の後ろにローラーを取り付けて距離を詰めたり、だ。ちなみにローラーを付けていれば、軽い追突でも転ぶことがない。

 本来なら、そうした安全面に配慮して練習しないといけないテクニックだが、茜は全く恐れない。安全装置の類は一切ないまま、それをやってのける。


「安心しろよ。アタイは通学中に自動車の後ろに付いたりしているから、割と慣れてんだ。もしもの時はディスクブレーキもあるから、追突しない自信だけはあるぜ。保証はないけどな」

「ねえ。それって多分、通学中にやったら迷惑行為だと思うよ。道路交通法でも、適正な車間距離を開けてって言われているし」

「まあ、確かに車にしてみればアタイは迷惑かもな。でも、車線変更なしで自転車を抜いていく車とかもいるだろう?マナーが悪いのはお互い様だぜ」

「僕、そうやって誰かを理由にしてマナー違反するの、嫌いだよ」

 空が本当に悲しそうな顔をする。

「あ、茜が嫌いなわけじゃないよ。でも、自動車乗りの事を考えると、煽られてるみたいで怖いだろうなって……でもでも、茜がちゃんと左側を走っているのも、信号でちゃんと一時停止しているのも知ってるし……えっと――」

 ズズッと鼻水をすする音まで聞こえてくる。空の白い頬と鼻が、わずかに赤く染まる。

「茜がどんな走り方をしていても、友達だけど……友達だから、誰かを傷つけてたら悲しいし、僕は――」

「ああ、分かったから泣くなよ。やらない。もう登下校中はやらないから。それでいいんだろ」

「――うん」

 さすがに泣くまではしなかったが、空の(まったく自覚のない)泣き落としは通じたらしい。


「まあ、それは一般道での話だ。今は……レース中だぜ」

 茜はやはり、カナタの後ろから離れない。これに関しては空も異論はないらしい。

「じょ、冗談じゃありません。ご自分で走りなさい」

 カナタが嫌がりながら車体を振る。しかしその追突寸前まで、茜は距離を詰めていた。

 実際にやってみると、案外ぶつからないものだ。ただ、ここまで車間距離を詰めるという事は、日常において一切ない。

 手を伸ばせば、届きそうな距離。誰にも入ってほしくない『パーソナルスペース』と呼ばれる中に入っている。その部分は、例え徒歩でも入られたくない範囲だ。

(ふざけた真似を――)

 カナタが、車体を右に流す。こうなったら抜かれること自体は大した問題ではない。先頭を走りたいなら、くれてやる。しかし……

(仲良くしようぜ!カナタ)

 茜はそこで抜きに出ない。いつまでも、カナタの後ろにピッタリとついている。

 完全に、ペースを握られた。それだけではない。ケイデンスを落とせない。ギアを下げられない。ペダルを止めることも出来ない。カナタは緊張のあまり、速度の維持に全力を使い過ぎていた。


(ほう……なるほどな)

 ミハエルは2馬身ほど離れた位置から、その様子を俯瞰して見ている。こうして見れば、この光景は異様でも何でもない。元々ロードレースなど、集団で風を避けないと走れない連中の集まりだろう。

(ならば吾輩は、ここで攻めの一手、打っておこうかな)

 ハンドルの右側に取り付けられた、11速ALFINEのシフターを引く。一見すると古臭いペニー・ファージングだが、その改造に使われているのは最新鋭の部品だ。


『ミハエルさんがここで仕掛けたぁ!カナタさんを抜いて、トップに躍り出ますぅ。さあ、茜さんと空さんも抜き返しにかかるのか?それともカナタさんの後ろに付きまとうのか……

 それにしても、ミハエルさんの乗るQU-AX G-bike 36、高性能ですねぇ……基本的にはハブを取り換えただけだというのに、この速度。本来のG-bikeには再現できない走りとなっておりますよぉ』


「まあ、このためにクランクとコグを溶接してしまったからね。上手くいってよかったよ」

 自転車の改造をする人は、大きく分けて『組み換え派』と『加工派』に分かれる。

 前者は部品をメーカーの指定に従って取り付ける、いわば安全圏での改造だ。それによって性能が変わること――最悪の場合、性能が落ちることはあるが、著しく安全が損なわれることはない。

 一方の後者は、部品やフレームを容赦なく加工する。ドリル、ノコギリ、溶接機、その他を用いて変形させられた部品は、安全も性能も保証できたものではない。場合によっては走行中に分解することもある。

 ミハエルは、そのリスク込みで加工をする職人だった。もっとも、先日の森泉みのりほどチャレンジャーではないが。

「吾輩のG-bike 36は、市販品とは線引きが大きく異なるぞ!」

 カナタを追い越し、さらに引き離していくミハエル。そのパワーとケイデンスは、この場にいる全員を上回る。

「ミハエルさん。どうして直立姿勢アップライトポジションであんなに速いの?」

 空が茜に訊く。本来なら、自転車は前傾姿勢を取った方が速い。空力抵抗は速度に比例して大きくなる。それを避けるためには、姿勢を低くした方がいいからだ。

 なのに、ミハエルは直立姿勢であの速度を出している。

「アタイにも仕掛けは分からないが、まさか魔法を使っているってわけじゃないだろうさ」

「じゃあ、何を使っているの?」

「そりゃ、体力だろう」

 茜の言う通り、自転車の速度など、最終的には乗り手の力によって決まる。そう言ってしまえば身も蓋もないが、ミハエルは実際に自力で速度を支えていた。高速で移動できるのは、もちろん車体性能のおかげだ。しかし――

「どの程度の持久力を持っているか、それは疑問だな」

 茜は、まだカナタの後ろにいる。それが今の最善策だと信じて、慎重に……

(しまった。誰も吾輩の挑発に乗って来ないか)

 ミハエルとしては、ここで茜たちがムキになって、カナタを追い越して迫ってくることを期待していた。少なくとも、茜の方はそうしてくれるだろうと信じていた。だからこそ、ここで体力を消費してでも、先頭に立ったのだ。

(こうなれば、せめてこの先頭を維持する。なに、作戦など失敗することを前提に、次の手を練っておくものだ)

 早くも肺や心臓が限界を迎えるミハエルであったが、タダでは下がらない。


『ふむふむ。なるほど――

 現在、茜さんと空さんが一番、体力を残しているようですねぇ。カナタさんは後ろから押されるように走り続け、本来のペースを乱されている模様。しかも茜さんたちを振り切るため、無駄に蛇行させられている節もありますよぉ。

 一方、ミハエルさんは力を使い果たしたのか、本来の巡航速度に戻りましたぁ。後ろを気にしながら走っているのは……まさか』


「その、まさかだ」

 ミハエルが速度を落とす。ただし、カナタの真正面に来て、だ。

「くっ――冗談ではありません!」

 前方には、速度を落とすミハエル。後方には、速度を落とさない茜。挟まれる形で迫られたカナタは、咄嗟にハンドルを左に曲げようとする。

 DHバーから手を離し、ニーパッドから肘を上げる。そしてブルホーンに手をかけて、ブレーキレバーを引きながらハンドル操作。

 ミハエルの横をすり抜けて、トップに立つ。その時、前方からの風で車体が押される。

 速度が下がる。それは、茜に追突されることを意味していた。

(すぐに、ポジションを戻さなければ――)

 再びDHバーに上半身を預けて、ペダルを漕ぎ直す。先ほどの回避行動の時、ギアを下げ忘れた。いくら全自動のDi2であっても、ペダリングせずに変速できるわけではない。そのあたりは、旧来の機械式ギアと変わらず、だ。

(私としたことが……この程度で体力を無駄にするなど……)


 カナタの乗るトライアスロンバイクは、実を言えばチャリチャンという大会に全く向かない車体であった。綺麗な舗装路を走ることだけ考えて、無駄を省いて設計された車体。それは案の定、雪や雨に弱い。

 これだけの速度を誇るカナタが、上位にいない理由がそれである。2日前の大雪エリアに足を取られ、危うく最下位に転落する危険もあった所から立て直してきたのだ。雪の積もった道を、自転車を担いで歩きながら……

 だからこそ、今日のような天候の安定している日を逃すわけにはいかない。茜に勝つことはもちろん、他の選手に追いつくことも考えなければならない。

 だと言うのに――

「どうした?カナタさん。そろそろ限界か?アタイが先頭交代してやろうか?」

 後ろで小賢しく追突ギリギリを維持する茜は、まだカナタを煽っていた。

「……どうやら、あなた方を侮っていたようですね。認識を改めます」

 カナタが、ふぅっと息を吐く。長く、長く――そして肺の中を空っぽにしてから、再び息を吸う。深く、深く――

「あなた方は、私が本気を出すに値する……いえ、本気で相手せざるを得ない相手です」

 キッと前方を睨みつけるカナタ。その切れ長の目に、まっすぐな直線道路が映る。登りでも、下りでもない。カーブでもない。そんな道。

 それは、カナタの独壇場だ。


「――はぁぁぁぁああああ!」


 サドルから腰を離したカナタは、ケイデンスを上げていく。平地であるにもかかわらず、その速度は70km/hを超えた。

 脚に力を伝えるため、あえて仙骨を立てる。腰は垂直、首は水平。その背中は小さく丸まっている。空気の抵抗がないため、軽い力でペダルを漕げる。だからこそ、ケイデンスはどんどん上がっていく。

「何だと!?どこにそんな力が――」

 茜が気付いたころには、もう遅い。既にカナタから1馬身は離されてしまった。今から速度を上げたところで追いつけない。何より――

「っく……」

 風が茜を押し返す。今までカナタの後ろにいたおかげで、軽減されてきた空力抵抗。そのツケを払えと言われるかのように、茜に暴風が襲い掛かった。

「茜。危ない」

「心配すんな。アタイだって分かってる」

 茜もすぐにギアを落とし、代わりにケイデンスを上げる。そうでもしないと、今度は空が茜に追突してしまう。

「やってくれるじゃないか。カナタさん」



「はぁ――はぁ――……ふうぅぅぅぅ」

 ミハエルを抜き、さらに加速し、ついでのように数人を追い越す。ここまでくれば、茜たちも自分に引っ付いてこないはずだ。この間ずっと下げていた視線を、ようやく上げる。

(これで、私のペースは守られたわけですね。やはり馴れ合いなど、私のすることではない)

 幾分か重いペダルを、カナタは漕ぐ。その途中で、気付いてしまった。

(しかし……茜さんたちが後ろにいた時、少しだけ身体が軽かった?)

 乱気流の発生を抑えるため、極限まで左右の幅を薄くしたフレーム。それをもってしても、本当に気流をコントロールしきるわけではない。結局のところ、後方に乱気流は発生する。大なり小なり……

 それを、茜が、空が、軽減してくれた。だから先ほどまで、ペダルが軽かったのだ。

(茜さん……まさか本当に、私と協力するつもりでトレインを――?)

 そんな疑いが、カナタの胸に残る。

(いや、そうだとしても、善意の押し付けなど必要ありません。少なくとも、私には――)

 たった一人、ペダルを漕ぎ続ける。どこまでも続く道路を、誰にも邪魔されることなく、自分のペースで。

 その時、この世界にいるのは自分一人で、見える景色は全て自分のものだった。そして、カナタはそれがとても好きだった。

 耳に聞こえるのは、風の音。

 肌に感じるのは、冷たい空気。

 誰かと競う必要はない。なぜなら、自分が唯一の正義なのだから。



「ときに、吾輩たちの勝負だが……」

 ミハエルがのんびりとペダルを漕ぎながら言う。ちなみに、ここで言うのんびりとは体力消費の話であり、足の動きの話ではない。未だにケイデンスは80rpmを維持。この速度がミハエルにとって、一番マイペースな速度だった。

「で、なんか提案か?ミハエル」

 茜が訊くと、並走するミハエルは頷く。

「うむ。吾輩たちのゴールはショッピングモールだ。そして、おそらく辿り着くころには腹も減るだろう。そこで、負けた陣営が勝った人物にご馳走すると言うのはいかがかな?罰ゲーム……あるいはギャンブルだ」

 中学生相手に大人げない提案に聞こえるが、茜たちが負けた場合は、2人でミハエルの食事代を持てばいい。一方ミハエルが負けた場合は1人で空と茜の両方に食事をおごることになる。バランスとしては配慮したつもりだった。

 もちろん、茜も断るつもりはない。どころか、もっと大人げない新婚夫婦がいたなと思い出すくらいだ。

「いいぜ。それじゃあ、どっちが勝っても仲良く晩飯だな」

「うむ。とはいえ……君たちが著しく遅れた場合は、吾輩が先に食べながら待っているが、ね」

 茜とミハエルが火花を散らす中、空は……

(うーん。さっきのコンビニで買ったおにぎり、食べないでおこうかな。せっかくならお腹を空かせておきたいし)

 などと、能天気な事を考えていた。ちなみに、本当に空腹になると速度が落ちるので、やっぱりそのうち食べるという結論に至る。

 そう。空だけが、みんな揃って晩御飯を楽しみにしていた。



 胸に残ったしこりが、まだ喉元を過ぎてくれない。

 おかげで、心臓が無駄に高鳴る。本来なら残しておきたい体力を、意味もなく奪う。

 そのような感覚を、ずっとカナタは感じていた。

(おかしい。私としたことが――)

 誰かと一緒に走ったのは、本当に久しぶりの経験だった。いや、あんなに近いところで走ったのは、初めてだと言える。

 身体が熱い。

(彼女たちは――まだ来ませんか)

 何度目になるだろう。後ろを振り返り、茜たちが来ていないことを確認する。普段の自分ならば、そんなことはしないはずだ。この一日で勝っても負けても、最終日に勝つのは自分なのだから、どうでもいい。何より、

(あれだけ引き離したのです。追いついてくるわけもないでしょうね)

 そう、来るはずがないのだ。なのに、自分は何に怯えているのか?何を気にしているのか?

 何かを期待しているのか……

(いずれにしても、そろそろタイムリミットかもしれませんね。少し早いですが、ミスり速報を聞きましょうか)

 耳にイヤホンを付けて、あのはしたない女の声を聞く。そんなことしたくもないが、一応聞かないと結果が分からなくなるから仕方ない。


『さあ、そろそろカナタさん対、噂の中学生コンビの戦いも大詰め。タイムリミットは、あと10分ですぅ。その時に前に出ていた選手が勝者ですよぉ!

 現在のところ、茜さんが空さんの後ろにピッタリついて走っていますねぇ。先頭交代はほとんどなし。つまり、茜さんの体力だけを温存する考えですかねぇ……ああっと、やっぱり!茜さんが空さんを抜いて、そのまま加速。

 どうやらカナタさんに追いつくため、空さんを捨て駒にする作戦だった様ですぅ。無事に茜さんを送り出した空さんは安心した様子。

 ご覧ください。この疲れ切った中にカタルシスを感じている表情の空さん。もう男女共用で今夜のオカズに……ああっ、隠さないでくださいよぉ。何で恥ずかしがるんですかぁ』


 なんと、茜が自分に近づいてきているらしい。そう聞いたカナタの中に、ざわつくものがあった。

(また先ほどのように、追突覚悟のスリップストリームを使われたら危険ですね)

 先ほどと言っても、もう1時間半が経過しているわけだが、カナタの中には本当につい数分前のように記憶が残っていた。

 その背後に――


「見つけたぞ。カナタさん」

 茜が、高らかに声をかける。声が届く距離まで、いつの間にか追いついている。

 タイムリミットまで、あと10分と言っていたはずだ。このままではデッドヒートになる。どちらが勝ってもおかしくない。

(落ち着きましょう。もうこの際、私がペダルを止めればいいのです。これ以上の勝負は無意味。相手に勝ちを譲りましょう)

 誰に言い聞かせるでもなく、しかし誰かに言い聞かせるように念じる。それは、カナタ自身への忠告。自分の心にとどめなくてはいけない、理性からの進言。

 しかし、本能は逆らう。

 勝ちたい――と。


『ええっ!?嘘……茜さんが追い付くかと思われたこの瞬間、カナタさんが速度を上げましたぁ!

 いつも理性的で一定のペースを保つカナタさんらしくない……やだ。でもかっこいいですぅ。濡れてきちゃう。あ、頬がですよぉ。感動の涙で』


 ミス・リードのくだらない実況も、耳に入らない。今、気にするべきは茜だけだ。

「どうした?カナタさん。良い顔するようになったじゃないか!」

「茜さん。貴女のその距離感はおかしい。私の近くに寄らないで頂きたい」

 逃げるカナタを、茜が後ろから追う。その差は大きく、また速度はあまり違わないため、なかなか追いつけない。

 前方には交差点が迫る。コースの表示は右折。車線は片側のみを閉鎖。パイロンが並ぶ。

「ええい、よくもっ!」

 DHバーを離したカナタが、ブルホーンに持ち替えてブレーキ。この動作だけは曲がるときの必須になってくる。ついでにデュアルコントロールレバーでギアを下げる。当然、Di2特有の軽いタッチで操作可能だ。

 一方の茜は、ブレーキ操作自体はどのポジションでもできる。シクロクロスやコンフォートバイクによく装備されている補助ブレーキは、フラットを持った状態からブレーキ出来るのだ。

 そして、ギアは変速しない。


「はあああっ!」


 ハンドルを強く引き付け、腕で車体を持ちあげる。そしてペダルを足だけでなく、背筋まで使って踏みつける。たった一回のペダリングで、強制的に速度を上げるのだ。

「一体どこに、そんな体力を残していたのですか!?」

 その加速に、カナタは驚いた。ロードレースやトライアスロンの世界で、その加速方法は推奨されていない。

 当然、重いギアを力尽くで回すのは体力を使う。フレームは……まあシクロクロスなら大丈夫だと思うが、筋肉にも負担をかけるところだ。

「まあ、空を風よけにしていたからな。温存させてもらったぜ」

 横に並んだ茜が、にやりと笑いながら言った。その視線は前方を見ているものの、声はしっかりとカナタに向けて。

「理解、出来ません。貴女はどうして、そんなに接近できるのですか」

 カナタが疲れ切った様子で、茜に問う。視線はゴーグル一体型ヘルメットで見えないが、迷惑そうな表情であることは察する。

 そんなカナタが、

「そもそも、相手の自転車に接近するのは危険でしょう。信頼関係を築いた空さんとならともかく、私と近づいて、もしどちらかがバランスを崩したら……あるいは、悪路で跳ねたら、どうなるか解るでしょうが」

 彼にしては珍しく、声を荒らげて言う。息は辛そうだが、それでも言っておきたかったことなのだろう。訊ねないと気が済まないことだったのだろう。

 茜は、それに対して迷いなく、応える。

「だって、お前は上手いだろう。カナタさん」

「は?」

 困惑するカナタだった。上手い――とは自転車に乗ることが、だろう。しかし初対面なのだ。まだ相手の事を知らないし、自転車歴も言ってない。なのに、どうして……

「どうして、茜さんは私を『上手い』と決めつけるのですか」

「だってよ。ペダルの回し方とか、体重のかけ方を見てれば大体わかるだろう。それだけで十分なんだよ。少なくとも、一緒にトレインを組むくらいは、な」

 茜が、ついにカナタを抜いた。追い抜きざま、すっと手を振る。

「まあ、金を貸してくれとか、一緒にデートしようとか、それはまた別の話だ。アタイも初対面でそれは無い。でもさ。一緒に自転車に乗ろうとか、風よけにして走ろうとか、そのくらいなら良いだろ。お互いの人間性が分からなくても、走りさえ見ればな」

 茜は、だから初対面の相手にも、勝負を挑むのだ。

 相手が強いのが、走り方だけで分かるから。


『残り、10秒ですぅ。8、7、6、5、4……』

 ミス・リードが、カウントを始める。

『3』

 カナタが、大きく息を吸う。そして、止める。残った力を出し切るつもりで、ペダルを漕ぐ。

『2』

 その様子を、少しリードした茜が嬉しそうに見ていた。最後はこのまま、茜が逃げ切るのか。

『1』

 カナタが追い付く。さすがはトライアスロンバイクと、その乗り手だ。フレーム形状も姿勢も、流体力学に則った効率化を図っている。


『0!!――決着ですぅ。逃げ切ったのは、茜選手。いま、喜びを表すように両手を上げています。

 一方のカナタ選手、あと一歩で追いつきませんでしたぁ。ここで両者、近くによって握手を――しません。え?カナタさんがそのまま加速して、コースを進み続けます。な、何で?』




 その放送を聞いていたミハエルは、冷静に分析する。

「そりゃ、彼は大局だけを見ているからね。勝負が終われば、いつもの自分。勝っても負けても立ち止まったりしないのだろう」

「な、なるほど」

 隣を走る空は、ミハエルの言い分に何となく納得した。カナタは元々、あまり勝負に乗り気じゃなかったはずだ。今も別に、結果など気にしていないのだろう。

 今、空たちが走っているのは、茜より少し後ろだった。二人とも体力の残りが少ない。

「ミハエルさん。空力抵抗って、どうなんですか?そのペニーファー」

「ふむ。君も吾輩のペニー・ファージングに興味があるかね。実はな。風は結構きついのだ。前傾姿勢の取りようがないからね」

 直立した姿勢のまま走るペニー・ファージングは、巡航速度こそロードバイク並みに速いとされているが、トップスピードでは若干勝てない。まして持久力やエネルギー効率となると、かなり酷い部類に入る。

「まあ、いいところと言ったら、肩や腰が痛くならないところだね。何せほら、本当に直立なのだよ」

 ペダルは、サドルの真下。そしてハンドルは、サドルの真横。そのため横から見ると、身体が本当に真っ直ぐになる。スポーツバイクのように前かがみになる必要もないし、ママチャリのように手を前に出す必要もない。

 特に、手をだらんと垂らした位置にハンドルが来るのは驚きだろう。

「本来は、レースに向く車体ではないかもしれないね。いやはや、ミス茜には驚かされたよ。いくら成長期とはいえ、別人のような走りだった。もう吾輩が追い付けるとは思えない。今日は負けたよ」

 ゴール前に、勝てないと悟る。それはプロのロードレーサーでもよくある話だった。彼らは野球選手のように、『9回裏2アウトから』などと言わない。将棋士のように、数手前で投了するのだ。それが礼儀であり、潔さでもある。

 そのためレースによっては、ゴール前から沿道の観客と握手を交わす選手などもいる。彼らにしてみれば、ゴールする前に決着がついているのだろう。

「じゃあ、えっと……」

「ああ、吾輩が負けを認めたのだから、約束通り食事は奢ろう」

「えへへっ、御馳走様です」

 空が喜ぶ。別に食事代が浮いたことが嬉しいわけではない。いや、それも嬉しいが。

 何より、こうしてミハエルとゆっくり走れるのが嬉しかった。何しろ、彼の車体は美しいのだ。19世紀の美学を結集したようなシルエット。迫力のある大きな前輪。そして優美な姿勢を崩さないミハエル。

 そんな彼と一緒に見る町並みは、まるで異世界の様だった。それに、自転車の話をもっと聞きたい。そんなに高くてバランスは崩れないのか。ハンドルを切ると、前輪と一緒にペダルも向きを変えるのか。興味は尽きない。

「ミハエルさん。その……」

「ときにミスター空」

 空が何かを言いかけたが、それをミハエルが遮った。

「あ、どうぞお先に」

「ふむ。すまないね」

 ミハエルがヘルメットの頭頂部を押さえて、片手で位置を戻す。そうそうズレるようなヘルメットではないが、気持ちの問題だ。


「では聞くが、きみには勝ちたいという欲求は無いのかね?」


 その言葉に、空の気持ちが凍る。

「いや、違っていたら失礼。しかし、ミス茜の好戦的な姿勢は、吾輩には魅力的に映るのだよ。それに対してミスター。きみは相棒であるはずだが、どうも勝利への意欲が薄い。今だってそうだろう。きみ自身は、吾輩に勝つ気はないようだ」

 いつだってそうだ。誰かと競う事を、空は嫌う。だって、それで誰かを傷つけたり、自分が傷ついたりするのが怖いから。

「まあ、ミスター空に言わせれば、吾輩たちのように小競り合いを繰り返すのは馬鹿馬鹿しく見えるのかな?」

「そ、そんなことは――」

「無いと言い切れるかね?」

「っ……」

 言葉に詰まる。ここはレース会場。自分の方が異端だと、空自身が分かっている。

 思い出すのは、あの言葉……


『その大会には、真剣勝負のつもりで来ているレーサーもいるんだろう?そこに、遊び半分のお前が出たところで、邪魔になるだけだ』


 大会に参加する前に、父に言われた言葉だった。

「どうかね?きみの考え方を、是非教えてくれないかな?」

 どうしよう。何かを答えないといけない。話題を反らしてごまかすことも出来るが、きっとミハエルは納得しない。時を止めたようにペダルだけ回す空を、ミハエルはずっと待っていた。何か……何か言わないといけない。



「ミハエルさん。僕、本当はみんなと仲良くしたくて……でも、分からないんです。みんな、勝手に『誰かに勝つ』って目標を立てて、泣いたり、怒ったりしている。なら、勝負なんてしなくていいのに……」

 空の小さな声に、ミハエルは耳を傾ける。相談に乗るため、ではない。せめてこの少年の本気を引き出して、そのうえで叩き潰したいのだ。

 某小説投稿サイトで言うところの『ざまあ展開』こそ、ミハエルが最も望むものだった。相手を挑発して勝負に乗せ、ロードバイクを中心に片っ端からスポーツバイクを追い抜く。

 そして、真剣勝負の場において言い訳をさせない。それがミハエルの求める展開。ゆえについた二つ名が『ロード・キラー』だ。

(そのためにも、きみには本気を出してほしいのだよ。そして完膚なきまで吾輩に負けて、泣き顔をさらしてほしいのだ)

 相手を煽ることを得意とする彼は、空の態度から答えを一つ、見つけ出す。この煽り方だ。


「さて、吾輩はミス茜に追いつくとしよう。それでも勝てないが、一緒に食事をする約束だからね」

「は、はい。そうで――」

「ああ、いや。ミスター空はゆっくり自分のペースで来るがいい。吾輩たちは先に食べて待っているよ。きっと、きみは吾輩よりずっと遅れるだろうからね」

「え?」

 並んで走っていたミハエルが、唐突に速度を上げた。いつギアを切り替えたのか分からない程、彼のG-BIKEのギアはスムーズに動く。

「え?ま、待って。僕も――」

 空は逆に、ギアを下げる。脚への負担を最小限にして、ケイデンスを上げる加速方法。空のアタックはいつも、ギアを下げるところから始まる。

 つまり、本気だ。

(さあ、ついてきたまえよ。空君)

 コーナーに差し掛かると、ミハエルは早めにブレーキをかけ始めた。前輪はブレーキなし。後輪にVブレーキがあるのみのG-BIKEは、減速しにくい。サドルから腰を離し、可能な限り後ろに体重を預ける。

 その間に、空が追い付いてきた。前後共にVブレーキを持つエスケープは、ギリギリのコーナーワークで曲がり切る。得意のリーンインだ。

(ふむ。やはりペニー・ファージングは急カーブ、急ブレーキに向かないな)

 それはミハエル自身、分かりきっていたことだった。ただ、長年乗り続けていると慣れてくるため、こうしてたまに他の車体と比べると驚く。

 空がミハエルの前に出る。インコースから無理に侵入するという、正式なレースならブーイングされるだろう抜き方だ。

(だが、このチャリチャンのコースは直線が多い。吾輩の勝利は揺るがぬよ)

 ミハエルがハンドルを切ると、G-BIKEは不思議な軌道を見せる。通常、自転車がハンドルを切った時、それに連動するのは前輪だけだ。一方G-BIKEは、ペダルも一緒に曲がる。

(どちらかと言えば、リアステア――後輪をハンドルで曲げている感覚だね)

 大きく遠心力に振り回される我が身を、しかし絶妙なバランスで制御する。ここからは直線だ。ミハエルの加速力が決め手になる――




『いま、茜さんがショッピングモールにたどり着きましたぁ。完全独走ですぅ。空さんとミハエルさんに5分以上の差をつけた圧勝。イクのが早すぎですよぉ。あ、でも女の子だと良い事なんですかねぇ?』



「知るかよ」

 茜が駐輪所の前輪ラックに、クロスファイアの前輪を突っ込む。さすがに疲れた。もう今日はそろそろ宿を探して休もうか。と考える。

(まあ、あと5分くらいで空たちも来るだろうし、飯でも食いながら相談しよう)

 すっかり夜だ。これから気温が下がっていくことを考えると、もう走らない方が良いかもしれない。チャリチャンを半分ほど経て、ようやくペース配分が分かってきた。

 ゆっくりと呼吸を整え、自転車に鍵を掛けて、それからトイレに行ってくる。乗っているうちは気にならないが、止まると突然の尿意に見舞われるのはよくあることだった。ついでに、急に寒くなるのも良くある。

『ああっと、ここで空さんが――』

 ミス・リードが何かを言いかけたところで、『ピー』と音がした。放送事故かと思ったが、そうではない。ワイヤレスイヤホンのバッテリ切れだ。

(やっぱり、一日中ずっとは持たないな)

 予備のイヤホンもあるにはあるが、ペアリングを切り替えるのが面倒だ。空たちもそろそろ来る頃だろう。




『ゴール。勝ったのは空さん。地力での勝利ですぅ。どこにそんな体力残ってたんですかぁ。絶倫ですねぇ。イっちゃったばかりなのに、まだ元気ですよぉ』


 茜が再び駐輪所に行くと、そこに空がすっ飛んできた。

「茜ーっ」

「おお、空。早かった……な!?って危ねぇ!」

 自転車ごと突っ込んでくる空を、茜が横っ飛びで避ける。すると空は自転車に乗ったまま、吸い込まれるように駐輪所に突っ込んでいった。一応、そのまま前輪ラックに車体を収めている辺りは器用である。

 自転車を降りた空は、もう一度駆け寄ってくる。

「茜。やったよ。僕、ミハエルさんより速かったよ」

「お、おう……そうか。やったな」

 茜がちょっと引き気味に答える。それはそうだろう。あの空が、こんなに嬉しそうに勝利を報告してくるのだ。ぴょんぴょんと飛び跳ねて、パタパタと両手を振る。その仕草は今年中に直した方がいいと思うところだ。

「はぁ――っ、はぁ――っ、くっ、ふっははははっ……あ」

 息を切らせたミハエルも、自転車から飛び降りる。まるで競走馬から降りる騎手のような仕草だ。本人は普通に降りただけのつもりだろうが、車高の都合で『飛び降りる』が表現としてしっくりくる。

「いやー、ミスター空。きみを侮っていたよ。戦う意思がない事と、戦う力がないことは別問題であるようだな」

「……なあ、ミハエルさん。空に何を吹き込んだんだ?アタイが知る限り、こいつは勝ってこんなに喜ぶやつじゃなかったんだけどな」

 茜のその言葉を聞き、空は身体が止まる。

「あ、そっか。いま僕、勝って喜んでたんだ……」

「いや、自覚はねぇのかよ!」

 それはそうだ。空はただ、早く茜に会いたかっただけだった。ミハエルより先に、茜に会いたかっただけだったんだ。考えてみれば、なんと恥ずかしい……

「お、おい空?顔が真っ赤だぞ。身体は大丈夫かよ?」

「だ、大丈夫。ただ、ちょっと本気を出しただけ」

「お、おう。そうか」

 すべてを知っていたミハエルは、あえて何も語らない。勝者である空の名誉のためだ。

 一方の空は、何かを実感していた。

(これが、勝つって事……勝ったら、嬉しい?)

 別に、ミハエルより自分が速いと証明できたところで、何も嬉しいことなどない。そもそも、空の目にはミハエルなど映っていなかった。優越感はない。達成感も、よく分からない。だけど、

「ま、よかったじゃないか。空」

 茜が褒めてくれる。これだけで

「うん」

 空は満足していた。

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