第52話機械のこころ(ステンレス銀河叙情詩編)

「ではミス・ノーマット」

「あなたが今回参加を決定されたオペレーションについて」


「はい」


「スパコンの演算ではあなた個人は生還できないと」

「特定と死亡のシュミレーション結果が出ましたが」

「どう思いますか?」


「ミス・タイタン」

「あなたの書かれた記事をいつも拝見しています」


「光栄です」


「あたくしは生命ではありません」

「擬人という機械です」


「はい」


「ですが見えないもの・・・こころを持っています」

「何故でしょうか?」


「エーアイ、人工知能」

「電卓ではなく意思を持つ頭脳だからです」


「機械であるのに人と同じ権利と宇宙籍を与えられています」

「何故ですか?」


「!」

「ミス・ノーマット」

「私の質問を質問返しですか・・・」


「ごめんなさい、ミス・タイタン」

「あなたの最高傑作の評論記事があたくしの頭脳サーキットでリフレインしていました」

「本来である最初のあなたの質問に答えますわ」


「はい、ステファニー」


「WAR、戦争とは結局ただの暴力です」

「解決出来るものがあるのなら」

「それは暴力とは正反対のものの筈です」


「おっしゃる通りだと思います」


「あたくし達ラインハルトは私設部隊ですが」

「暴力を使う為にお金が必要です」


「はい」


「所属するマザーベースは、あまりお金持ちではありませんの」

「ですから単独で傭兵を志願しました」

「カネを稼ぐために間違いを犯しますわ」


「・・・・」

「今回同じく志願されたミス・ブルーについてですが」


「ブルーさんにも彼女なりの理由があるのです」

「あたくしが説明しても説得力はありません」


「ステファニー・ノーマット」

「あなたは何故自分から悪者に成ろうとするのですか?」


「・・・・」

「ミス・タイタン」


「はい」


「愛・・・ですわ」

「擬人は成長することが出来ませんが」

「すべての宇宙生命と等しく」

「愛によって育てられています」


「・・・・」


「ステファニー・タイタン」

「あなたとあたくしが始めて出会った」

「あの日を覚えていますか?」


「・・・・」

「覚えています」

「忘れたくありません」


「宇宙生命は、産まれて年を取り、すぐに死んで逝きます」

「それはあたくしたち機械から見れば」

「うらやましくもあり、愛おしいのです」

「ほんの僅かな一生を生きる生命体の為に」

「役に立ちたいと想います」

「それが人の手で創り出された」


「機械のこころ・・・ですわ」



「・・・・」


ブチッ



「ステン・・・ごめんなさい」


「いいのですわ、のりちゃん」

「鼻水をすする音が録音されるのは、困ったチャンですわよね」


「はい」


「泣きたいだけ泣きなさい」

「ノリミィちゃん」


「はい」




  

 

  【出演】



インタビュア ノリミィ・タイタン



   ゲスト ステンレス・ノーマット

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