第41話スクランブル発進の権利

ピリリリリリッ!!



宇宙次元、ファーム星系。

ラージシップ・ラインハルトは惑星チーズへ向かうのだが。

闇の勢力は気を使ってくれない。


今日の不審船は8隻だそうだ。

トリンは絶対負けるから逃げると言ったが。

ステンレスが、近くに海賊船ドリーミンが隠れていると言う。


「変な粒子が存在する時は、あいつらが居ますよ」


宇宙海賊タンバリンにトリンが気に入られたようだ。

ど~やら今度のトリンの恋は、波乱含みは確実。



しかし、ご家庭の事情が発生。

ラインハルトの戦闘機用カタパルト射出口は2門しか無い。

船体前部中央下部にハッチが横に2つ並ぶ。

レーンを長く取るためにゲート出口が船体から突き出ているが。

着艦時は全てがオート制御で行われる。

上級者の搭乗員でなければ事故が発生する確率が高く。

マニュアル操縦では時間もかかるために、オートで一発化される。


多分宇宙一のパイロットであるシャムロッドは簡単に出来るが。


ケイトには教えない。


まだケイトの技術が半人前だと判断しているからだ。


発生している問題は。


パイロットが3人に増えたこと。


ダン・テッカが戦闘機の戦力に加わるために。

2本のレールを3人で奪い合う現象が発生する。

皆が自分のレールだと主張するが。


トリンは説教する。


「ケイトちゃんに譲りなさい!」

「ケイトだけが人間ですよ?」


「艦長殿お~!」


ケイトがトリンに抱きつくのは見慣れてるので皆呆れている。

シャムロッドとテッカは諦めていない。


テッカがブリーフィングルームに3人集めて密談中。


「いいかいお前ら」

「自分がこの、異次元宇宙の太古の選定ゲームをするぞ!」


「な、何でありますかこれは?」


「あんたバカぁ?あみだクジよこれは」

「星間ネットで流行ってんのよこれ」


「バラすな!ブルー!」


「え、あたしがブルーなの?」

「な、なんかカッコいいわ・・・」


「いいかいお前ら、行くよ?」


「ゴク・・・」



結果は、テッカが1番レーン専用。右ハッチ。

シャムロッドとケイトが2番レーン。左ハッチ。

当然2機目の発進は発艦が遅れる。

シャムロッドとケイトの中が悪くなっている理由も、

全クルーは知っている。



そして今がスクランブル発進の時。


「ダン・テッカ、敵勢力を牽制します!」

「ゴーッ!」


一番ハッチから小さな光源がもの凄い勢いで前方へ消えてゆく。

戦闘ブリッジの空間リアル中継モニタで見るトリンは。


「やっぱり変なことに成ってるわね、ステンレスちゃん」


「はい、2番デッキハンガーが女の喧嘩をしています」

「ストラトスさんがなだめていますが・・・」




「あによ!男も知らない子供は自室で寝てなさい!!」


「大尉殿だって知らないじゃないですかあ!!」


「あたしは知ってるのよ何もかも全部!!」


女2人が宇宙戦闘服を着てる状態でヘルメットをぶつけあう。

射出レーンでは、シャムロッドの1番機が待っているのだが。

サクラが横で小さな声で話し掛けているのを気づいてくれない。


「!」


ガンガンガン!!


「あ~!!」


サクラが特殊機械でカタパルト・レールを封印した。


「何すんのよサクラ!おかっぱブス!!」


「ストラトス中尉が怒るなんて初めて見ました」


サクラが船内電話で全部の事態をトリンに報告した。


「ええ、サクラちゃん。あなたの判断は的確です」

「あの2名のバカな女は独房へ入れます」




「え~っ!?」

「自分だけであれをヤレと言うんですか!?」


「そんなことは言ってませんテッカマン」

「今すぐに帰って来なさい、自体が急変しました」

「あなたを収容と同時にジャンプして逃げます」

「ジャミング兵器をばらまいたから目視で来いよ?」

「着艦もオートは要らんぞ?前みたいにハンガーをぶっ壊せ!」


「全開で死ね!!」


「か、艦長殿~!見捨てないで~!!」


「無線を全域周波数に出せ」


「聞いてるか?ドリーミン」


「あたしらはトンズラするから、あとはお前らで殺れよ?」


「頼んだぞ?極悪人ども!」


「か、カスタネット艦長・・・」




数時間後・・・



並んだ二部屋の独房部屋内で。


「ちょっと女子高生!」

「あんたが先輩に譲らないからこうなったのよっ?」


「先輩が悪いんじゃないですかあ!!」

「あたしは人間ですよ?」

「お腹に赤ちゃんが居るんです!!」



独房の前の通路で聴いているトリン。


「ケイトちゃん?」

「あなたは想像で子供が作れるのですか?」


「はっ!」

「艦長殿ごめんなさい!」

「赤ちゃんには罪はないんです!自分が悪いんです!!」



「ケイトとシャムロッドはメディックルームで」

「精神鑑定をします」

「お前らは病気です」


「おねーさま!」


「がーん!」




私はトリン。


擬人コード・LP300TT。


なんかバカばっかだわね、この宇宙は。


ヘンなウイルスが撒かれているわ。


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