第35話夢追い人

「艦長」

「カスタネット艦長!」

「起きて下さい艦長!」


「はっ!?」


「・・・・」


「知ってた?」


「はい、意識跳躍していましたね?未来へ・・・」


「ステンレスちゃんて、なんでも知ってるのねえ」


「いけませんか?」


「ぜ~んぜん!バッチグ~よ?」

「あ、それとステンスちゃん」

「ヘンな粗大ごみを宇宙にデブリして頂戴」


「へ?」


「サクラちゃんから預かったゴミがあるのよ」


「・・・分かりました」

「ダストシューターへ入れますから持ってきて下さい」


「うん、待っててね」


カツカツカツ



「トリン・カスタネット・・・」

「まったく判らない」

「あの方がどれ程大きな存在なのかが・・・大き過ぎますわ」



艦長室に入るトリン。

黒い箱がガタガタ動いていて気持ちが悪いと思っている。


「ちょっと叩けばおとなしくなるかなあ・・・」


ばしんっ!!



ばおむべんっ!!


「!」


びっくりして後退尻もちのトリン。


「あわわわわ」


ぴょーーん!!


「やあ!はじめましてだワン!」


「い、犬が喋ったあ!!」


「失礼な!」

「僕は、名誉あるわんわんジュニアハイスクール主席卒業の」

「忠犬3型なのだワン!!」

「犬ではないのだワン!!」


「いや、ど~見てもあんた犬でしょう?」


「違うワン!」


バキッ!!


「きゅぅ・・・」


「無力化に成功・・・」


「ノーマット副長、至急艦長室に来て下さい」


「了解しました」



「この宇宙ゴミを捨てなければ」


「艦長、どうしました?」


「これ見てよ、ステンレスちゃん」


「?」

「犬、ですか?」


「本人は違うって言うのよ・・・犬のくせに」


「デブリとして処分しますか?」


「そ~してください」


「よいしょっと・・・結構重いわ」

「これ偽物ね、ロボだわ」


「・・・ごめんねステンレスちゃん」


「いいですわよ別に、こんな宇宙ゴミ」



「はっ!?」

「何をするのだワン!!」

「僕は忠犬4型なのだワン!無礼でござるワン!」


「・・・あんた型番間違えてるわよ?」


「はっ!?」


「犬だって不適切発言するのだワン!!」


バキッ!!


「きゅぅ・・・」


「・・・無力化に再成功」

「暴れないように身体拘束して倉庫に捨てといて下さい」


「判りました艦長」




戦闘ブリッジ内。

ステンレスちゃんが無表情でエアキーボード叩いてる。

エアモニタもエアキーボードもクリアピンク。


「女の子ねえ・・・」


他のクルーは何してんのかしら。


「ミスター・ロドリゲス」

「ケイトちゃんとシャムロッドを呼んで下さい」


「了解しました」




「何ですか?艦長殿」


「おねーさま、あたしと遊んで欲しいの?」


「う~ん、そうなの」


ビッリビリビリビリビリ!!!


「不審船の強襲です!船体不明」

「イキナリ戦闘レンジに現れました」

「主砲ビームが来ます!」


「シールド増幅!!最大をかけて!」


バチンッ!!


「ダメです、シールド疲弊度が・・・」


「主砲速射して!」


ビッ・・・


「ロックオンできません!!」

「非効率です」


ケイトとシャムロッドが居ない。

カタパルトデッキはまだすぐには使えないわよ。


バンッ!!


ステンレスちゃんが何かをぶっ叩いた。


「艦長!この宙域に変な粒子群が存在します」

「これは一体・・・」


「第二派攻撃、来ます!!」


「あわわわわ」


バチバチバチ・・・


「!」


「ななな、ナニアレ?」


「艦長!」


ラインハルトの側面真横を、何かがコスってくる。


「何だこりゃ?」


透明迷彩が船体前部から解かれてゆく。


「ドリーミンッ!!」


海賊船ドリーミンだわ。

船体右側面投影エア・モニターに強烈なノイズが走る。

ラインハルトに船体側部を派手にブツケる。

ドリーミンが代わりに敵レーザー攻撃をシールドで弾く。

実体化と同時に前部砲門が火を吹く。

高圧縮素粒子魚雷群がそれを追いかけてすっ飛んでゆく。


ビィビッ・・・


前方の不審船に主砲ビーム帯が刺さる。

シールドが一瞬無効化、そこに魚雷が命中。

一瞬で宇宙のゴミ(デブリ)が完成。



ラインハルトとドリーミンが静寂の宇宙をランデヴー。


「ステンレスちゃん」

「何なのあいつら?」


「あーいう連中なんですよきっと」

「リアル次元アニメの見過ぎでしょうね」

「確か、過去の番組に」

「宇宙海賊モノがあったけど」

「正義のヒーロー気取りのアホですね、きっと」


「ふーん」


あ、また回線に勝手に入ってきたわ。


「キャプテン・トリン・・・」

「ブザマだなあ?」


「あんたに言われたかないわよ!タンバリン!!」

「ロドリゲス!」

「側部レーザー速射!!」


ビッ・・・


ロックしてないから、当たらない。


「うわ、ナニすんだこのアバズレ艦長!!」


「これは警告です、宇宙海賊ドモ」

「あなたを拘束して星間警察に突き出します」

「捕獲用ワイヤー展開!!」


ばしゅっばしゅっ!!


「このメスブタ本気だぞ!!」

「ジャンプ跳躍開始!」



「ふ~・・・バカは去ったわね」


「か、カスタネット艦長」

「命の恩人にあのような行為は・・・」


「良いのよステンレスちゃん、あいつらは死なないわ」

「バカだから・・・」


「はあ?」



「一番二番ハッチオープン!」

「イケるわ!!おねーさま!」


「ケチャップマン大佐、イケます!」


「あ、あなた達はパイロット控室で待機してて」


「はあ?」



宇宙海賊船ドリーミン・・・・手強い賞金首ね。

やっぱり宇宙遊覧船みたいなカラーリングね。笑えるわ。


バカな男、宇宙海賊「リーン・タンバリン」


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