第31話アイ・ウェイ
「キャプテン・トリン」
「海賊船から」
「アンチ・プロテクトプログラム攻撃を受けています」
「全ての防壁セキュリティを突破されました」
「アンチ・テレポートバリア装置を破壊されました」
「スグに船内に侵入されます」
「なんですって?」
「ソフトウェアでハードウェアを破壊したの?」
「艦長!全クルーに武装を持たせて下さい!」
「わ、わかったわ。ノーマット副長」
戦闘ブリッジ内に、人が数人転送されてきた。
初めて目撃するその光景は。
何だか不思議。
何もない空間に実体化する人。
空間にも、存在はある筈なのに。
みんな戦闘ブリッジに集まってきたわ。
高出力レーザーライフルで武装して構えている。
「おっと、嬢ちゃんたち」
「撃ったらどうなるか、解ってるよな?」
「タンバリン、あなたはこんな無益な事をして楽しいの?」
「初対面の挨拶がお説教とは」
「さすが、宇宙を救う存在だな。トリン」
海賊タンバリンと部下数名が、私たちに武器で威嚇する。
「でも、あんたには死んで欲しいんだよ、俺はね?」
タンバリンがレーザーガンのトリガを押そうとする。
「!」
先に、ケイトのライフルの光線が走った。
「おっと」
タンバリンは無事。耐衝撃エネルギーフィールド・・・
「イケナイお嬢さんだな・・・」
ビッ
今度は、ケイトがタンバリンに撃たれた。
「・・・・」
ケイトもなんともないわ。
でも、ハマったわね。タンバリン。
私たちの新しいシールドは。
ハニカミシステムと違って、ヤリ返したりはしない。
反対に・・・
意識レベルから、根性を叩き直す。
つまり、悪意を抱く存在ほど、その邪なエネルギーが中和される。
見えないタマシイからクリーンになり。
善人としてまっとうに生きようと心が変わってゆく。
それは、その存在の運命すら変えてしまう現象。
じわじわと時間をかけて、幸せに近づいてゆく。
やがて・・・
敵は、自分一人だと悟ることが出来る。
「殺すのではなく、救うのよ・・・宇宙海賊タンバリン」
「!」
「シスター・トリン」
「寝言は寝てる時に言うもんだ」
「いくぞ貴様ら!」
スグに海賊たちは転送されて帰っていった。
「・・・・・」
「愛・ウェイ」
「トリン艦長、その装備はあたくしにも組まれていますわ」
「おねーさま、あいつらビビって逃げていったわよ?」
「このシールドを造った技研の人に聞いた事があるのよ」
「過去から未来まで」
「この宇宙次元に、愛は、息づいている」
「だから、一番自然なテクノロジーなんだって」
海賊船はラインハルトから離れて去っていった。
「宇宙海賊船・ドリーミン」
「え?」
「あいつらの艦名ですよ、トリン艦長」
「マジ?」
「奴らも愛に飢えてるんですよ、きっと」
「ええ、そうだといいわね・・・」
「ノーマッド副長」
「タンバリンって男のプロフィールを調べて下さい」
「リーン・タンバリンは犯罪者ですよ?・・・艦長」
「はい、判っています。副長」
「でも、私のクリスタルが反応するんです」
「あの男に・・・」
「この時代には生息しないタイプです、あの男は」
「絶滅危惧種ね?おねーさま」
「生け捕りにして自分の男にするつもりね?」
「ち、違います!」
「あの男は更正させるべきです、この宇宙次元の未来の為に」
「あ~!おねーさまの顔が、ピンク色になったわ!」
「・・・・・」
部下全員に、ニヤニヤした目で見られる私・・・・
恥ずかしい・・・
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