第21話ケチャップの帰宅

「ああ、わたしケイト・ケチャップマン大佐は」

「栄誉ある初陣での戦闘に生き残ることが出来た」

「これは奇跡である・・・」

「わたしの愛機、マーガレット8世は今日も元気だ」

「今、わたしの目の前に」

「恒星の太陽の光が差し込んでくる」

「この瞬間にわたしは、人類と宇宙の平和のために」

「アストロノーツとしての第一歩を歩み出す決意を」

「固めたのであった・・・まるっと・・・」

「・・・うーん我ながら傑作ね」


「しっかしこの、鉛筆と消しゴムとメモ帳っていう」

「原始化石ハードは、便利でいいわねえ・・・」

「貧乏人のためにあるツールよね?」


「痛たたた!!」


「トリガーとミサイルボタン連打しすぎて」

「ケンショウ炎になりそう・・・」



「やっときた、あたしのミドルシップが・・・」

「おーい!ここだよお!ケイトちゃんでーす!」


ミドルシップ「∨・A・A」に機体ごと収容してもらった。



「まったく!派手にやってくれたわね?」

「やり過ぎを超えてるわよ?現役女子高生?」


「申し訳ありません!シャムロッド大尉殿!」

「命より大切な機体を壊してしまいました!」


「・・・まあいいわ」

「この異常に壊れてる機体を、サクラに直してもらうから」

「あんたは目障りだから消えなさい」


ビシッ!


「はっ!大尉殿!」




「宇宙航海日誌まるまるメートル」


「今、私の眼下(がんか)には、人類未踏のジャングル」


「大回転ゾーンが広がっている」


「ついにここまで来たのだ」


「多くの宇宙移民を犠牲にしたが・・・」


「難民を産んだ歴史に終止符が打たれる」


「この険しいブッシュをナタで切り開けば」


「かぐや姫が隠れている竹やぶの竹が好きだと言える・・・」




「うーん。こんな感じで書けばいいのかしら?」

「しっかし」

「鉛筆と消しゴムと日誌帳で航海日誌を記録せよなんて・・・」

「マザー・レインも何考えてんのかしら?」

「確かに、燃やせば証拠隠滅できるし・・・便利よね」

「灰から再生する技術は、いまだに無いからねえ・・・」



現役女子高生のお帰りだわ。

どうしてくれようかしら、このお嬢様を・・・


「トリン艦長殿!」

「ケイト・ケチャップマン軍曹、帰還いたしました!」


ビシィッ!


「・・・・・」

「あなた・・・楽しんでるでしょ?」


「ぷっ!」


「?」


「いえ!・・・自分は真剣であります!」


「・・・・・」

「まあいいわ、近い内にあなたの実家のご両親と」

「星間ネットワークで面談しますから、そのつもりで・・・」


「!」


「艦長殿!せっしょうでござる!」


「はあ?」

「・・・その発言は、軍隊では適用されないわよ?」


「ご、ごめんなさい!」

「親にだけは密告しないでえ!!」


「・・・・・」


本当に疲れるわ、この現役女子高生は・・・宇宙をナメてる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る