第19話ケチャップライス

次の目的地までまだ長いから。ミドルシップ内で戦闘訓練ですって。

私は戦闘ブリッジで訓練のスケジュールを見てる。


「トリン艦長殿!!」


「?」


後ろを振り向くと、元・密航者の貧乏人間少女。

ケイト・ケチャップマンが敬礼をして直立不動している。


「どーしたの?ケイト」


「自分にも装備品と戦闘配置をお与え下さい!」


「・・・・・」

「あなたにもしもの事があったらご両親に顔向けが出来ません」


「いえ!自分は産まれた時から天涯孤独!」

「マッチ売りの少女で生計を立てておりました!」

「寝食を忘れ働き、寝床はダンボール一辺でありましたあ!!」


「・・・・・」

「ケイトちゃん、私たちは軍人ではありませんからね?」


「了解しました!艦長殿!」

「それで、自分の任務は何でありましょうか?」


「ああ、あなたは厨房の掃除でもしてて下さい」


「はっ!光栄でありますっ!」


ビシィッ!


敬礼を決めて周り右。駆け足で退散したこの子って・・・


「軍事オタクの少女って居るのね本当に」

「見た目は可愛らしいお嬢さんなのに」

「お気の毒ねえ・・・」



ビィィィッ


訓練が始まった。


「変なことが起きなきゃいいけど・・・」




「シャムロッド大尉殿」


「何よあんた?」


「この機体は、あのオペレーション・カスタネットで使用された」

「コンバット・フライⅡ改良型でありますね?」


「はあ?」「・・・あんた、そんなことはどうでもいいから」

「あたしのコックピットに座るんじゃないわよ」

「それからあたしは軍を退役したから、階級は無いのよ!」


「では貴官の最終階級は少佐殿であられますか?」


「・・・あんた、いちいち軍隊言葉を使うんじゃないわよ!」

「いいから、とっとと降りろこのクソガキッ!」

「引きずり下ろしてやるわ!」




「サクラちゃん?どしたの」


「私、ストラトス中尉って呼称された」


ポッ・・・


「・・・ケイトちゃんも役に立つのね」



正面モニターに投影される、小さな光が2つ目視できる。

宇宙戦闘機コンバット・フライ1番機と2番機が・・・


「ってあれ?」

「なんでマルさんが隣にいるの?」

「あの2番機には誰が乗ってるの?」


「ケイトちゃんですよトリン」


「!」


「ワイロを渡されました。どこの通貨ですかこれは」

「倉庫で子供用の宇宙戦闘服とヘルメットをあさってましたよ」


「あわわわわ」


「こちらコンバット・フライ2番機。目標へ直進します」

「以後の操縦をマニュアルに切り替えます」


「ケイトっ!」

「馬鹿な真似はやめて!」

「あなたはただの女子高校生なのよ?」

「駅前で苺クレープを食べてなさいっ!」


「お言葉ではありますが艦長殿」

「自分は星間ネットワークで嫌というほど訓練は受けました」


「・・・コイツもゲームオタクか」


「シャムロッド!」

「ケイトちゃんを守ってあげて!」


「わかってるわよ、おねーさま」

「この軍隊かぶれのお嬢様を再教育してあげるわ!」


「・・・やっぱり変なことが起こったわね」



「シャムロッド大尉殿!」

「あの目標は自分にヤラせて下さい!」

「低空から侵入します」


「このバカ!」

「対空監視レーダーは機能してるのよ?」

「対空レーザーが撃ってくるわよ!」


ビット・・・


「うわああ、何あの娘?レーザーの雨をカワせるの?」



ドッドーン!


「イヤッホゥッ!!」

「ケチャップマン上級曹長、敵シップを撃破しました!」


「おねーさま、あの女子高生はあたしじゃ手に負えないわ・・・」



「疲れたわ私は・・・女子高生の子守りもするの?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る