第18話宇宙ステーション『ダイアナ』

ミドルシップ「∨・A・A」は、

補給の為、民間宇宙ステーション「ダイアナ」に寄港する。

指令センターに手続きして、ドックに入る順番待ちしてる。

周りには有料ジャンプゲートが並んでる。

このシップは自分でジャンプ出来るから関係無いけど。

民間の人間さん達は安物のシップに乗る人が多いから必要ね。

でも貧しい人は星間連絡多客式シャトルに乗るから大変よね。


「キャプテン、ドックに着きました」

「修理と補給を済ませておきますから、観光でもしていて下さい」


「気がきくわねえ」


「ささ、おねーさま行きましょ」


「ダメ!私とマルさん、シャムロッドとサクラの別行動です」


「げっ!」「このオンナ、男を食っちまう気だわ!」


「!」


ぶんっ!


ぶわあっ!


「甘いわね」

「あたしがおねーさまの機動を予測するのに何万年かかったか」


ひゅんっ!


どごすっ!


バキバキバキッ!


「お、おねーさまのカカト落としってイカス・・・」


「あーあ、フロアの床が抜けちゃったわ」


「お客さん!」

「設備を破壊しないで下さい!」


「ごめんなさい、シップに請求書を送って下さい」


「トリンさま可愛い」


私とマルさんは、

レクレーション施設の「エアボーリング」に夢中になってる。


「僕は全部ストライクですよ!」


「きゃー!ステキです!」

「でも私は何で全部ガーターなんだろ?」


このエアボーリングって遊戯。

安全を重視して重い鉄球を持たずに。

ジェスチャーだけで投げるから。

判定するコンピュータが怪しすぎるわ!


「うわっ!またガーターだ!」

「こんの低能電卓め!」


バキッ!!


ピロピロリーン!


あ、スコアが全部ストライクに書き換わった。


「アホらしくてやってらんないわ」

「マルさん行きましょ」


「でもまだ僕終わってませんよ?」


「いいの、こんな詐欺商法を体感しちゃダメ!」


バーガーショップでランチですって。

マルさんだけ合成ハンバーガーを食べてる。

私はそれを見つめてる・・・


「はじめまして、ミセス・トリン」


「あなた誰ですか?」


「私こういうものです」


頭脳サーキットに電子名刺が突き刺さってきた。


「い、痛い」


「は?」


「いえ、失礼」

「スクラッチ・スクワットさん?」

「お、おもしろ・・・いえっ!」

「ステキなお名前ですね」


「あなたとは波長電波が合いそうですね」


この高粒子ビジネススーツを着用中の青年男子は。

押し売りみたい。何で私の名前とか全部知ってるの?

怪しい匂いが臭すぎる、お風呂に入んなさいよ!


「この仮設コロニーでですね」

「ご主人とお二人で」

「この仮設超高級マンションに仮設生活を仮設夫婦で・・・」


訳が分かんねーわ、この契約内容。


「でも私は、さすらいの野宿イケ少女ですから」


「はっはっはっは!」

「オモシロイご婦人ですな」


「!」


私の頭脳サーキットの中で大音量アラート鳴らしてるバカは誰?


「どうしました?ミセス・トリン」


ハニカミシステムだ!


「この男が危険1億パーセント?」


「何を言い出すのですかミセス」


「この男の判明した正体を送らないでえ!」


カチャッ!


「!」


「トリンッ」

「死になさい!」


テーブル越しに高出力レーザーガンを構えるスクラッチ。


「うっひゃああ!!」


「?」


「あ、あれ?」


私があいつのレーザーガンを持ってるわ・・・

あの男が民間シャトルの窓越しの客席に座ってる。


「ハニカミが跳躍したのね」

「あ、もう発進しちゃった」


「トリン」

「何寝ぼけてるんですか、帰りますよ?」


「あの詐欺オトコ見てなかったの?」


「誰ですかそれは?」


「???」


また私の頭脳サーキットがレイプされちゃった。

誰も私の肉体を狙ってくれないのね。


「ぐっすん」



手続きを済ませてドックから出港する。


「キャプテン」

「D区画に侵入者です」


「何それ」


「密航者よおねーさま。定番過ぎて笑えないわよ?」


「わかりました、確認しに行きます」


D区画の通路に誰か隠れてる。

肉眼では何もないけど、レーダーでは目の前に居るわ!

多分クビはここね・・・


「こらっ!」「密航者め!」

「カプセルに入れて宇宙に捨ててやるわ!」


「きゃー!!」

「人殺しいっ!」


実体が現れたけど。


「また女だ・・・」


人間の十代の少女みたい。多分貧乏で苦労家ね。

戦闘ブリッジでお説教中。


「あなた名前は?」


「ケイト・ケチャップマン17歳です。乙女です!」


「あっはははは!」

「この人間のガキおもしろ~い」


「学校へ通ってるんじゃないの?」


「ハイスクール2年生です!乙女です!」


「何で密航なんかしたの?」


「私は退屈な日常に耐え切れなかったんです!」

「貯めたお小遣いで夜行列車に乗って、宇宙ステーションで」

「張り込みをしてました!大尉殿!!」


ビシッ!!


軍隊の敬礼したわ・・・


「この娘、変わった言動するわね」


「あれよ、おねーさま」

「オトコに相手にされないのよ、このガキもきっと!」


「サクラと同じ匂いがします」


「この娘も大冒険がしたいんですよ」

「乗せてあげましょう」


「はい、マルさんの言うとおりです!」


「ポセイドン」

「コムスメ、一体追加ね」


「了解しました」


またオンナが増えたけど。どーして男が増えないのかしら。

正面モニターに投影される宇宙は、なんて残酷なの?

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