第10話桜吹雪

「あー、なんか。まだ私の脳回路がガタガタ言ってるわ」


「おねーさま?」

「頭脳サーキットがにぶいんじゃないの?」


「シスター・シャムロッド!それは言ってはいけません!」


「はーい」


「キャプテン・トリン。到着しました」


「おねーさま、ここはどこなの?」


「日の下区画よ、日の下移住民が住んでいるわ」


「あのきれいな花の木はな~に?」


「サ・ク・ラ」

「この区画で一番有名な樹木ですって」

「私のデータベースに情報を取り寄せてもらったの」


「あの木が目標ね?おねーさま」


「違うわよ。あなたバカじゃないの?」

「新しいお客さんを迎えに来たのよ」


「げげげ!」

「もしかして、またLP?」


「それは私のセリフよ?あなたも珍客ですからね?」


「キャッはははは!」

「おねーさま、おっかしい!」「ひーひっひっひっ!」

「く、くるしい・・・」


「あなたどこか悪いんじゃないの?」


シュゥゥゥゥン・・・・・


・・・・・・・・


「あ、あの娘ね多分」

「オーラが強烈に出てるわ、なんて存在感なのかしら」


公園の桜の木の下でたたずんでいる少女は・・・


黒髪のオカッパ頭が印象的で・・・ジーパン?


「あの娘、何世紀前のファッションしてるの?」

「うわっ、こっちにお辞儀した瞬間に桜の花が飛び散ったわ!」

「あの娘はいったい何者?」


「おねーさま、そんな事はどーでもいいから」

「とっとと、あのチビのガキを連れて帰りましょう?」


「!」


「あなたも立派なチビのガキですよ?シスター・シャムロッド」


「はいはい、おねーさまはいつも正論しか言わないのね?」


・・・・・・・・


「は、はじめまして」

「私は、サクラ・ストラトス。擬人コード・LP001です!」


ぺこりっ・・・


「はあ?」

「あなた名前もコードも何かおかしくない?」

「何であなたには姓がついてるの?」

「コードだって変だし・・・・」


ポッ・・・・


少女はうつ向いて顔を赤らめた・・・

こ、この子は・・・恐ろしい娘だわ・・・もう理解した。


「おねーさま!」

「このでっかい桜の木を、お土産に持って帰りましょうよ?」


バキバキバキっ!


「あーー!!」

「シャムロッド、桜の木を根本から折っちゃダメええ!!」

「警察が飛んでくるわよ!?」


ファンファンファンファンッ!!


「うわーー!!」「もう来たわあ!!」

「早くその樹を捨てなさい!!」


「えー?あたしなんか悪い事したのぉ?」


「逃げるわよあなた達!」

「ミドルシップ・V・A・A・まで加速しなさい!!」


ファンファンファン!!


『そこの擬人!止まりなさい!!』


「うわああ、全部バレてるわよ?」


「おねーさま、バカじゃないの?」

「擬人がイマドキのエア・カーなんかに負けるわけ無いのに」


ポッ・・・


うつ向いたまま、頬を赤らめるシスター・サクラは。

更に加速を始めた・・・私とツインテールを置き去りにして。

このオカッパ少女には勝てない・・・私のクリスタルが叫ぶ。


・・・・・・・・


・・・・・・・・


「キャプテン・ポセイドン。緊急垂直離脱して下さい!」


「了解しました」


「あと、ムスメ、乗員一人追加ね?」


「はい、キャプテン」


「何よあんた?先輩にケンカ売る気?」


ポッ・・・


・・・ダメよ、シャムロッド。この子にはあなたでも勝てないわ。


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