ブックゴースト

本棚の隅の隅 ぽつりとある 小さな椅子

そこにいる 夕暮れの中の 小さな君

逆光で 手元の 本は 黒で

何を読んでるの? さえ 言えない


図書館の隅の隅 座っている 君がいる

今日もまた 橙色の中 読んでいる

色がつく 本の中の 文字は どうだろう

何を見ているの? さえ 言えない


知ってることを 知らないことを

二人で 一緒に 見られないかな

顔と顔を 合わせて 笑って

他愛の ない こと で 笑いたいな


君の隣に椅子がない 棚と棚の 隙間

飾りみたいな 影の中の 制服が綺麗で

何かを読んでいるなんて関係なくて

はじめまして こんにちは が したいだけ


君もまた同じことを 考えては いないかな

君のせいで 通うようになった 図書室

君が読んでいた 本を 読んでみる

でもね 頭の中は 君が読んだんだ て言葉ばかり


読んだよ 読んでないよ 読んでみたいな

二人で 一緒に 言いたいかな

笑いながら 君の隣に 座りたいな

そしたら もっと もっと 大好きになれそうで


暗闇の中に 夕闇の中に 浮き出る君が ただ一人

本をめくる手が とても白くて 

たれる栞紐の赤が綺麗なんだ

ただただ 君の 存在が 綺麗なんだ 綺麗なんだ


知ってることを 知らないことを

二人で 一緒に 見られないかな

顔と顔を 合わせて 笑って

他愛の ない こと で 笑いたいな

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る