二話 告白
『xxxx様
突然このような手紙を差し出すことを、どうかお許しください。
この手紙は貴方様が不在の際にこっそりと差し出すつもりでございます。無断でお住まいへ上がりこむ無礼は承知でございますが、この家の中にございます物には一切手を触れません。この手紙を残す事だけ、どうかお許しいただきたく願います。
勿論この手紙も、全てお読みいただかなくて結構です。不快に思われましたら破り捨てていただいて構いません。
もしお戯れにでも私の言葉に目を通していただけましたら、それが何よりの幸せにございます。
申し遅れましたが、私は三年前に貴方様がお助けになられた娘でございます。
初めてお会いしたあの日、そして昨年再びお会いできた日の事はまるで昨日の出来事の様にこの胸に焼き付いております。
どちらの出会いも私にとっては、目に映る世界を一変させてしまう様な大きな出来事でございました。
何も告げられずに姿を消してしまった事、後悔しなかった日はございません。
本来ならば直接お会いさせていただきたいのですが、この様な形となりましたのは理由がございます。
次に私の顔を見た時、貴方様は私に銃を向けその引き金を引くでしょう。
貴方様に殺されるのであれば、私に後悔はございません。
否、本来であれば、そうなるべきなのです。
この身が朽ち果てる事を恐ろしいとは思いません。私が恐れるのは、本当の事を告げられぬままこの想いを抱き続ける事なのです。死ぬ前にどうかその想いを吐き出したいと、欲を言えばそれを貴方様に受け取っていただきたいと、誠に身勝手な理由ですが、その為にこの筆をとらせていただきました。
私はこの手紙で、全てを告白いたします。
そして全てを書き終えた時、この命を貴方様に捧げようと思います。
少しだけ、ほんの少しだけでも私の存在が貴方様の中に残れば。私はそれだけを望んでおります。』
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