セツコ先生の大学生時代編
普段飲み会なんか殆ど行かず、大学の授業が終わったら真っ直ぐ図書館にこもっているような私が、経済学部の親友の加奈に合コンなるものに行かないか誘われた。
2対2らしく、相手の男は、経済学部のチャラい雰囲気の男と、文学部の草食系の男らしい。
どうせつまらない男だろうとタカをくくり、テンション低めで適当に自己紹介をした後、カルーアミルクなどの弱めのお酒を適当に飲みながら、周りの話を聞いている間に、話題は得意なスポーツの話題になった。
「僕はサッカー部だったの。加奈ちゃん、得意なスポーツ何だったの?」
「あたしね〜テニス!テニス部だったの。翔君は。」
「俺はバスケ!高校の時インターハイまで行ったんだぜ!セツコちゃんは?」
答えに窮する。私得意なスポーツなんてあったかしら。
そう言えば、小中高と体育の時間一つだけ得意なことがあったわね…
私は手元のカシスウーロンをぐびっと飲み干すとこう言った。
「マット運動。」
他の3人の目が点になって、数秒間の沈黙が流れた。
私が悪かったのか、それとも周りが悪かったのか、大学時代はそういう浮いた話は全くなかった。
そんな加奈は大学時代私に恋愛沙汰に関する話ばかりして、ことごとく危ない男しか引っかかってこなかったらしいが、
大学卒業後、二年ぐらいして、直の上司に見初められ、結婚したらしい。
それも、奥さんがいる既婚の上司と不倫関係に陥り…という危ない橋ではなく、
地味だが真面目に仕事をコツコツしていたような誠実そうな人という話である。
大学を卒業した後、私は大学院の博士課程まで進みつつ、予備校教師を傍でやりながら、夢であった大学の教員になるまで結局数年オーバーしてしまい。気づけば30を超えていた。
そして、その後数年仕事ばかりに熱を入れているうちに、気づけば35になってしまった私がいる。
キャリアウーマンとして自分のやりたいことを突き詰めた結果このようになってしまったのだけれど、果たして良かったのだろうか。
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