ピエール編
俺は、仕事を終えたあと、よくその屋敷にこっそり行っていた。日がくれてきたが、そろそろ「彼女」が現れるころだろう。「彼女」は金髪でポニーテールが良く似合う。今日はどんな服装をしているのだろう。
俺の親はこの国の騎士になることを勧めて、実際に俺は多少の不合格の年があったものの、騎士としての位を得たが、実際与えられた仕事は、北門の門番であった。毎日来る日も来る日も、時々通過する人の検査をしたり、通行料を受け取ったり、毎日毎日退屈であった。俺が本当にしたいことは、こんなところで門番をするために騎士になったわけではなく、戦の最前線で、陛下のお役に立てるような作戦を進言することであった。
そんな退屈な仕事を続けて二年目だったか、ある日家に帰る途中に、少し大きな屋敷があるのを見かけた。おそらく上流貴族の家だとは思う。俺は毎日退屈していた腹いせに、少しこの屋敷をこっそり覗いてやろうと思った。
そこには、20前後だろうか。金髪の美女が居た。俺はその女を見たとたん、胸の高鳴りが押さえられないほどの興奮を覚えたことをよく覚えていた。金色のティアラを身に着け、白いドレスに身を包んでいたと思う。肌は透き通るように白く、腕は守ってあげたいと思うように細い。まさに「姫」という言葉がふさわしかった。
仕事に退屈していた俺は時々それからこの屋敷でこっそり彼女を覗きに来るようになった。彼女は日によって読書をしたり、バイオリンを弾いたり、クリケットをしていたりした。毎日違う服を着て、違う髪型であった。どれだけの服を持っているのだろう。
そんなある日、俺は彼女を除いている場所から、犬に吠えられた。しまった!見つかる!俺は慌てて逃げようとしたが、転んでしまった。膝をぶつけてしまって置きあげれない。俺は観念した。彼女が俺に近づいて来てこういった
「何者だ!」
野太い男の声であった。俺が女だと思っていた女性は、実は女性のような男だったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます