部屋のリフォームを検討します。
sideイルム
その後、食事はアリアさん所持の携帯食料を食べた。携帯食料は日持ちする乾燥された肉やクッキーの様な物が入っている。
「良いですかお二人共。現在私達は北のセントルイスを目指しています。が、食料が圧倒的に足りません。なので明日からは方角を少し変更し、『ボーツ』という村で食料を調達したいと思います」
「あとシャワーも浴びたいです」
「その村に宿があれば大丈夫でしょう」
身体の汚れ自体はイルムの『洗浄』があれば問題はないが、これまで毎日シャワーを浴びてきたミリスタリアにとっては気になる所であった。
「そうだなぁ、このテントの中に仕切りでも着けて中に水を出す魔道具でも置けば簡易的なシャワーになるんじゃないのか?」
「え、えっと。そんな事しても良いんでしょうか?」
「ああ、別に構わないけど」
どっちにしろこのままじゃ殺風景だし。シャワーだけじゃなくて他の家具とかも置けばもっと便利になるだろう。
「ボーツに魔道具を扱う店でもあれば良いんだけど」
「流石に村に魔道具の店はないでしょう」
結局そこで本日の会議は終了し、疲れを残さないために就寝する事になった。俺は自分用の寝袋を用意し、部屋の端に置いた。ミリスタリアとアリアはその反対側に寝具を敷いていた。
テントの中は広いので、端同士となるとそれなりの距離がある。
「じゃあ明かり消すぞ」
ランプを消し、消灯する。イルムにとってはいつもより早い就寝であったが、ミリスタリアやアリア達との会話で精神的にも疲れている事もあり眠気はある。
しかし、とある事実がイルムの睡眠を大きく害していた。
「目の届く距離に女性が二人……」
イルムも年頃である。異性とのあれこれに興味はある。これまで修練に身を捧げてきたイルムは、初めて身近に女性がいるというこの状況で冷静になることが出来なかった。
その後、緊張からの気疲れのお陰か、二時間ほどで意識を落とした。
side ミリスタリア
で、電気が消えてしまいました!?あ、あわあああああああ!こんな状況でそんな直ぐに眠れる筈が無いじゃ無いですか!
イルムと同様に、ミリスタリアも緊張で眠れずにいた。
ミリスタリアは、普段は一人で寝ている。広い部屋で豪華なベッドで一人で。子供の頃、アリアと二人で寝たことはあったが、流石に異性と同じ部屋で寝ることは無かった。
直ぐそばにイルムさんがいる訳でも無いのに。こんなに緊張して……。早く寝ないと明日に響くのに……。
瞼を閉じ、今日あった出来事を思い出す。
イルムさんと話して……あっ……。
私があの戦いから逃げた理由。それをすっかり忘れていた。
『イルムさんと沢山お話しする事』
逃げると決めてから、ドタバタしてて全然お話し出来ませんでした!?なんて勿体ない!
でも、逃げた今なら時間制限なんて無い。いつでもお話が出来るのだ。その事実にミリスタリアは自分でも気付かずに顔を緩ませていた。
side アリア
先程から『フフッ』とか『エヘヘ』とか聞こえてちょっと恐いです、姫様。そこまであのイルムという奴にメロメロなのですかね。
確かに、姫様が昔に話して下さった理想の人の見た目にはぴったりですね。それにあやつもミリスタリア様と話して明らかにデレデレしていたみたいですし。まぁそれはこちらの姫様も同じ事ですが。
唯一の魅力と言ったらアースヘルムで負けなしの強さを持つ事ですけど。
それだけで姫様があんなに悲惨な事になる筈が無い。私が知らない『何か』があの2人があったのかもしれない。
明日は姫様からそれを聞き出さなければ。
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