ピンチです?
「ミリスタリア様!」
姿を現したのは、銀髪メイドでした。この状況、大分ヤバくないですか?多分この人がミリスタリアの言ってたアリア……さん……か……な?
「……アリア?」
「姫様。離れて下さい。そいつはアースヘルムの『東の切り札』です」
「……ここまで付いて来たって言うのですね?」
「私が姫様の命令を破った事については深く反省しております。しかし、そこは危険です。今すぐお離れ下さい!」
銀髪メイドは、こちらへの警戒を解こうとしない。
……あっ、剣構えてるのが原因か。
「待て待て!俺は争うつもりはないぞ!」
剣を後ろに投げ、手を挙げる。
「そんな事が信用できるとお思いですか?」
銀髪メイドは懐から、鎖鎌のような武器を取り出し構えた。
「アリア、武器をしまいなさい」
ミリスタリアが聞いたことも無いような声のトーンで話している。何時もあんなにウキウキしながら話し、『私、ハッピーでーす!』みたいなオーラをビンビンに出しているミリスタリア。しかし現状ではーー
「しかし、ミリスタリア様」
「しまいなさい」
「しかし!」
「私の言うことが聞けないのですか?アリア・クラリネット?」
銀髪メイドさんに対して高圧的で、更に『私、怒ってます』のオーラを怖いほどに放っている。こんなの俺に向けられたら溜まったもんじゃない。
「……はい」
ガチギレミリスタリアに気圧されたのか、渋々銀髪メイドさんは武器をしまう。しかし、俺への警戒は解ける様子は無い。先程から俺への殺気が痛いほど飛んでくる。
「アリア、少し私と話しましょう?」
「……はい」
ミリスタリアに肩を掴まれて連行される銀髪メイド。
「え?お、俺は?」
「イルムはそこで待っててください♪」
「あ、はい」
俺に向けられた笑顔が、怖かった。
〜〜〜
「み、ミリスタリア様にお仕えしている、アリア・クラリネットです」
約一時間後、眉間に青筋を浮かべながらこちらに一礼してくる銀髪メイド改めアリアさん。
「はい、よく出来ました♪」
アリアの後ろで笑顔を浮かべているミリスタリア。その笑顔は先程の”怖い”笑顔ではなく、見慣れた”可愛い”笑顔である。
「すみませんイルムさん。私の詰めが甘かった所為でこんな事に……」
「いや、そこのアリアさん?が口が硬いなら良いんだが」
「私が保証します。アリアには絶対に外に漏らさせません」
「それなら良いんだけど」
先程から、睨んできてる所に不安を感じるんですけど。
「えっと、俺の事は知ってるのかも知れないけど。アースヘルム軍所属イルムです」
「アリア?先程も説明いたしましたけど、イルムに危害を加えたら絶交ですからね」
「ぜ、絶交……わ、分かっています」
「そう警戒しなくても大丈夫ですよ。昨日だって話しただけですし」
「まだ一日じゃ無いですか。たった一日で軽々しく判断するのはどうかと思います」
耳が痛い話だ。まだミリスタリアとは昨日会ったばかり。まだ一日しか経っていない。長い付き合いがあるアリアさんと比べてしまう。なんだか少し、複雑な気分だ。
「そうですよね、まだ一日なんですからこれからもっともっとイルムさんの事知れるって事ですよね!」
ミリスタリアがそう言うと、アリアがこちらを睨んでくる。しかし、ミリスタリアがそういう言い方をしてくれたのは嬉しい。
「……えぇとミリスタリア様。申し上げたいことが有るのですが」
「しょうがないですね、許可します」
「恐らくですけど、明日でこの戦いも終わりですよ?」
「「……あ」」
二人は呆けた。
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