第四章
第四章
「杉ちゃん、また余分なこと言わないでよ。なんでまたそういう歴史的な悪人のことを持ち出すのさ。だって、この人は、お医者さんだし、僕たちが知らない事だってたくさん知っているだろうし。」
蘭は、そういって杉三の一言を訂正しようとするが、杉三は平気な顔をして、こう続けるのである。
「それがなんだっていうんだよ。とにかく、お前さんは、道鏡みたいな、悪いやっちゃ。その証拠に、水穂さんの事つかって、出世しようとたくらんでいるんだろうからな。」
「そんなことはどうでもいいよ。とにかく、水穂さえ何とかしてくれれば。」
「だから、何とかしてという概念はあきらめろ。そのほうが、本人にとっても絶対にいいんだよ。」
何を言っても馬耳東風。杉ちゃん、君はどうしてわかってくれないんだと、蘭は、肩を落とした。
「杉ちゃんさ、もう、大昔の話を持ち出すのはやめたら?少なくとも、戦前だったらね、そういう気持ちの人は多かったかもしれないけど、今は、頑張って治すんだというほうに、重点をもっていかなくちゃ。とにかく、水穂さんだって、確かに完治する可能性は無いけど、でも、病気と付き合いながら、生きていくことは可能だと思う。だから、あきらめるということは、まだするべきではないし、
いまは、ほとんどがあきらめなくても、大丈夫な時代になってきているから。」
道子は、医療関係者らしく、そういった。誰かが大病すると、必ず出てくるこのセリフ。
「ああ、もうそういうのはやめてくれ。そんなセリフのせいでな、いろんな人が傷ついているのを、お前さんは知らないはずだよ。ただ、症状が緩和されれば、それを成し遂げただけで、偉い人ぶってるだけなんだよ。それよりも、いろんな人に負担かけて、苦労させて、其れなのに何の見返りも返ってこないという、現実を考えろ。お前さんがやっているのはな、ただ、それを長く引き伸ばして、余計に負担をかけるだけなんだ。そこを忘れてはいかんぞ。ただ、治したからと言って、格好つけてるもんじゃない。」
このセリフを聞きながら、杉ちゃんもどうしてそんなに冷たくなってしまったのだろうか、と思う蘭だった。
「杉ちゃん、君はどうしてそういうセリフを平気で言うんだよ。水穂、何かあった?」
「ああ、あったに決まってら。だから、今みたいに、でっかい施設に閉じ込めておくと、本人となかなか顔合わせられないから、変な期待ばっかり出ちゃって、それでおかしくなるわけよ。本人としょっちゅう顔を合わせてると、ああもう逝かせてやったほうが、楽になるな、こいつ。っていう気持ちにもなるんだよ。まあ、お前さんにはわからないかもしれないけどさ。昔のやつらはそういうところをちゃんと知っていたと思う。だから、後になって、面倒なトラブルもなかったんだろ。長く生かしておくって、いいことのように見えるけど、実はすごくむなしいことでもあるんだよ、蘭。」
蘭が返答に困って考え込んでいると、
「そうね。確かに症状が極めて重いから、そう見えちゃうんでしょうね。でも、今は少なくともそうではないから。だからもうちょっと、前向きになりましょうよ。あのね、一寸専門的になっちゃう話だけど、もしかして、これから使えるかもしれないという、治療薬があるかもしれないのよ。」
と、道子が発言した。
「はあ、なんだいそりゃ。」
杉三が、ボケっとしたように言う。
「あのね、昨年海外で開発されて、日本ではまだ実験上の段階なんだけど、これまでよくならなかった膠原病の患者さんに投与したところ、うまく回復できたという治療薬があるのよ。」
「それがどうしたっていうんだよ。」
「だから、水穂さんでそれを試してみたいの。どう、やってみない?」
「ああ、そんなのはお断り。だって、危険すぎるよ。そんな危ない薬。だってまだ、実験の段階なんでしょ?それで変な副作用でも出しちゃったら、最悪だよ。そうしたら、よくなるどころか、悪くなっちゃうもん。それじゃあ余計にかわいそうだもん。絶対にお断りだからね。」
道子の誘いに杉三は全く否定したが、蘭は、これはもしかしたらいけるかもしれないと思ってしまった。
「あの、それはどんな薬なんでしょうか。もし、良ければ試していただきたいです。」
「よせ、蘭。やめろ。このままだと、お前さんが一番ひどいことを平気でしていることになるよ!」
杉三はそう警告したが、蘭はそれを無視して、道子にこうお願いした。
「お願いします。やつを実験台として、試してやってください。」
「わかったわ。じゃあ、お願いがあるのだけど。この薬はまだ、実験の段階なので、入手するには、保険がきかないの。海外通販でしか入手できないから、相当お金がかかるけど、それでいい?」
懇願する蘭に道子はそういった。蘭は、何の迷いもなしに、
「お願いします!いくらくらい出せば?」
と頭を下げる。
「そうね、とりあえず、一週間分飲んでもらうとして、二十万くらいかしら。」
またそれは大金だ。なかなか普通の人では用意できない金額であった。でも、蘭は、まったく迷うことなく、
「わかりました。分割とか、リボ払いでもよろしければ。ちょっと一括では払えないので。」
と言った。
「支払方法は何でもいいわよ。やりやすいものを使ってくれれば。」
道子は、優しくそう言ったが、杉三はますます疑いの目を強くした。
「バカ!そんな大金支払わせるなんて、まさしく道鏡だ。蘭目を覚ませ。お前さんは、道鏡に騙されてるよ!」
「うるさいな。杉ちゃんだって、文字の読み書きができないんだから、いちいち文句付けないでくれないかな!」
蘭は、でかい声でそう言い返す。その顔は、もう真っ赤になっていて、まさしく怒りそのものであった。これではだめかと、杉三もがっかりと肩を落とした。
「水穂さん、またいい迷惑を被るんだろうな。」
と、杉三の一言も無視して、
「お願いします!」
と、また頭を下げる蘭だった。
「わかりました。明日、水穂さんのところへもっていきますから。」
道子がそういうと、
「ありがとうございます!」
顔中涙だらけにして喜ぶ蘭だった。
その数日後。
「具合どう?」
食事を持ってきてくれた恵子さんが、そう尋ねる。
「変わりありません。」
いつも通り、布団に寝たままの水穂は、そう答えを出した。
「そうか、変わりないか。ということは、頭も痛いのか。」
「いえ、そこまではいってないんですけどね。」
水穂がそういうと、
「あら、薬変えてよかったのかしら。ほら、今までは連日のように頭痛がすると言って、大変だったじゃない。」
と、恵子さんは、少しうれしそうな顔をする。
「あ、はい。すみません。」
「すみませんはいらないわ。それならば今日はご飯食べてくれるかしら?」
「あ、はい。」
「じゃあ、起きて。寝てばっかりではだめよ。そして、しっかり完食して頂戴ね。」
「わかりました。」
恵子さんにそういわれて、水穂は、重たい体をよいしょと起き上がらせ、布団の上に座らせた。もうその動作だけでもかなり疲れるようになっていた。恵子さんが枕元に、行平の乗ったお盆を置いて、ふたを開ける。そして、匙で中身を取り出して、
「はい。」
と水穂に差し出した。水穂はそれを受け取って、重機が石を持ち上げるかのようにゆっくり口にした。
もっとぱっぱと食べれないものかと恵子さんは思ったが、本人にとっては、在りとあらゆる動作が不自由になってくるために、いろんなことが重労働になってしまうのだ。そのうち、筋力がことごとく低下すれば、寝たきりになってしまう可能性も高かった。
とにかく、匙で中身を出して、口へもっていく動作だけでさえも、非常にゆっくりになり、体力のいる動作だった。それが、食欲をなくしてしまう一因なのかもしれなかった。
「今日は午後から、ブッチャーと、杉ちゃんたちも来るから、体力つけておいて頂戴よ。あの人たちが来たときに、眠ったままでいることになったら、みんながっかりするからね。」
そういえばそうだった。ブッチャーが久しぶりに家族旅行に行って、大量に土産を買ってきたので、お渡ししたいので、集まってほしいと言ったのだった。姉を連れて家族旅行に行ったのは、実に20年ぶりだという。それではよほど楽しかったのだろうな、と、水穂もおもった。
そのためにも、と思い、水穂は、何とか重たい体に鞭打って、行平の中身を食べてしまった。
「よし、完食できたじゃない。じゃあ、あとはブッチャーたちが来るまで、しっかり眠っておいてね。その時になったら起こすから、もう気分悪いなんて言わないでね。」
「はい。」
とりあえず食べ終わって、水穂は口の周りを拭き、倒れるように布団に横になったのだった。恒例のように、恵子さんから、吸い飲みをもらって、薬を飲みほした。幸い、完食できたせいか、浅いけれど、数時間眠ることができた。頭痛も何もしなかった。まあ、これでよかったのかな、と恵子さんは、食器を片付けに台所へもどった。
暫くして、
「こんにちわっす。約束通り、お土産持ってきましたよ。」
ブッチャーが、玄関先ででかい声で言っているのが聞こえてきた。
「はあい、今行く!」
恵子さんは手を拭いて急いで玄関先に行き、玄関の戸を開けた。道中、一緒に来たと言って、杉三と由紀子も一緒に来ている。
「どうもです。いやあ、行ってきました。姉ちゃんの体調を考慮して、一泊しかできなかったけど、とても楽しい観光旅行でしたよ。」
ブッチャーは、そういいながら、二重廻しを脱いだ。全く、もっと長く旅行したかったなという気持ちが見え見えだぞ、と杉三にからかわれた。
「どこに行ってきたんですか?」
由紀子がそう聞くと、
「いや、本当に近くで、千葉ですよ。いすみ鉄道に乗って、レストランキハっていう食堂車で食事をしただけです。」
ブッチャーはそう答えを出した。
「なんだ、本当に近場じゃないか。それに、ただ気動車に乗っただけの、観光旅行かいな。」
杉三がバカにするように言ったが、
「しょうがないでしょ。お姉さんの体調も考えなきゃいけないんだから。」
由紀子はそれを制した。
「とにかく上がってよ。水穂ちゃんも待ってるわよ。」
恵子さんは、三人に、中へ入ってもらうように促す。
「よし、そうさせてもらおうか。お邪魔しまあす。」
三人はその通りにした。由紀子が水穂さん、具合はいかがですか、と聞くと、何とか大丈夫みたいよ、最近は、新しい薬のおかげで、変にせき込むこともないしよく寝てるわよ、と恵子さんは返答した。なら、大丈夫なのかな、と由紀子はちょっと安心して、中へ入らせて入らせてもらった。本当は、心配でしかたなかったのである。
全員が四畳半に行くと、鴬張りの廊下が大きな音を立てたため、水穂は何となく目が覚めた。それと同時に、ふすまが開いて、
「起きて、みんな来たわよ。」
と、恵子さんの声が聞こえてきたために、また重い体を持ち上げて、布団の上に座った。由紀子が、すぐに、彼の体を支えてやって、枕元に置いてあった、うす掛けを体にかけてくれた。全員、その周りに座る。
「あ、どうもです。お帰りなさいです。」
水穂がブッチャーに向けて軽く頭を下げると、
「いや、俺、二日間留守にしただけですから、そんな久しぶりに会ったような言い方はしないでください。」
ブッチャーは、にこやかに笑った。
「でも、楽しかったんでしょ?久しぶりに、遠くへ出られて。」
と、由紀子がある意味羨ましそうに言った。
「いや、田舎電車のいすみ鉄道に乗って、そこの食堂車にのっかってきただけですよ。」
と、ブッチャーは苦笑いした。
「やっぱり食いしん坊のお前さんだな。食堂車に乗っかるなんて。僕も久留里線に乗って旅行したことがあるが、食堂車というものはなかったよ。」
「まあね、JRにはそういうものはないわね。いすみ鉄道は、私鉄だからね。そういう面白い電車ができるのよね。」
由紀子と、杉三がそういいあっている間、
「はいこれ。お土産です。いすみ鉄道の気動車の中で販売していました。」
と、ブッチャーは風呂敷包みを開いて、木製の箱を開けた。
「はあ、何だこれ。ぬれせんべいじゃないか。」
確かに箱の中にはぬれせんべいが、三袋まとめて入っていた。
「はい、硬いせんべいだと、水穂さんが食べにくいかなと思って、ぬれせんべいにしました。」
「なるほど。いわゆるい鉄あげといわれるせんべいの事ね。あたしも、千葉に住んでいた時、見たことがあるわよ。」
由紀子はそう解説した。さすがに駅員という職業柄、鉄道には詳しかった。
「はい。水穂さんも食べられるように、醤油味とソース味、あとカレー味も買ってきました。どれでも結構ですから、皆さんでもっていってください。」
ブッチャーがそういったのと同時に、
「あら、おいしそうなおせんべいじゃない。丁度さ、お茶持ってきたから、みんなでいただきましょうよ。」
恵子さんが全員分の湯飲みをもってやってきて、そんなことを言った。
「わかりました。僕はお茶だけで結構です。おせんべいは、皆さんで食べてください。」
水穂はそういって遠慮したが、
「いや、いいんじゃないの?一応、杉ちゃんにお願いしたわけだし。」
と、恵子さんに言われて、断り切れず、仕方なくソース味の、せんべいを一つとる。由紀子が心配そうにそのさまを眺めていた。杉三なんかは、いただきまあすと言って、もうがりがりとせんべいを食べ始めていた。
恵子さんもせんべいを手に取った。ブッチャーが、いすみ鉄道の気動車にのって、食堂車で食事をさせてもらったが、菜の花畑の中を通っても、まだ冬なので寒く、花は何も咲いてなかった、でも、出された料理は本格的なイタリアンで、ものすごくうまかった、など旅行の思い出話を語り始めた。由紀子も、あの辺りは思い出あのある土地だったから、ついつい、面白くてそれに加担した。おかげで
おしゃべりは最高峰に盛り上がる。
ブッチャーが、姉の体調を考慮して、高層ビルのようなホテルではなく、離れタイプの高級旅館に宿泊し、そこで食べた焼き肉定食が、最高においしかったと発言し、杉三が、どこへ行っても食べて食べてなんだな、お前さんは、と小ばかに笑っていたその時である。後のほうから急に激しくせき込む音がした。全員、おしゃべりをやめて、音がする方を見る。
「おい、よせ!またやるの?こんな時に!」
杉三がそう話しかけても、返ってくるのは咳き込む音であった。杉三が急いで枕元のタオルを口元に当てて、いいよ、やれ、と言っても、出るべきものがでない。
「また詰まったか。」
杉三が、困った顔をしてそういうと、
「ええ、どうしよう。痰取り機は修理に出したばかりですよ。電源が入らなくなってしまったじゃないですか。体液を扱う機械ですから、すぐに壊れてしまうのだと、言われてしまって。」
「しばらく咳き込まなかったから、修理してもいいかなと思ってたのよ。あたしたちは。」
ブッチャーと恵子さんは相次いで発言した。その間にも、水穂がせき込む音は、さらに大きく強くなる。
「俺、一寸電話してきます。」
ブッチャーは、急いで部屋を飛び出し、スマートフォンで電話をした。その間に由紀子は、水穂の背をさすってやりながら、
「大丈夫?苦しい?」
と聞くが、返答をするどころではなかった。
「すぐ持ってきてくれるそうです。ああ、よかった。」
ブッチャーが部屋に戻ってきた。その、ほんの僅か数秒後。もしかしたらほぼ同時と言っていいかもしれない。ブーンと蜂が飛んでくるような音がして、中庭の石の上に、小さな無人ヘリコプターが一台止まった。ブッチャーはすぐヘリコプターに縛り付られて運搬されているものを確認する。まさしく、痰取り機の箱であった。どういうことだと杉三が聞いたが、それに答える暇もなく、ブッチャーは中身を開けて、機械を取り出し、チューブを水穂の口の中に無理やり突っ込んで電源を押す。杉三と、恵子さんは、彼の体を捕まえて、動かないようにさせていた。
ズヴヴヴヴヴヴヴヴという音がして、チューブを血液が上がっていく。この作業は一分程度で終わるのだが、一瞬大暴れするほど苦しく、泣いたりわめいたりする人も多い。誰がやってもよかったという人はまずいないだろう。水穂も声はださないが、その顔と、抵抗感で本当に苦しいなということが読み取れた。
その一分間は、非常に長く感じられた。ブッチャーがよし、とれたとれたといって、痰取り機のスイッチを切るまで、何十時間もかかったような気がした。やっと詰まっていたものが取れて、水穂は大きく息をした。由紀子が水穂さんと、呼びかけても答えることはなかった。
「どうしよう、気絶しちゃったのかしら。」
「いや、眠っただけですよ。たぶんものすごく苦しかった後で、疲れてしまっただけだと思います。」
ブッチャーはそう答えるが、彼自身も緊張したらしい。顔中汗だらけだった。
「ごめんください。どうですか、うまくいったでしょうか?」
玄関先から声がした。誰も返答できるような元気はなかった。やっぱり大変だったのかな、お邪魔しますと言って、その人物は、中へ入ってきた。
「いや、すみません。僕が事情を話して車を出してくれとお願いしたのですが、それでは間に合わないと小園さんが、ラジコン飛行機で飛ばして送ったらどうかと提案してくれました。なので彼のいう通りにさせてもらったんです。僕は全く思いつかなかったし、ラジコン飛行機で遊んだ経験もありませんので、よくわからなかったのですが、小園さんがラジコンマニアでよかったと思います。」
「そうか、それもジョチさんの指示だったのか。」
杉三がそういうと、ブッチャーと恵子さんは助けていただいて、ありがとうございます、と口々に言った。
「その様子ですと、うまく言ったんですかね。なら、安心しました。」
「だ、だけど、本当に驚きましたよ。せんべい一枚食べただけでこうなるとは思いませんでしたから。俺、悪いことしちゃったかなあ。やっぱり、せんべいなんか買ってくるんじゃなかった。」
ブッチャーがそういうと、恵子さんが、
「でもおかしいわね。だってこないだの新しい薬をもらって以来、一回もせき込んだことはなかったんですよ。それがなんで急激にこんなに、、、。」
と、戸惑いながら言っている。
「だから言ったでしょ。切れると、戻っちゃうんだよ。こうなって。もうさ、薬ばっかり使って、振り回させるのはやめようよ。そんな切れると急激に戻っちゃうんだったらな、薬がなければいられなくなって、何にもできなくなっちゃうよ。もう、そんなものは、捨てちゃおう。」
杉三が、でかい声でそういった。確かに、痰取り機に頼って吐瀉物をとる作業は、本当に凄惨そのものの光景だった。だから、由紀子もそのほうがいいと思った。
「だけど、あれがないと、しょっちゅうせき込んで、あたしたちのほうが、何もできなくなっちゃうのよ。」
「俺も、忙しくてそんなに頻繁にはこっちへ来られないですしね。」
ブッチャーも、恵子さんもそういっている。
「わかりました。それでは、一度皆さんを交えて話し合った方がいいですね。」
ジョチさんがそういってまとめてくれなかったら、また愚痴のオンパレードになってしまうのではないか、と由紀子は思った。同時に、恵子さんもブッチャーも、自分の都合ばかり考えているのが、悲しかった。
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