『レッサーパンダ』の過去
自分の人生、どーしょうもない物だった。
友達いないし。なんというか、前から自分は少し、
周りと違うんじゃないかと思い始める。
自分の中にもう一人自分がいそうな気がする。
「こんにちは」
と挨拶してくれたフレンズにも。
「ああっ?何だよ...、うぜえなぁ...」
「ご、ごめんなさい...」
もう一人の自分が出て、他人を傷つけてしまう事もあった。
そして、ある時には。
「うっ...、うっうううっ...、うあああん...」
訳も分からず、泣き続ける日もあった。
近くに住むフレンズからは、奇妙な目で見られたこともある。
自分でも、自分の主たる性格がどちらであるのか。
悩み続けた。
どちらが、真実なのか。
何故自分はこんなことで悩まなければいけないのか。
他人に牙を向けることさえ無ければ。
私の周りに、好んで喋りかけてくれる人はいない。
もう嫌だ。
自分が自分のことで苦しみ続けるのは。
こんな自分なんて、いなくなればいい。
誰も悲しまない。
自分も苦しまない。
無意識に私は高台に来ていた。
ここの崖下に落ちれば、全てが終わる。
目を閉じ、楽な道に進もうとした時だった。
「待って!」
明瞭な声が耳に入り、振り向いた。
見た事もない、白と黒のフレンズがそこにはいた。
「・・・」
「そこは危ないよ」
おっとりとした口調で話しかけて来た。
「...うるさいっ!!」
声を荒らげ威嚇し、崖下に足を踏み出そうとした。
「なんで?」
「はあっ...」
彼女はいつの間にか、背後から私を抑えていた。
力が強く、内側に引っ張られた。
「離してよっ!」
バシッ、と私の頬を叩いた。
「無視しないでよ...。何があったの?教えて」
彼女は明らかに、"怒っていた"
その時の怖さなのか、それとも、やっと構ってくれる人が
いた事の安堵なのかわからないけれども、私は彼女に抱き付き大粒の涙を流した。
それ以降の事は、私自身も覚えていない。
その出来事以来、彼女は私の唯一の理解者になってくれた。
彼女は、私にこう言ってくれた。
「どっちが自分かわからない?
私はー...、その明るいレッサーちゃんが
本当のレッサーちゃんだと思うよ...?」
私は、彼女のおかげで本当の自分というのを見つけられた。
死なずして、苦悩から解放されることが出来たのだ。
今では、彼女とはとても仲良くなった。
また、あの私を苦しめるような両極端な自分はすっかり現れなくなった。
本当の自分を見出してくれた、感謝しかない。
彼女は私にとって恩人でもあり、親友だ。
ある日私は、家を探しているという3人組と出会った。
彼女と話をしていたので、私はこう忠告してあげた。
「ジャイアントパンダちゃんを怒らせると怖いですよ」
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