第37話:レストラン開業候補地探し1

 2003年、長女の安田峰子は、東京農大の食料環境経済学科4年、次男の安田健二は一橋大学商学部の2年生。


 達夫は、三井銀行、退職直後、ゆっくりと熱海の温泉に1週間、長逗留した。その温泉ホテルで、奥さんの夢子と将来のことを話し合い、奥さんは、ゆっくりとしたペースで良いからレストランをやりたいと言った。実は、長女の峰子は、妻有の里で、大学1年から、夏休み、冬休みパートのアルバイトをして、料理の勉強をしていたと教えてくれた。


 次男の健二は、将来、ビジネスマンとして何か飲食に、関係する商売をしてみたいと話していたと聞いた。それに対して達夫は、レストランの案を具体的にまとめて見ろと言った。話によっては、金を用立てるから、計画しろと言うと、夢子は、早急に妻有の里の社長に会って、相談してみると話した。


 店の定休日の水曜日に達夫と夢子は「妻有の里」の広瀬社長に会い、将来、レストランを始めたいので、協力して欲しいと言うと、具体的に話が進んだ時に、相談に乗るから、連絡してと言われ、一安心した。もし、夢子が、レストランを経営するなら、「妻有の里」から調理師を送っても良いと言ってくれた。

 その後、妻有の里」は、レストランを展開する事なく、駅前出店攻勢で、武蔵野を中心に50店舗、田園都市線沿線、東急線沿線にまで出店して、もう3つ目の食品製造工場もつくり、従業員数も300人を越え、毎年40人前後の調理師を育成して、数年後に巣立っていく、調理師も、多い、そこで調理師学校も2つ設立した。毎年パート、アルバイト50人前後採用し、中学、高校、調理学校卒業者を30人程度採用していると話してくれた。


 そのため毎年数人なら調理師を紹介できるといった。年間利益20億円と中央線沿線では、押しも押されもしない業界の大企業になった。この話に、長女の峰子が、私も栄養士、管理栄養士と調理師の免許をとるつもりであり、また、次男の健二もレストラン経営に興味を持っていてたので、レストランを建てると言う話に是非、参加させてほしいと話していた。


 達夫の現在の資産を詳しく調べると、52500万円とわかり、レストランを建てる決意を固めて、その場所を考え始ると、いつの間にか2003年も終了し、2004年を迎えた。


 2004年3月に長女、峰子が東京農大の食料環境経済学科を卒業して、夢子と峰子と達夫でレストランの場所をどこにするか議論すると、まず首都圏から1時間以内で景色、環境の良い、行楽地という意見で一致した。


 この条件から、三浦半島の城ケ島、湘南、逗子、鎌倉、江ノ島、藤沢、辻堂、茅ケ崎、千葉の房総、箱根、湯河原、熱海、御殿場が候補に上がった。しかし既にリゾート、施設レストランの多い場所は、敬遠したほうが良いだろうとなり、達夫が、最初は確実に、三浦半島の城ケ島が良いと話すと、海辺の次は山の美しい所で、あまり競争の激しくない所と考える御殿場が面白いと言った。


 長女が、卒業後の6月中旬から、学校の仲間とハワイと米国旅行に出かけて、7月中旬に帰ってくるのを待って、涼しくなる8月20日から、候補地を回る事にした。まず8月20日に箱根、湯河原、熱海、御殿場へ1泊で出かけてみると、やはり、箱根、湯河原、熱海には多くのレストランやホテルがあり厳しいことがわかり、唯一、御殿場の駅周辺が候補として残った。

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