第22話:山北リゾートクラブ営業部長の仕事1

 2012年10月31日、山北社長から電話がかかって来て「11月10日、接待ゴルフに参加してくれないか、場所は伊豆の川奈ゴルフクラブ、1泊2日だ」と言われ、了解した。翌日から、にわかに、運動を始めて、ラジオ体操や屈伸運動をして、早朝の打ちっ放しゴルフを始め、ゴルフ道具も再度、確認したが、錆が出ており、川奈でゴルフクラブをレンタルできる事を確認して電車で出かけた。


 数日でゴルフの勘が、戻ってきてクラブのフェースに、当たるようになり、まっすぐ飛ぶ様になり、年を取って、余計な力が入らなくなったのかも知れない。待ち合わせを聞くと「11月9日、午後5時に川奈ホテルというので、川奈ゴルフ場でゴルフクラブを借りるので電車でと行こうと考えています」と言うと、了解したと、答えた。11月9日、この日、晴天、ゴルフ日和であり、ひと安心した。


 池田松男は、川奈ホテルに、チェックインして、名物の露天風呂に入り、夕食をとって、部屋で山北社長と、酒を飲みながら、接待相手を聞くと、最近流行のインターネット漫画を始めて、儲かっている会社の40歳の社長と30歳代の専務で、従業員は50人で、「社長が、個人会員になっているが、専務は入っていなくて、儲かってるんだから、10人まで使える企業会員の一番高いグレードに入会させたい」と言った。


 そこで、社長と専務の趣味は?、乗ってる車は?、性格は?、と矢継ぎ早に、山北社長に聞くと、「そんな事知らないと言うので、営業は相手の情報を必ず、前もって調べておくのが常識です」と言ってしまった。そこで山北社長が会社に電話して残業してる社員に彼らの情報を池田松男のスマホに送るように指示し、数分後、情報が入った。


 その情報によると「露木泰之社長43歳、慶応大商学部、米国留学しMBA取得、オシャレで、車はBMW」で「富裕層の奥さんとは、2年前性格の不一致で離婚」、「子供の養育費で、もめたらしくカッコは付けてるが金は無い」。「気が短く、ヨイショ、おだてに弱い」。「米国人女性みたいなグラマーが好き。酒は弱く赤くなりエチケットにうるさい」。


「里村猛専務34歳、立教大学商学部卒で米国留学3年でMBA取得、1年前に以前、米国留学中に知り合った米国人の女性と結婚」。「英語が得意で、学のない奴、品のない奴が大嫌い」。「車がアウディでスピード狂。バイクもBMWで、良い所の、お坊ちゃまで育ち、ちょっと浮き世離れしている」。「お世辞や下心ある人は嫌い。率直に話す人を好む、インテリタイプ」、でも、「実際は、それほど賢くなく、これが彼の弱み」、「学校は6大学だが一流大学中では下の方であるから言われたくない」。「特に無駄口の多い、おしゃべりは大嫌いであり、短期ではないが切れやすいタイプ」。


 これを見て、池田松男は頭を抱えた。「山北社長、彼らは本当に手強いですよ」と言い、「決して上目線で、ものを言わないで下さいね」と言った。明日の接待では、「山北社長はナイスショットとか、挨拶、お礼、以外、しゃべらないで下さい」と言った。「後は、全て、私がやりますから」と池田松男が言うと、「困った様に、実は、今まで、2回、接待したんだが、駄目だったんだよ」と、本音を漏らした。


 「これで、接待3回目だと言い、是非、良い答えが、欲しい」と話してくれた。「くれぐれも営業的な事を、上目線で、しゃべるのは、絶対にしないで下さい」と山北社長に、念を押した。「彼らが、上目線の言い方が、

大嫌いだと書いてあり、失礼ながら、山北社長は、常に、上目線のものの言い方になっています」と言うと、そうかなー、と、がっかりしたように言った。

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