第17話:小説の勉強会と幸恵さんの肺がん

 次が、山田修吉の「岩倉家の忘れ形見」と言う題名の小説で、昭和7年の515事件で殺された。日本の岩倉公爵の娘と息子が命からがら、屋敷の隠れ部屋に、身を隠し、助かり、その後、終戦後、息子が肺結核で倒れて死亡して、娘は疎開した信州の豪農に嫁ぎ、難産の末、息子を授かり、その後、子供ができない身体になり、その息子が岩倉公爵家の忘れ形見となり、戦前に岩倉家がスイスに資産を金・ゴールドと米ドルにして預けていたのがわかり、その後、1人ぼっちで大都会で生活して、周りの人に助けられ育っていくと言う小説。


 この小説に対して山辺敏夫が、「導入部の入り方はバッチリ、その後のストーリーも、時代背景と、マッチしていて良かった、戦後、スイスの隠し財産を、日本に戻す時の話の展開と米ドルから円へ、金から円への投資的な要素も面白い、最終的に2025年問題にぶつけて、老人ホームの経営へ移行した点も終わりとして面白かった」、これらの点が良かった点。


 もう一つという点は、「スイス銀行から日本の銀行に資金を1950-60年代に戻す事は、現実には無理じゃないかと思われる点なと、細かいところで、現実離れしていた点」だと話した。


 田島華子が、「私は、面白いと思い、また、今のラノベにない、スケールの大きさを感じて良い作品だと思う」と誉め、「細かい点で歴史的事実にあわないと言うけれど、歴史に忠実でなければならないのはノンフィクション小説だけで、小説では多少のフィクションは許されるというか、それが小説のスパイスとでも言う大事な所でもあるのではないですか」と弁護した。全体的に、田島さんの意見に、賛同する方が多かった。


 司会の池田松男は、2時間で6編の小説の批評を終えられて、目標どう入りに進行できて喜んだ。勉強会を終えて、夕食をとりながら、近くの居酒屋で、乾杯して、小説の批評の話題で、盛り上がり、多くの人が、小説のサークルとしてはレベル高いですねと言ってくれた。田島華子さんと横山輝彦さんが、「ライトノベル、転生ものの小説がなくて良かった」と本音を漏らした。そして、盛り上がって、池田松男と幸恵さんが家に帰ったのは、夜10時過ぎになり、すぐ寝て、翌朝を迎えた。


 池田幸恵さんが決められた施設で、子宮ガン、乳ガン検診を11月8日に受けに行った。その後、11月10日に池田幸恵さんの肺がん検診で、疑わしい点が見つかり、かかりつけの佐藤医院を受診するように、書いてあった。翌日、佐藤医院へ行き、家から近い、所沢の防衛医大病院の肺がん検診の精密検査外来受診のための紹介状を書いてもらい、11月13日、池田松男と幸恵が、防衛医大病院の肺がん検診の精密検査外来を受診した。


 3時間位かかり、肺がんのステージは1Aで限局型・がんが原発巣のある側の胸郭内にとどまるタイプで、0期ガン・一番初期のガン、が臓器の表面を覆っている膜・上皮内にとどまっている。T分類でTis・上皮内がん、肺野に腫瘍がある場合は充実成分の大きさが0cm、かつ病変の大きさが3cm以下、N0:エヌゼロ・属リンパ節への転移がないと言われ、早期発見ができて良かったですねと言われ、癌は表層だけであり、切除すれば、治癒する可能性が強いと言われて、池田松男も説明の時に診察室で話を聞き、ひと安心した。


池田松男は、小説の勉強会のホームページに、病気の件で勉強会を継続できないので終了する事を発表して、関係者全員にメールして、このホームページを近々閉じると書いた。この肺ガンが発見されたことを、池田幸恵さんが、古くから勤めている店の店長に話し、退職させてもらった。

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