　その後６年目に、契約件数と契約金額もトップになり、全国表彰され多額の報奨金

を手に入れた。この結果に気をよくして、入社７年目に、もっと、大きな市場を求め

て、富裕層の多い、田園調布の近くにある世田谷営業所に転勤した。そこで、まず、

詳細な地図を手に入れて、そこに住む方の情報を徹底的に調べ上げて、毎日、一軒一

軒、挨拶回りをして好反応の良さそうなお宅を見つけては言葉巧みに好きな事と、物を聞き出、気の利いた手土産を持って行って、最初はとにかく、気に入られるように

していった。そうして相手の方、多くは奥さんがた、「あなたは、どんな仕事をしているの」と聞かれる様になる迄、じっと正体を言わない。相手が聞いてくれた時に、

「生命保険のセールスでまわっているのですが」、と言い、「少しづつ保険の話をして相手が富裕層であれば、それ相応の備えが必要と言って保険を勧誘する」。

　もちろん、他社の大口顧客を調べ上げて、ターゲットを絞って、訪問していくわけだから、話がまとまれば大口の保険の契約となるので営業成績はドンドン上がっていくことになる。更に、入り込める思った時には、相手の趣味を聞いて、テニスとか、お茶、ドライブ、旅行、海外旅行にも参加して、相手の懐に入り込んでいく。そうして、その方の友人、知人、商売相手をまとめて囲い込み、仲良くなっていき、一網打尽に保険契約を取るという名付けてトロール網作戦で、次々と顧客を増やし、保険契約を積み上げていった。

　この方法で、３年で、世田谷営業所でトップに上り詰めた。次に、多くの芸能人や富裕層の多い、目黒、渋谷エリアと担当する渋谷営業所に転勤となり、営業に行くときの車をアウディにして、颯爽と営業活動に出かけるようになり、上客とのパイプをつくるために、テニス、ゴルフ、クルーズ、別荘へのドライブ旅行と徹底的に接待して、次々に大口顧客を取っていき、その方が会社の経営者の場合は、会社全体を取り込んで保険契約を取って行った。

　そのため他社の保険会社のセールスからはトロール池田というニックネームを

頂戴して、他社の保険セールスに恐れられた。８年目になりＮ保険でもその名が知られる様になり、次に、大企業の本社が多い東京・日比谷営業所に転勤となった。そうして、いつも通り、大企業の本社の掴むべき人を捜し当てる仕事に、毎日、１件でも多く、訪問してまわった。１年が過ぎて、おおよそのターゲットが掴めて所で、その方に、入り込む具体的な作戦を練って２年目から行動していった。もちろん、交際費は多くかかるのは当然であり毎日の様に接待、ゴルフ、ドライブ旅行、たまに相手さんの別荘へ運転手のようにしてつき合ったり長期間のクルーズ旅行につき合ったりしていた。そうして、大企業を根こそぎ、契約に結びつけた時は数十人分の営業成績を一人で取る事になり、歩合収入がとんでもない金額になった。

　それに味を占めて次々に大企業の本社を落としては多くの契約を一気に取ってくるという離れ業をやってのけて表彰状が７枚にもなった。世田谷営業所７年、渋谷営業所７年、日比谷営業所９年の合計２３年経った１９９６年、池田松男も４３歳になり年収が２千万円近くなったが交際費で足らない分を自腹を切るので、

　実質的には、年収１２００－１３００万円程度だった。