前のエピソード――第77話　映画「さよならの朝に約束の花をかざろう」（２０１８）年単位の時間経過描写の難しさ

映画「Search/サーチ」（原題 Searching）

・高校生の娘が姿を消した。父親は行方を求めてＭａｃやＰＣを駆使して娘の友達などに話を聞いて回り警察にも届け出たが見つからず面白がりデマを流すような人物まで現れるが。

・主演：ジョン・チョー（Ｊ．Ｊ．エイブラムス版「スタートレック」スールー操舵士役）

・監督：アニーシュ・チャガンティ（監督デビュー作）

　ＰＣやＭａｃ、ＳＮＳについてよく知っている方々が手がけたなと分かるミステリー。一瞬それは？と思うのですが見事なストーリーテイリングで話が着地する。

　冒頭の家族の歴史を見せるシーンが素晴らしい。最初にＷｉｎｄｏｗｓ　ＸＰの初期設定から始まって？？？。でもこれは娘さんの幼少期、家族で使った最初のＰＣだったようでＸＰの草原デスクトップ壁紙など変更が加えられていき娘の成長の写真やビデオなどがどんどん保存されていく。そしてお母さんの病気と戦いの果ての死。その数年後の２０１７年、娘は高校生という所で物語が開幕する。

　放課後、クラスメイトと勉強しているという娘とのやりとりと途絶が起きて、父親は娘の学校生活をＳＮＳやＭａｃから辿っていき、妻を亡くして徐々に知らなくなっていた娘の日常を知る事になる。

　娘の失踪に警察も珍しく早い段階から捜査に着手。娘の足取りを見つけ出すも娘自身は見つからず公開捜査に切り替わる。

　ＳＮＳでの悪意の炸裂、一見好意に見える事が実はいいね！稼ぎだったりという事がたっぷり示され、父親は暴走して捜査主任刑事に口出すなと言われて四面楚歌状態に。そんな中である手がかりを見つけて飛びついたり起きたりする中で真犯人が捕まったがまだ謎は残されていた。

　本作の視点は基本ＭａｃやＷｉｎｄｏｗｓ　ＸＰで進む。途中である事からＹｏｕＴｕｂｅ上のテレビ局報道ライブ配信にシフトしたりするんですが再びＭａｃに戻ってきて真相に迫る事になる。我々はディスプレイの中から父親の焦燥を見守る事になる。

　最後は巧妙。唸らされた。アメリカの刑事司法でよく出る「第一級殺人」なんて言葉が飛び交う中での取り調べからどうなったか示されていく。実にうまい。参りました。