第75話 映画「ザ・フォーリナー」(2019年5月公開)ジャッキー、アイルランドのテロ戦争の世界へ挑戦

映画「ザ・フォーリナー」

・主人公はロンドンで中華料理店を営む華僑系英国人。主人公は高校卒業直前の愛娘を北アイルランドの英国支配に対する抗議と称する爆弾テロの巻き添えで失う。彼は妻や他の娘を失っており天涯孤独の身となった。復讐を誓った主人公はテレビ報道でアイルランド副首相が昔、爆弾テロを行なって逮捕された事がある人物と知った。

・主演:ジャッキー・チェン、ピアース・ブロスナン

・監督:マーティン・キャンベル

・字幕翻訳は昨年亡くなられた寺尾次郎氏が手がけている(南洋諸島について本を出されている寺尾紗穂さんの父上)。



 ある意味手垢のまみれたテーマなのでストレートになぞるか何か勝負所を変える必要がある。本作は後者を選んでいる。ピアース・ブロスナン扮するアイルランド副首相に対して主人公がテロリストの名前を差し出せと脅しをかけていく所が異なる。


 監督はマーティン・キャンベル。フィルモグラフィーを見るとテレビドラマ「特捜班CI-5」で5エピソード手掛けているとの事。対テロ・防諜警察作品の傑作シリーズでした。手慣れた感じがあるのはこの監督だから故か。


 しつこく食い下がり、それでもダメならなんでもない素材を料理して爆弾を捻り出す特技を持っている主人公。顔からは表情がなくそれが彼の怒りの強さを表している。もちろんカンフーも使うんですが、銃器も容赦なく使う所がいつものジャッキーとは異なる。


 英国政府、警察の対テロ捜査担当部局のS-015、アイルランド政府、武装テロ組織の間の駆け引きを謎の華僑系英国人が引っ掻き回していく。


 エンドロール、ジャッキー映画のNG集は封印されていた。もっとも他の形でジャッキー主演映画であるという印は入っているのでお楽しみに。



SPOILER ALERT 以下に映画の核心部について触れている部分があります。







 犯行声明で武装テロ組織のチーム毎に与えられたコード名を埋め込んで分かるようにしているという説明がある。アイルランド副首相は次の事件が起きたら独断で動いたチームをあぶり出すためにコード名変更を伝達とかある前に最初の銀行爆破の際のコード名で分からなかったものが次の爆破声明で何故分かるというのか。この点はちょっと説得力が乏しい。


 大元は副首相が武装テロ組織を動かしてほどほどに死者が出ない程度のテロで緊張感を高める一方で英国から逃走犯の恩赦という譲歩を引き出す狙いで始まり、それを武装テロ組織のリーダーが無断で死傷者が出るようなテロに差し替えさせた。リーダーがどのチームを動かしたかは自白させている訳ですが、元より副首相がきっかけになる作戦を協議してる訳なので手間取りすぎでは?という疑問は残った。

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