天使のしわざ

私は、天使。

 困っているものは放っておけないし、苦しんでいるものは救いたい。

それが私の使命であり幸せ。


きょうは、人間の女の子。困ってそうだったから、相談にのってあげた。生きるのが嫌になっちゃったんだって。くうだらない。人間は大変だね。生きたり死んだりしなきゃ、存在の意義を保てないんだから。


きょうは、ちいさなクモ。私の寝床に迷い込んだみたいだったから、自然に返してあげた。とっても小さくて、すばしこくて、つかまえるのが大変だったよ。もとの場所で元気にやるんだよ。


きょうは、おともだちのA君。私に話があるんだって。

「いい加減にしたらどうだ。自分のことだけ見つめて暮らすべきだよ。君が何をしているのか、わかっているのか。」

 ふざけるな。殺―-やる――てや――してやる。―-。


 きょうは、ずっとお家で寝ていた。


 きょうは、外に出て、

 何をしたんだっけ。


 きょうは。…………。


 きょうは、人間の女の子。家のベッドから動かないなあ。何をしているんだろう。


 きょうは、ちいさなクモ。どこを探しても見当たらない。私が放ってあげた場所は大きな虫の住処になっているようだった。どっかに引っ越したのかなあ。


 きょうは、おともだちの……。どこに行ったんだっけ。

 天使のわっかもどこに行ったのか分からないし。

 次の困ってるもの探しに出よう。それが私の使命であり幸せ。


   自分を天使だと思っている悪魔のお話

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