Round2 向けられる疑惑の目


 翌朝。


 少し雨が降ったようだ。

 天気予報は暖かくなると言っている。

 

 いつもより少し春っぽい色のコートを来た妻がまだ朝食を食べている私に声をかける。


「ねえ」

「ん?」

「そろそろ白状したら?」

「なななななんの話かな」

「……べつにいいけどね」


 ここで微笑むところがこいつの怖いところだ。

 心臓に悪い。

 美人の笑顔ほど怖いものはない。

 結婚生活で体感したことの一つだった。

 ヤバい。これはヤバい。

 言うなら今だ。

 さあ、早く口を開け!頑張れ!


「じゃあ、私早出だから。行ってきます」

「いってらっしゃい」


 言えなかった。

 

 事態は何一つ解決していない。


 むしろ悪化している。





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