二日目 報告
寝る必要のないラパスは入り口付近に陣取り警戒していたが、幸い何も問題は起きなかった。
夜が明けきる前に隊長が一人でやって来て、前日に頼んでおいた調べものに関する報告をしてくれる。
まずは、quiquii族の持ち物に関する報告からだ。
・食料
-木の根:少々
-木の実:少々
-死んだねずみx2(非戦闘員のことではなく小動物のこと)
-穀物:なし
-岩塩:あり
-グレートボアの肉:約一月分
・道具
-壺
-器、皿
-柄杓
-ナイフ
-ロープ
-笛
・武器
-小剣x2
-手槍
-手鎌
-手斧
-こん棒x5
-つるはし
-ハンマー
-投石器
-壊れた弓
-毒
部族の生存に関わるこれらのものに関して言えば、個人の所有物は少ないのですぐにわかったそうだ。
急いで出てきたので、食料や道具が少ないが、戦いながら出てきたので武器は多いということだろう。武器の中には道具として使えるものもあるので、悪くない。
シェルター内は地下なので温度が低いが、それでもグレートボアの肉は早く保存食にした方がよいだろう。
岩塩はあったので昨晩のうちに塩水に漬けておいてもらっている。今日はそれを燻製にする予定だ。燻製用のスモークボックスに関しては当てがある。
とりあえず、次の報告はquiquii族の役割分担だ。
合計:34名
・非戦闘員(ネズミ):21名(内10名が子供、10名が女性、1名が老人)
-食料調達班:8名
-調理班:2名
-臨時保存食係:2名
-清掃班:3名
-保育班:2名と保育される幼児3名
-長老:1名
・戦闘員:13名
-防衛班(シェルター入り口):2名
-索敵班(外):3名
-護衛班(食料調達班やラパス周辺):3名
-夜勤班:3名
-負傷者:2名
この分類は大雑把なもので長老以外は必要に応じて臨機応変に変化するそうだ。だが、数字で見ると子供の数が多いように思える。特に彼らは大人になるのが人間より大分速いので、逃げる時に優先的に保護されたということだろう。
ただ、子どもたちは歩けるようになると労働力としてあてにされるようになるようだ。
それに明確にされていないが妊婦もいるようだ。子供や妊婦はなるべく危険の少ない作業に割り当てる必要があるが、その辺は自分たちで調整出来ているようだ。
その他にも各自の能力に関しても調べてほしいのだが、これは少し時間がかかりそうだ。ただ知りたい内容についての指示はしておく。
・戦闘系スキル
-近接
-遠距離
-罠設置
・生産スキル
-建設
-道具
-食料
・生活全般
-衣
-食
-住
-医療
-学習
-衛生
特に医療系の能力は重要だろう。これは長老が担っている役割らしいと、先に聞いて知っている。ただ、医療と言うよりはおまじないと言った方がよさそうだが。
ここまでの報告を聞いている間に他の人も起きて来たので索敵班に周辺地域で確認もしてもらいたいことを伝えておく。
-危険
-水場
-生息する動植物
-地形
-気候風土
-足跡
ざっくりこんなものだろう。特に気になったのは以前住んでいた洞窟から逃げて来た際に残した足跡だ。30人以上が命からがら逃げたのなら足跡は残っているだろうし、襲ったのが人間ならその足跡をたどってここまで来る可能性も十分にある。
と、その様に考えたのだが、quiquii族の戦士は心外だといった表情になり、「わたし達は逃げることに関しては、とても経験が豊富です。必死で逃げていても追跡されるような足跡を残すへまはしません」と言われた。
戦うことに関してはそれほど高いプライドを持っていないようだが、逃げることに関しては一家言あるようだ。
彼らは嗅覚や聴覚に優れていることもあり、夜間の逃走に関して人間に後れを取ることはないと自信を持っていた。それにここから30分ほどのところに川があるようで、その中を登って来たので臭いで辿られることもないらしい。
水場それなりに近い場所にあるというのは、昨日解体のときに聞いていたが、危険な森の中毎回30分もかけて水くみに行かせるのは少し心配だ。ただこれに関しても他に心当たりがあるのでそちらも試してみることにする。
報告を聞いて優先事項を整理し直す。
・火:解決済み
・水:あるけれど改善が必要
・食糧:当面の食料はあるが、日持ちするように加工する必要あり
・安全:隠れるだけなら問題ないが、外に出るなら安全ではない
課題のうち1つはクリアできている。水と食料はすぐに手を打てる。安全はなるべく外に出ないようにすれば後に回せるだろう。
よって、二日目の課題は安全な水源の確保と、食料の保存食化だ。
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