第3話 寄り道

 仕事の帰り、いつもどこかに寄る。


 といっても、田舎で夜開いているのは、ドラッグストアーかコンビニとか、閉店間際のスーパーだけど。


 大きな仕事が終わった。気が緩んだ。そしてお腹が空いた。


 コンビニに寄り、レジへ直行。こんなときは、肉まんに限るのだ。


「すみません。肉まんをくだちゃい」


 あ……、と思った。くだちゃいって。私の外見からは想像できない、幼児的な高めの声(油断すると高くなる)からの、くだちゃいって。


 レジのお兄さんは、一瞬固まったが、すぐに肉まんを包む作業へ。若いお兄さんへ、なぜだかものすごく謝罪したかった。なんか、ごめん。そう思いながら立ち尽くす私の膝は、僅かに震えていた。

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