第48話 風

 風を感じるのが好きだ。


 スカートがふわっと上がる感じ。いたずらっ子の風が、くるんと回ってからさようなら~って。私はそれを挨拶をして見送る。


 両手を広げて、風が私の体を撫でるのを感じるのが好きだ。


 私の輪郭が見えて、私が形になる。


 風を全身に感じて両手を広げて、そのまま風と一緒に空の上にいって、森を下に見たい。くるくると回って、私はどんどん上昇していきたい。


 そんなことは叶わないんだけど。


 空を抱きしめたい。

 そんなことも叶わないんだけど。


 風と一緒に駆け抜けたい。

 そんなことは叶わないんだけど。


 ほら! 空を抱けている!

 ほら! 風になっている!


 と、書いていると、思う瞬間がある。

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