第37話 江國香織さんの本を読むと起きること

 西加奈子さんの本を読むと、興奮してエッセイや、長編を書きたくなることがわかった。別に構わないのだが、精神的に忙しくなるので、しばらくは、江國さんの本を読むことにした。


  江國さんの本を読むと、どちらかというと、落ち込む。


 AKARI的に、西さんの文章は音楽で言うと、ロックやポップ。江國さんはJAZZ。JAZZも好きだ。


 しかし、江國さんの本の内容は濃厚な恋愛物語。失恋だったり、浮気だったり、不倫だったり、辛い恋が多くて読んでいるうちにげんなりする。今、「落下する夕方」を読んでいるのだけれど、毎回数ページ読んで、落下しすぎているのではないだろうか? と、思う。


 そして江國さんの恋愛小説は、基本的にエロい。慣れない。困っている。


 それでも、表現がすごく好きだ。だから、読んでげんなりしても、落ち込んでも、どっかよくわからん世界に連れて行かれても、「そうそうそう! そういう雰囲気の時ある!」っていうのが多く、好きな表現をペンで印をつけまくっている。


 で、しばらくそうして江國ワールドに入っていたら、短編を書きたくなるという不思議な現象が起きた。わーっとなんだかシーンが浮かぶ。


 それで、公開する気なしで、「ちんちくりんの妹」、「セフレ」、「私を好きになった人」、「別れる時」とかいう短編を書いたりしている。


 不思議だ。


 どちらにしろ、西さんの本を読む時ほど興奮しないから精神的に落ち着いていられるので、しばらく江國さんの本を読もうと思っている。


 ただ、一体何がどうなって、江國さんの本が、私のどこを刺激して脳内化学変化が起こり、「ちんちくりんの妹」が出てきたかは不明だ。

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