第38話 なんとなく日記・7月28日
日曜日。お休みだった♪
夫も用事があっていない。ある意味最高だ! 私は完全に自由! 私は私の時間を過ごせる!
いや、あの……。
夫とは、仲が悪いわけではなくて、むしろその逆です。ぶっちゃけトークもする。例えば。
「ねえ。私さ、結婚全然向かないわ~」
「俺も。あれは勢いだったね~」
「本当。あんまし、なんで結婚したのか記憶ないよね~?」
「うん」
「もう2度と結婚しないと思うわ~」
「俺も。まあ、でも……。君を今以上に幸せにできる人が現れたら、一目でわかると思うよ。そしたら、身を引くよ」
「一目で?」と、訊く私に、うん、と、自信たっぷりに頷く夫を見て、よくわからない、と思う。
時々、夫は小説のセリフっぽい事を言う……。
まあ、てなわけで、仲が良いのだが、二人共結婚生活が向いていない。おひとり様でいるのが好きな私たち。また、二人共基本的に小さな器なので、お互いを救えない。
だから、せめてもと、互いの幸せを願っている。似た者同士の相互理解が、穏やかな生活を創れている理由だと思う。
*
さて。夫がいなくなると、俄然掃除をしたくなる。気になっていたところを掃除する。音楽をかけ、踊りながら。
田舎だから隣近所を気にする必要はあまりない。私は完全に自由になると、音楽をかける。歌う、踊る。料理しながら、包丁片手に踊る。危険だ。
でも、止まらない。楽しすぎた。
それから、仕事の書類を片付けようと椅子に座ってペンを取ったら、もう涼しいではないか。窓をあけて、換気扇をつけて、家中の空気を入れ替えた。
素敵すぎる。
どうして、空気が入れ替わるのって、こうも素敵なのだろう。音楽が床や壁に跳ね返りながら音が家を満たす中、妖精さん一杯っぽい風が、ふわりと新たな幸せを運んでくる。そして、まるで空気が穏やかな時間を再生してくれるように感じる。
あー、幸せだ。
そう思いながら、家の中をしばらく見渡していた。その後、お茶を飲みながら、いくつか書類に記入していたら、ぐぅ~とお腹がなった。
お昼を食べることを忘れていた。というか、なんなら休みの日は食べずにいて、痩せようと思っていた。そんな野心的な女心が、まだあるのに驚く。
なんだろうね?
それから、野菜を炒めて焼きうどんを作った。薬膳通りの食事。これなら太らないと安心。食べながらテレビを見ていた。
夫がいないときは、D-lifeというチャンネルを見て、英語を流す。英語のリズムが好きだ。ちょうど海外ドラマがやっていて大笑いした。
主人公が、「I hate my life!」と言いながら走る姿を見て、これ、どうやって訳せば、その雰囲気伝わるのだろう? イメージ的には「んーーーーもう! こんな人生いや!」かな? とか……。
そんな事を考えていたら、コマーシャルでライオンキングの超実写版が流れた。あんまり映像が綺麗で胸が一杯に。泣けてきた……。さっきまで、笑っていたのに涙を流して、焼きうどんを食べている。
忙しい。
2度目のライオンキングのコマーシャルが流れた時、これ以上見たら、ライオンの前世の記憶か何かが蘇って、本格的に泣く気がして怖くなり、慌ててテレビを消した。
さて、お腹いっぱいになったし……何しようかなと思ったら、1年前から時々気が向いた時だけ書いている小説を、見たくなった。それで読み直しているうちに、いらない文章を見つけることができて、削っていた。推敲がいつの間にか始まる。
そうするともうダメ。
はい。2時間経った。夫帰ってくる。くー~! 終わった。私の完全自由が消えた! とも思うのだけれど、やっぱり安心もする。一人でお留守番はちょっと怖い。
でも、完全自由時間は好きだ。だって、夫がいると音楽をつけて踊れない。以前、「お願い! 止めて! 静かにしてて!」と懇願されたことがあった。
たはは。
本当は踊っていると、気持ち的に「I love my life!」になるんだけどね。だから夫がお風呂に入っている時間に、見つからない程度に静かに踊っている。
ふふふ♪ そんなわけで、平和な日曜日でした。あはっ!
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