第33話 反省は早い方がいい
アンネの日記を買った。
読むのは小学高学年以来だ。その時と全く同じワクワクの感情を味わっている。そして、読み始めて、どうしてそんなに好きだったのかを、今なら具体的に理解できる。面白い。
好きだと真似したくなる。
というわけで、AKARIが「アンネの日記」をイメージして書いてみた。
*
親愛なる守護霊へ
今日は、久々の休みでした。私は、労働時間が少ない分、ほぼ365日仕事をしています。だから、キャンセルがあると、とても嬉しんです。ご病気でキャンセルになることもあるのに不謹慎ね。でもね、結局明日は仕事だから、どうってことのない休日を過ごしました。
こんな休日でした。
朝、少しいつもよりだらけて遅くまで寝ていました。そしたら、鼻を猫に噛まれました。びっくりしたわ。ええ、そりゃもう。犬歯が鼻に当たると、何かこう体中の神経がピリピリしました。これって、前世からの動物だった頃の危機感が蘇ったのかしら? なんて思いました。嘘よ。きっと、本当に野性的本能が蘇っていたなら、隣に猫がいた時点で起きたでしょうから。
そんなことはいいとして、今日、私がしたことと言えば、簡単な家事、お買い物、そんな程度。それでも幸せです。遠出はあんまり好きじゃないし。家が落ち着くの。でも、お買い物は好きです。
夫が、暑くなってきたから、T-シャツを買ってきてと言うもんだから、衣料品店に行ってきました。私の住んでいる市には、衣料品を売っているお店は、3つしかありません。それは、みんな安価で有名なお店です。そのうちの1つに行って、500円のT-シャツを2枚買いました。夫が、庭をいじるようだから、いいかなって。
Tーシャツを買うときに、気になるのは値段より、書いてある英文。訳して確認するとね、とんでもないことを書いてあったりして驚くこともあります。この前なんて、素敵なボートと海の絵がプリントされてるのに、「僕は助けを呼んだ。ても誰もこなかった。僕は死んだ」って書いてあったの。そんな悲しい不幸なT-シャツ、買う気になんて、勿論さらさらなりません。
今回買ったT-シャツは、「前を向いて歩き続けよう」と、「チャンスをもう一度」という英文でした。ちょっと落ち込みやすい夫にはちょうどいいと思います。
夫は反省のプロなんです。
その素直さと反省力が、結婚生活を支えている根源な気がしてなりません。
随分前なんだけれど、夫が、このエッセイをリビングのソファに座りながらスマホで読み始めました。第3話のお話では、AKARIには、おそらくお付き合いできる人がこの世に僕以外いないだろうみたいな事を、夫が言ったので、それを書いたんです。
第3話に書いたのは、この文章です。
『うーん。君はね、最初のとっかかりと、2、3回までのデートはいいと思う。その後だよな~。無理だと思うな~。君と一緒にいれる男性を見つけるのは……』
これを読んだ夫は、慌てた様子で私を呼びました。
「おい! Chatty ! こんなこと書いたら、俺がまるで意地悪な旦那じゃないかっ。こんなこと言ったけ? だってさ! だって、君は瞑想してると、時々呼吸が浅くなるし、急に倒れて半トランス状態になるし……やっぱり、死んだあとでも、あちらの世界からでも、君と一緒にいれる人を見つけるのは無理だよ!」
その弁明の方が、以前言った言葉より、鋭く心に届いたのを、まだ覚えています。まあ、いつものごとくスルーしてやったけど。それでね、私が、「そんな慌てるような内容じゃないと思うけれど……」と冷静な顔とトーンで伝えると、彼はその先をスクロールして読んで急にシュンとしました。
後半部分には、『そんな私とずっと一緒にいるなんて、なんて可哀想な人なんだ』と私は書いていたの。
それを読んで、「そんなこと思ってたの……」と、小さな声で呟いた彼の反省した姿を見て、やっぱり見事だと思いました。
あらやだ。ちょっとおしゃべりしすぎたわ。休日の過ごし方を書こうと思ったのに、夫の反省力を褒めて終わっちゃたわね。
どちらにしろ、あなたは守護霊だから、なんでも知ってるわけで、こんな事をお伝えしなくても良いのにね。
私はやっぱりChatty、おしゃべりね。これだから、私が話していると、夫は「ごめん! もういい? もうこれ以上聞けない!」と、手の平を私に向けることが時々あるの。
残念だわ。
でも、大丈夫。私には、あなたがいるもの。いつもなんでも聞いてくれる守護霊様が。ありがとう。
愛を込めて
AKARI
*
私は、影響されやすい。
いつも、お読みいただいている皆様。私、本当に皆様に感謝しておりますの。
それでは、ごきげんよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます