第31話 牛さん、豚さん、鳥さん……

 全くどうして、こう人間ってのは心がこう揺れ動くんだろう? と思うけれど、大人になった私は、「揺れ動いていません。私は大丈夫です」、そう精一杯オーラのようなものを漂わせて社会生活を送るよう心がけている。


 それも大事。


 だけど、本音ではビビリだし、イライラもするし、「んーーーーーもうっ!」ってある。例えば、お肉を食べる時に、いちいち元の動物を想像して、悲しくなったりする。


「野菜は食べごろを示すけど、動物は示さない。食べていいんだろうか……?」


 そんな事で毎日心が揺らいでたら生きていけんのだ。


 感謝してるよ。牛さん。豚さん。鳥さん……。


 そして、未だにアヒルは食べれない。歩くの。頭の中でアヒルが親子で歩くの。泣きそうだ。


 こういう大人になれない部分も大事。多分そう。

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