第16話 ファッション雑誌

 AKARIは年に1、2回くらい、ファッション雑誌を買うことがある。


 それは、流行りを取り入れなければっ! という切迫したものでもないし、おしゃれを楽しみたいからでもない。色や形をみるのが、とっても好きだからだ。手にとって、好きなコーデが沢山載っていると、買う。買うと、ずっと持ってる。流行りは追っていないから、特に関係ないのである。


 だが、流行りを追わない主義の私に、優しい春が来た。


 なんと、自分が高校生の頃から好きなスタイルが今春の流行りになったのである。非常にめでたい。「おー! AKARIの時代が来た!」っと、ファッションフロアーで、沢山の花柄ワンピースを見ながら、大興奮である。


 幸せだ。


 花柄のワンピースに、ニットの網目の粗い丈短めのニットカーディガン。くるぶし上か、膝下のロングスカートに、丈の短いニットトップス、もしくは、フェイクジャケット。どこを見ても、自分好みである。素晴らしい。


 あれ? 好きなスタイルを書いてみると、非常に女性らしい感じだが、小っ恥ずかしいので、言い訳をさせていただきたい。上記の洋服 ー ロングスカートや、ワンピースは、着崩れの心配が基本的になく、体型カバー力に優れている。


 そして、特にワンピースは、楽だ。ひょいっと着れば、それで、なんとなく素敵に見える。ファッションセンスとか、何かと合わせるとか、あんまり必要ないのに、それなりに見えるから、非常に合理的だと思う。


 なにわともあれ、そういうわけで、今は、どの雑誌を買っても、好きなお洋服たちに出会える。とっても嬉しい。だが、カクヨムをしてる今、楽しみは、それだけではない。


 *


 女性のファッション雑誌のコメントって、わざとらしかったりするし、読むと、キレイでいなければいけないという強迫を感じるから、あまり好きでなかった。


 どうして、そんなに綺麗になることにこだわるのかしら? って、なんならちょっとイラついていた。だって、日本人は外見にこだわるすぎてる気がする。


 今まで、雑誌に載っている文章はスルーしていた。だが、しかし。今、感動している。


 例えば、コートの上に


『「ちょっと違う」が、今の私にちょうどいい。』


 とか、書いてある。


「ひやー! ちょっと違うになりたい願望! 女性、多い多い! 今の私にちょうどいい!? そうか! きっと、この人は、何か乗り越えたかなんかしたんだ!」


 とか、勝手に思って大興奮している。というか、素晴らしい表現だらけだ。


 そのコートの後ろ側の写真の下に、


『女をあげるドラマチックな後ろ姿!』

『絶対美人に見える後ろ姿を約束してくれるコートです!』

 と、書いてある。昔なら、


「後ろ姿まで気にしてたら、気がおかしくなるわ!」

「どうして後ろ姿で美人と思わせたいんだよ! それじゃあ、振り返って、はい、残念~、ていうリスクを抱える!」


 ってイラってしていたけれど。今は、


「うぬぬぬぬ。そう! シーンを書いていて、この後ろ姿の描写をしたいんだよ!後ろ姿がドラマチックなことあるよ!」「後ろ姿まで美人! ってすごい表現だ!」


 とか、思う。


 あー。見方が変われば、面白くみれるもんだなー。

 偏屈だったのかしら?


 でもね。やっぱり、素敵な洋服のコーディネートの写真の下に、


『オフィスに潜入する女スパイをイメージした服装』


 と書いてあるのを読んで、


「そんなことあるかーい! 最近のスパイはおしゃれなんかーい!」


 ってツッコミ入れた。


 ファッション雑誌のこのコメント書く人たちすごっ!

 やばっ、面白い♪ きゃっほー♪

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