第10話 毒舌AKARI

 体調不良気味人生を送ってきた。意識がぼんやりしてたから、あんまり想いを言葉にしないできたんだろうね。今は、体調も良いし、こうして書くようになったら、以前よりは、想いが言葉になる。


 時々思い出す光景がある。

 それは、八重洲口の女性の化粧室内。


 化粧室の中は、沢山の鏡が用意されていて、お化粧を直すコーナーが沢山あるにも関わらず、女、女、女でごった返す。列ができる。


 東京というのは、恋愛の激戦区なのであろう。戦場だ。


 目を死んだ魚みたいにして、アイラインを引く女。口を、おあっ、みたいな形にして、ビューラーを使う女。その女をイライラしながら、早くしてよっ!あんたいつまで化粧直し時間かかってんのよ!と、こわーい顔で待ってる女。そして、その横で、なぜか舌打ちをする奴もいる。多分、うまくチークがのらなかったんだろう。それを、シレーっと見てる私。


 あーあ。怖いんだよ。女子の化粧室は……。


「ここに女の正体がある。これを是非男性に見てもらいたい。彼女たちが今から、狩ろうとしているだろう男性達に……。」


 そう、ぼんやりいつも思っていたっけね……。



 そして。女の話は建設的でない。好きでない。例えば、髪の毛の先を指に巻きつけて、くるくるしながら「あのね~。あたしね~。」って、恋愛の話をする女の、その話。そこに意味を感じない。そこに裏を感じる。そこに正直さを感じない。そこに、深さを感じない。そこに愛を感じない。


 結局、その好意を持ってくれた男性を馬鹿にして、自分が可愛いと思うから、もっとカッコ良い人がいい、というような、わけのわからない妄想のような話に付き合わされるのは……ごめんだ。だが、体調不良のあまり、ぼーっとしながら聞き流してしまった。それゆえに、彼らは、私が聞き上手だと勘違いした。


 本当は……。


「あんた。その顔、そうでもない。目を覚ませ。あんた、料理もできん、部屋は汚い。更に、人の悪口常時言ってるよ。それは心が汚いとちゃうか。それは人間としてアカンとちゃうか。一丁前に化粧と、ファッションにより、可愛くなるだけ追い求めて、足だして、くびれだして、パット胸に詰め込んで、なんとなくモテるから、それは、ちゃらか?かっこよくて、金持ちで、性格良い人と結婚したいと。なるほど。だから、選んでいると。候補から選んでいると。だから、好意を持ってくれた人に、少しの感謝もせんと、あれもダメ、これもダメと、小馬鹿にしたようなことを、こうして噂話を繰り返し。けれども、ちゃっかり、おごってもらい、ちゃっかりバッグやらを購入してもらい、ちゃっかりそれを売る?ほう。そうですか。あんたはいつまでお嬢様病を抱えておられるつもりですか?いつまで、アタシ~って、髪の毛の先をくるくるしてるつもりじゃ!あんたもそのうちしわくちゃのばあちゃんになるんやでー!!人生ってのはな、一寸先が闇っていう平等を皆抱えておるのじゃ。あんたが、狙い通り結婚して、そのまま全てがうまくいくと思うなよ!バカっ!蒔いたもん刈り取る時が来るで。いつかえらい目に合うで!早いところ祟られろ。そして目を早めに覚ませ。それは、これから誘惑するであろう男性たちの時間を取らないためにもな!ふんっ!」


と、そう、言いたかった。


 人を馬鹿にするような、自分だけの理想を追い求める浅い話を聞くくらいなら、相対理論を一人で勝手に、永遠としてる男性の話を聞いてる方がずっと楽だ。 


 勘違い野郎な女は、嫌いだ。



怖っ。私には、こんな一面もあります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る