エピローグ
―――
数日後、私達は久しぶりに二人でデートした。ちなみに場所は遊園地。
「ところでさ、安藤との間には何もなかったのか?」
「…何?急に。」
勝利さんが何の前ぶりもなくそんな事言うから、私は食べていたソフトクリームを落としそうになった。
「いや…ふと思い出して。」
「何だ、まだ信じてなかったの?」
「いや!桜の事はもちろん信じてるけど……」
じとっと横目で睨むと慌てて視線を逸らす。
「あ、わかった!信用はしてるけどヤキモチは妬いちゃうってやつね。そっか、なるほど!」
「バッ……カ言うな!俺は別にそんな……」
「照れない、照れない。嬉しいですよ、こんなに愛されて。」
勝利さんが好きな桜スマイルをお見舞いすると、案の定へなへなと崩れ落ちた。ベンチに座ってて良かった……
「そういえばさ、玲子さんと安藤君が姉弟って事気づいてた?」
「あぁ。同じ苗字だったからな。たぶんそうだろうな~とは思ってたよ。」
「ふ~ん……でさ、そっちこそ何もなかったの?」
「何が?」
「あの日玲子さんと家で二人でお酒飲んでたって言ってたけど、それだけ?」
「それだけだよ!それに安藤さんは飲んでないぞ。……俺の事信じてないのか?」
「信じてますよ~」
悲しげに顔を歪める勝利さんの肩をぽんぽんと叩いて慰めた。
「本当に何もなかったんだな?」
「もう!しつこいなぁ~」
「だってよ……」
「安藤君ね、眠っている私にキスの一つもしてやろうと思ったんだって。だけど私がある寝言を言ったのを聞いて止めたんだって。」
「ある寝言?」
「゙ん~かっちゃん…"だってさ!」
「……(¨;)」
「あ~照れてる!どうしたの?」
「うるさい!」
「キャーーー!」
照れた勝利さんが逃げる私を追いかけてくる。私達は周りの目も気にせず、しばらく追いかけっこに夢中になった。
楽しい一日。いい思い出になりました♪
――6年後
「産まれました……しかも双子。これで五人目です……」
「毎年腹大きかったもんな。」
「あんたが言うな!あんたが!」
私は双子のオムツを替えながら、ソファーに寝そべる旦那に怒鳴る。途端、ビックリしたのか側にいた次男が大声を上げて泣いた。
「あぁ~……ごめん、ごめん!」
慌てて抱き上げて宥めるとすぐに泣き止んだ。ホッとしてオムツ替えを再開。
「大変そうだな。」
「そう思うなら手伝って!」
「はいはい。」
重い腰を上げてソファーから立つと、さっきの次男を抱っこして上の子達と遊び始めた。
ちなみにうちの子達は、長男(五歳)、長女(三歳)、次男(一歳)、そして次女(0歳)、三女(0歳)。
まったく……こんなに立て続けに産まれるとは思わなかったよ。まぁ、自分達の子だから無条件に可愛いしね。子ども達の顔を見回しながら微笑んだ。
「なぁ、桜。」
「何?勝利さん。」
「近々家買いたいんだけどさ……いいかな?ほら、子ども増えたしさ。」
「いいよ。私もそう思ってたし。ここじゃやっぱり狭いもんね。」
「良かったぁ~……」
「ん?」
心底ホッとしたような顔の勝利さんを見上げると、照れたように頬を掻いて言った。
「実はもう買ってあるんだよ、家。35年ローンだけど。」
「えぇ!?」
「ちょっと先走り過ぎたかな……」
「……ぷぷっ…!」
「何笑ってんだよ?」
「何でもなーい♪」
思わず笑っちゃった。だってこれって6年前に千尋とやった人生ゲームそのままなんだもん(笑)
子どもが五人、千尋からのご祝儀で家を買う。
ほら、当たってる。まるで未来を予言していたみたい。
「ママー!お腹すいた~」
「はいはい。ちょっと待っててね。」
「俺も~」
「パパはオムツを捨ててきて。その後はミルク作ってね。」
「ちぇっ……」
悪態をつきながらも渋々言われた事をする姿に、今度はバレないように頬を緩めた。
と、まぁこんな感じで騒がしい藤堂家ですが、とっても幸せで楽しくてこれがずっと続いて欲しいなぁ。
大好きな勝利さんと私、そして二人の大事な大事な子ども達と一緒に。
いつも笑顔で笑いが絶えない家族を目指して、これからも頑張ります!!
『Come back to the Sweet Home 完』
.
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます