第30話 あの場所へ
「退場するだなんて許しませんよ…?さあ早く座席へ戻りなさい…。」
頭おかしいのかこの人達!こうなったらもう…
「俺たちはドラゴングランプリを棄権する!!!!!だからこの退場門を開けてください!!!!!」
俺は遠く離れた主催者めがけて思い切り叫んだ。
「ほう…興ざめですね。あの者共を捕らえよ!!」
その瞬間、近くで待機していた護衛達が一斉に俺たちを捕らえようと迫ってきた。
「ちょっ…!なんだこいつら!」
「放しなさいよ!」
「くっ…!」
俺たちはあっという間に手錠をかけられてしまった。レイラさん達と顔を見合わせるが、解決策など出てくるはずもなく、地下牢に追いやられてしまった。
ガチャン!!
「クソっ!!!!」
俺は勢いよく牢屋の柵を蹴った。しかしビクともしない。当然か…おそらく破壊不可能に設定されてるんだろう。でも一つ救いだったのは、俺たち4人全員が同じ牢屋にいることだ。話し合うことができる。
「あたし達何で捕まってんのか理解できないんだけど。」
「だよね…僕も変だと思う…。」
話し合うと言っても、こうして不満を垂らし合うことぐらいしかできない。どうやって脱出したものか…。
するとその時だった。
『賢治さん!聞こえてますか?リサシテーションルームのルームシスターです!』
「リサシテーションルームの女の声だ!」
「ヤマモトどうしたのついに頭がおかしくなった?」
「違う違う、え〜っと…神の声だよ!ほら、サリアのペンダントの説明をしてくれた!」
どうやらリサシテーションルームの女の声は相変わらず俺以外には聞こえてないようだ。
俺はリサシテーションルームの女、『ルームシスター』に応えた。
「聞こえてます!あの〜助けてください!俺たち捕まってるんです!」
しかしルームシスターも俺たちと同じくらい焦っている様子だった。
『そんなことより、早くゲームをクリアしてください!本当はドラゴングランプリをクリアすると、覇を統べし聖剣が贈呈されてそこから魔王討伐に向かうストーリー構成でしたが、もう時間が無いんです!!いいですか?今からチートを使ってあなた達を魔王の城の目の前までワープさせます!そして魔王を倒してください!!頼みましたよ!?』
「は、はい!?何言ってんすかあなたwもうめちゃくちゃだw」
そして目の前が光り、何やら大きい物体が現れた。
「これは…?」
『もうこの際、覇を統べし聖剣プレゼントです!さあ魔王の城までワープしますよ!』
「ちょ、は!?」
視界が暗くなる。それと同時に気温が熱くなってきた。俺達は目を開ける。
「マジかよ…。」
俺たちの目の前には燃え盛る溶岩の川に囲まれた魔王の城があった。
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