第28話 決意
「ヤ〜マ〜モ〜ト〜!!」
レイラさんの声。朝が来たようだ。
「ふぁ〜あ。」
俺は大あくびをして、窓辺に立ってカーテンを開けた。朝起きて日光を浴びるのは健康に良いって聞いたしな。まあゲームの世界で通じるかはわからんけど。
「よし、今日はついにドラゴングランプリ当日かぁ!」
「お、賢治君気合い十分みたいだね!」
クルトさんも部屋に入って来た。
「もちろん!全ては今日にかかってるんですよ!頑張らなくちゃ!ほら、サリア朝だぞ〜。」
「ん〜…。あ、おはよう賢治君。」
サリアはまだ眠そうに目を擦っている。
「さぁ〜あたし達の底力見せてあげましょ!」
レイラさんもやる気に満ち溢れた表情。なんだか俺たち優勝出来る気しかしないぞ…。
部屋のチェックアウトを済ませていつものレストランに入ると、俺は驚いた。
「めちゃくちゃ混んでる!w」
「それもそうよ。なんてったって今日はドラゴングランプリ。このレストランは会場からも一番近くて味も良いから当日の朝は毎年めちゃ混みなの。」
「なるほど…。」
まあでも俺達には料理無料券がある。見せればすぐ食えるだろう。俺は近くにいた店員に券を見せた。が、しかし…。
「申し訳ございません、お料理はすぐに提供できますがご覧の通りの混雑振りですので満席でして…店の外でお召し上がりになっていただいてもよろしいでしょうか…?」
マジか…。
「みんなどうする…?」
「混んでるし仕方がないんじゃないかな。僕は外で食べてもいいよ。」
「私も大丈夫ですよ。」
「あたしも〜。」
なら決まり。俺たちは外で料理を食べることになった。
注文したパンを手でちぎって食べながらクルトさんが話しかけてきた。
「やっぱりこのレストランの料理は外で食べても美味しいよね。」
「ですよね!俺もすっかりここの店の虜ですよw」
すると突然、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「おいお前ら。俺達を覚えてるかぁ?」
「あ!あの時の!!」
目の前に立っていたのは先日レイラさんの弓を破壊してきたクソ野郎2人組だった。だが何か変だ。2人とも身長が高くてガタイも良くなっている…。
「デブ&ガリのお2人何か用?」
レイラさんは2人を睨んでいる。
「俺達2人はお前らから逃げた後必死こいてレベル上げしたんだ。だからこんな赤髪女なんかにゃ二度と負けねぇ身体を作り上げたんだ。」
「あっそう。じゃあもう一度蹴っ飛ばしてやるわよ…!?」
この2人、短期間のレベル上げでここまで成長するもんなのか…?一体どんな訓練したんだ…?
「2人とも早くどこかへ行きなよ。ここは店の前だから人の迷惑になるよ。それに僕たち朝ご飯食べてるし。」
クルトさんが優しく諭す。しかし2人は全く聞くそぶりを見せない。
「はぁ?どっか行けだぁ?そりゃこっちのセリフだ。」
「そうだそうだ。」
2人してうざい…。ここは俺が一言。
「じゃあさ、これから始まるドラゴングランプリの順位で勝敗を決めようぜ。俺達が上だったらお前ら2人揃って遠くの街に強制的に出て行かせる。逆にお前らが上だったら何でもしていい。どうだ。」
2人は相変わらずニタニタ笑ってやがる。
「頭悪いなお前。そんなの俺達2人が勝っちまうに決まってんだろうが。」
「今、何でもしていいって言ったな?言ったな?ようし俺達が勝ったらお前らをたっぷり痛めつけてやる!震えてろ腰抜け共め。」
その時、街のアナウンスが始まった。
「まもなく、ドラゴングランプリの参加グループ登録受付を、開始いたします…。まもなく…ドラゴングランプリの…」
俺はクソ野郎共に言い放った。
「頭悪いのはお前らの方だ。今年優勝するのは間違いなく俺達だからな!逆に覚悟しとけ!このバーカ!」
レイラさんも続いた。
「あたし達のチームワーク舐めんじゃないわよ?」
クルトさんも、サリアも。
「「バーカ!!」」
2人は俺達の反応に少し応えたのか、ぼちぼち去って行った。
アナウンスも始まり、ドラゴングランプリはいよいよ目前。絶対に負けられない俺達の闘いが、いよいよ始まる–––
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