第24話 刹那の輝き
訓練所に着くと、門の前で何やら怪しげな男2人が俺たちをじっと見ていた。1人は太っていて、もう1人は痩せていて猫背だ。
レイラさんが彼らに近づいた。
「何よアンタ達さっきからあたし達のことずっと見て。気味が悪いわ。」
男2人の内、太っている方が答えた。
「いやぁあなた達ずいぶん良い武器をお持ちですなぁと思いまして。宜しければ一度手に取ってじっくり見てみたい…。」
「ささ、武器を見せてください。」
痩せている方も催促してきた。
レイラさんは少し考えてから言った。
「まあそんなにあたし達の武器が見たいなら見せてあげるわ。ほら。」
レイラさんは装備していた弓と短剣を手渡した。すると男2人がニヤニヤと奇妙な笑顔を浮かべた。そして次の瞬間…。
バキッ!!!!!
なんと男2人はレイラさんの弓をへし追って壊してしまった。
「なっ!!!?」
見ていた俺は我慢できなくなって言い放った。
「おいてめぇら!!!レイラさんの弓に何しやがる!!」
サリアは悲しそうな表情で、壊されたレイラさんの弓を見ている。
男2人は陰湿な笑みを浮かべて言った。
「お前らさっきレストランで山賊を倒して浮かれてただろ?英雄気取ってんじゃねえよ。」
「なんだと!?」
「俺たち2人もドラゴングランプリに出んだよ。そんでお前らみたいな生意気なガキ共に優勝を邪魔されるわけにはいかないのさ。」
クルトさんも怒りをあらわにしている。
「だからって何も人の武器を破壊するなんて!酷すぎる!!」
しかし武器を壊された本人であるはずのレイラさんは平静を保っている…のか…?
「あら、あたしの武器がこんなことに…。
…あらあらあら。」
いや、とんでもなく怒っている。怒っているどころか、いわゆるガチギレってやつだ。
周囲の空気が張り詰める。
「次はアンタ達の武器を見たいわ〜。ほら…早く…見せなさいよ…ほら…。」
男2人は固まっている。
「見せなさいって言ってるの!!!!!!」
レイラさんはそう言って太っている方の脇腹目掛けて強烈なキックを繰り出した。
「ぐはっ!!」
太った男は口から血を吐いた。それを見て痩せている方は青ざめている。
「すすすすすみません!!!こここんなに強いお方であったとはそそその失礼いたしました!!!!」
痩せている男は太った男の腕を掴んでこの場から逃げようとした。しかし太った男の体重が重すぎて持ち上がらない。
「ひぃぃどうかお許しを!!」
痩せている男は土下座してきた。どんな人でも圧倒的な暴力を前にすればひれ伏すという言葉を聞いたことがあるが、まさにこのことか。
それを見たクルトさんは言った。
「そんなに謝るなら最初からこんなことしなければ良かったじゃないか…。」
全く…この男2人をどうしたものか…。
すると突然サリアが驚いた表情で声を上げた。
「わっ!みんな!私のコスモスのペンダントが光り出したわ!」
コスモスのペンダントは七色に輝きながらサリアのポケットから飛び出し、宙に浮いた。
そしてレイラさんの壊された弓の上へと移動して弓に向かって光線を放った。
「眩しいっ!!」
俺たちは光線のあまりの眩しさに目を瞑った。目を開くと…。
驚くべきことにレイラさんの弓は壊される前の姿に戻っていた。
「どうなってんだ…?」
「このペンダント、賢治君の命も救ったよね?」
これには男2人も驚いている。すると何処からか聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「この声、まさか…。」
その声はどう考えても、リサシテーションルームの女のものだった。
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