第25話 秋桜に込められし力

女の声は空から響いた。

『そのペンダントにはいにしえの時から続く聖なる力が込められています。力を使えるのは3度だけ。よく考え、駆使し、魔王討伐に励みなさい…。』

どういうことだ?つまりこのペンダントにはチート級の力が込められてて、それを使えるのは3度までってことか…?

俺は皆に聞いてみた。

「力を3回使えるってことは、1回目が俺の命を救った時で2回目が今レイラさんの弓を直した時ってことかな?」

しかし皆の反応は予想外だった。

「えっと…何がかい?」

「ヤマモトついに頭イかれちゃった?」

は?皆今の声聞いてなかったのか?

もしかして…

「今の女の声聞こえたのって俺だけだったりする?」

「女の声?サリアのことかい?」

「私何も喋ってないよ。」

まじか…。やっぱりリサシテーションルームのことは皆知らないし今の声だって聞こえてないのか…。リアルすぎて忘れそうになるけど、こいつらゲームのNPCなんだもんな…。

代弁して伝えるとするか。

「今、神の声が聞こえたんだ。神いわく、そのペンダントには神聖な力が込められてて、それを使えるのは3度までらしい。」

リサシテーションルームの女って言ってもどうせ伝わらないだろうから、『神の声』ってことにしておいたwさあ皆の反応は…。

「賢治君、君は神のお告げが聞き取れるのかい!?」

「どうやって聞いたの!?」

食いつきが凄い…。

「いや、あの、とにかく!ペンダントの力を使えるのはあと1回だけってこと!…らしい!えっと…みんなそれで納得な?」

「「うん…。」」

これじゃ納得じゃなくて黙らせただけな気もするが…。まあいい。それにしてもリサシテーションルームの女、良いこと教えてくれるじゃねえか。今もあの部屋から俺の行動を監視してるのかもしれないな…。

一人で考えていると、レイラさんが男2人に向かって話し始めた。

「な〜んかペンダントがどうのこうのっていう話聞いてたら、怒りも収まってきちゃった。弓ももとどおりに直ったわけだし。アンタ達のこと許したわけじゃないけど、もう去っていいわ。どっか行きなさい。」

「良かった…。ほら、行くぞ。」

「お、おう。」

2人はホッとした表情で去っていった。いったい何だったんだあの男どもは。情けなくないのかよw

「これで一件落着って感じかな?ようやく訓練所に入れるね。」

クルトさんはそう言って伸びをした。

俺も真似して伸びてみる。なんだか伸びた感触が妙に生々しく感じた。レイラさんは俺たちを見て軽く笑顔を見せ、訓練所の門を開いた。

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