第22話 荒野の街の料理店

目を覚ますとそこは再びあの部屋だった。

ということは…

「俺またゲームオーバーになったのか…。」

そういえばセーブもしてない。また最初からか、もしくは訓練所のとこからだろうな…。

「お目覚めですか?」

聞き覚えのある女の声。リサシテーションルームの女だ。

「また死んだのですね。死ぬ前にセーブはしてますか?」

「してないが。」

「でももういいです。早くゲームをクリアしてほしいですので。」

「は?」

そう言うと女は優しく俺の腕を掴み、俺をワープホールへと放った。こんなにあっさりだったっけか?


気づくと俺は硬い地面に寝そべっていた。なんか砂っぽいし建物も見える…って、ここウェルダネスタウンだ!どうやら俺はゲームオーバーになる直前に戻れたみたいだ。

「そこのぼ〜っと突っ立ってる小僧!オメェからぶっ殺してやる!!!」

はいはい、山賊の全く同じセリフ。ということは、あいつはまっすぐ大剣でぶった切ってくるはず。じゃあ…

俺は馬鹿正直なほど真横にステップしてみた。すると山賊は面白いくらいに空振りを見せた。

「何ぃ!?俺の渾身の『大剣ふりかざし抜刀切り』を避けただと!?」

いや、動き1回見てるから。だが次の攻撃は知らないぞ…。どうするか。

しかしよく見ると山賊の様子がおかしい。

大剣をふりかざしたまま動かない。

するとレイラさんが叫んだ。

「あいつ今の攻撃にパワーを使いすぎてしばらく動けないのよ!!大剣って武器種は強力な一撃を繰り出せる反面、攻撃しすぎると一定時間動けなくなるペナルティがあるの!!!」

何そのペナルティ!

クルトさんも続く。

「みんな今がチャンスだ!!!」

レイラさん、クルトさんが一斉に山賊に切りかかる。俺とサリアはただ見てることしか出来ない…。

クルトさんのランス突進づつきとレイラさんの素速い短剣切りさばき。山賊は抵抗することなく倒れ、電子音とともに消えた。

「あの人達、山賊を倒してくれた!」

「すごい!」

「よくやった!!」

街の人々の拍手喝采。とてもいい気分。俺は何もしてないけど。

するとレストランの中からシェフらしき格好をした人が出てきた。

「はじめまして。私はレストラン・ウェルダネスの料理長です。山賊共を追い払ってくださり、誠に有り難く思います。これでレストランの営業を再開し、引き続きお客様に自慢の料理を振る舞う事ができます。これはほんのお礼です。皆様で使ってください。」

料理長を名乗る男は俺達全員にチケットを手渡した。チケットには、『レストラン・ウェルダネスの料理無料券(1年間有効)』と書いてある。これって…

「ここの店でいつでも無料で美味い料理が食えるってことだ!!」

山賊を倒して経験値大量ゲット、おまけに料理無料券もゲット。とりあえずは一件落着。俺は安堵に浸った。

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