第21話 山賊“レッド・グリフィン”襲来
ドンドンドンドンドン!
「ヤ〜マ〜モ〜ト〜!!」
朝から騒々しい…。
…って、よく聞けばレイラさんの声!まずいまた寝坊しちまった!
「サリア起きろ!俺達また遅刻!」
「ん〜…」
サリアは目をこすってとても眠そう。
まあ昨日あれだけぐっすり寝ていたし無理もない。
「ヤマモト起きてんの!?」
「あ〜起きてます今行きます!!」
俺は寝起きでまだだるい身体を起こし、サリアを連れて部屋を出た。
「チェックアウトの時間あとちょっとで過ぎるところだったわ!」
レイラさんは頰を軽く膨らませている。
「まぁまぁ、結果的には間に合いそうだし、良かったじゃないか。」
クルトさんは優しいなぁ。こういう時いつもフォローしてくれる。
俺達はチェックアウトを済ませ、宿舎を後にした。
「みんなお腹空かない?」
サリアは苦笑いをしながら言った。
確かに今日朝起きてから何も食べてない。
ここでレイラさんが提案した。
「じゃあ、訓練所の近くにレストランがあるからそこで食べましょ。」
「そうですね。それが良いと思います。」
即決。俺達はそのレストランへと向かった。
ゆっくり15分ぐらい歩いたところにそのレストランはあった。ウェルダネスタウンの中心街にあり、人通りも多い。しかし店の前には異様な光景が広がっていた。
「このレストランは俺達“レッド・グリフィン“が乗っ取った。一般人は下がりな!」
”レッド・グリフィン“とか名乗る集団30人くらいがレストランの前に陣取っている。
特に真ん中で大タルに座ってるおっさんは強そうだ…。身長180センチくらいで大柄で筋肉質。多分リーダーか何かだろう…。
ってかこのゲームって山賊もいるのか?w
「なんかヤバそうなのいるからこの店はやめときましょー。」
俺は小声でレイラさん達にささやく。
しかしレイラさんは予想外の行動に出た。
逃げるどころかむしろ”レッド・グリフィン“のリーダーらしき男に近づいていく。
「おいおいレイラさーん!wダメだって!クルトさん、レイラさんを止めなきゃ!」
しかしクルトさんは微笑んだ。
「まあ見てなよ。」
俺は理解出来なかったがクルトさんの言葉を信じることにした。
”レッド・グリフィン“のリーダーらしき男に近づいたレイラさんは大声で言いつけた。
「アンタ達そこをどきなさい!ここはみんなの店なの!」
「ああ?何だいお嬢ちゃん。ここは俺達が乗っ取ったって言っただろ?」
リーダーらしき男がそう言うとその周りにいた“レッド・グリフィン”の連中が一斉にレイラさんを捕らえた。さすがにまずい!
「ちょっ!レイラさん!!!」
俺はレイラさんの方へと走った。…が…。
シュピーン!!!!
その瞬間凄まじい音と共にレイラさんを囲むように青白い光が見えた。
…いや、レイラさんが短剣を振った残像だ。
レイラさんはあっという間に縄を切りほどき、周りで取り囲んでいた連中を斬り倒した。
「レイラさんすげぇ…あんなに強いんだ…。」
「だから、『見てな』って言っただろ?」
レッド・グリフィンのリーダーらしき男はその光景を見て焦りを隠せない。すかさず部下に命令を下した。
「ええいもっとかかれい!!この女をぶっ倒せい!!!!」
その言葉と共に残りの連中が掛け声とともにレイラさんに襲いかかる。しかしレイラさんは表情ひとつ変えずに次々に連中を倒していく。まるでアクション映画を見ているようだ。…ってかレイラさん弓以外に短剣も使えんのかw
そしてとうとう残ったのはリーダーらしき男だけになってしまった。
「俺の自慢の部下を全員倒すとは良い腕をしてやがる。だがしかしここまでだ。オメェは俺には勝てない。」
「そうかしら。私と勝負なさい!!」
場に張り詰めた空気が走る。街の人達も少し離れた場所で2人を見守る。
先に攻撃を仕掛けたのはリーダーの方だった。
「ここがオメェの墓場だァッ!!!!!」
リーダーらしき男がふりかざしたのは2メートルはあるであろう巨大な大剣。ドラゴンの顎をそのまま切り出して作ったのかと思わせる立派さ。あんなのでぶった切られたら即死だ!!!
「クルトさん、あれはさすがにまずいんじゃ…!」
「そうだね、僕達も行くぞ!」
「えっ!ちょっ…!」
俺とクルトさんもレイラさんに助太刀すべく走った。
まずクルトさんがランスの大きな盾を使って男の大剣攻撃をパリィ。男が体制を崩したその隙にレイラさんが弓の弦を思い切り引いて矢を放った。矢は男の右肩に命中。だが男は全く動じない。
「ふん、効かぬわ!」
男は刺さった矢を抜いた。
続けて男が再び大剣をふりかざした。どうやらこの大剣は重すぎて攻撃時に衝撃波も伴うようだ。
「くっ…!!」
クルトさんがランスの盾でパリィするが、武器の耐久値的にも辛そう…。すかさずレイラさんが矢を放つが男には動きを完全に見切られてしまっているのか、全く当たらない…。
「俺に何か出来ることはないのか…」
そう呟いた時だった。
「そこのぼ〜っと突っ立ってる小僧!オメェからぶっ殺してやる!!!」
男は目にも留まらぬスピードで俺に近づき、大剣でぶったぎってきた。
「賢治君危ないっ!!!!」
「あっ。」
その瞬間俺は全身の力が無くなると同時に、視界が暗くなっていくのを感じた。
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