第17話 絶望と憤慨の狭間で
俺は体を起こして女性に言った。
「リサシテーションルームって…俺が最初に居たところだろ?どうなってんだ?サリアは?クルトさん、レイラさんは??」
女性は俺の興奮とは正反対の表情で淡々と語る。
「あなたは訓練所でギガントボアに吹き飛ばされてHPが0になったのです。つまりゲームオーバー。」
「は?俺死んだの?」
「その通りでございます。」
「サリア達はどうなったんだ?それに冒険は?」
「これはゲームの世界です。セーブデータがあるのでしたら、続きからプレイすることが出来ますよ。」
「セーブ?…あ…。」
俺は青ざめた。
「俺一回もセーブしてねえ!!!ってことはまさか…?」
「ゲームは最初からとなります。」
どうすりゃいいんだ。またあの野原でサリアと出会って、家庭事情を解決してクルトさんとレイラさんと知り合って…をやるのか?
だが俺はこんな時でこそ頭が冴える。
「でもさ、俺ゲームの世界に行く前にあんたから一回もセーブに関する説明を受けてない。つまり説明不足だ。これでは話にならないだろ?」
どうだ女。これで論破だ。
しかし女性はブレなかった。
「そう言われましても、ゲームには必ず説明書が付いていますよね?そしてその説明書をゲームを始める前にご覧になるかどうかはプレイヤーの自由ですよね?つまり私があなたをゲームの世界に転送する前にセーブに関するご説明をしようがしまいが私の自由なのです。それにゲームの世界に入った後でもアイテム欄から”セーブ“の文字をタッチして頂ければいつでも達成状況をセーブ出来ますし、セーブの仕方もアイテム欄に記してあったはずです。よって、私に間違いはありません。あなたはゲームオーバーで、もう一度最初から…」
「ちょっと待ってくれよ!ペラペラよく喋るなあんた!そもそもこれは何なんだ?どうして俺がゲームの世界に入って魔王を倒す必要がある!ゲームだろ??」
しかし女性は俺が話し終わるのを待たずに無理矢理俺の腕を掴み、ワープホールの前へと連れて行った。
そして俺をワープホールへと放り投げながら言い放った。
「残念でした〜。さ〜いしょからが〜んばってくださいね〜〜〜。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます