第10話 交錯する意思
その後しばらくサリアと2人で屋根裏部屋で話した。互いに話が弾んで時間の流れを忘れ、気づいた時には日がおちて外は暗くなっていた。
サリアは窓の外を見てこう言った。
「あ、もう暗くなってきたね。賢治君と話してると楽しくて時間があっという間だわ。」
「俺もすっげえ楽しいよ。」
なんだか照れるが、素直に嬉しい。
その時1階で声がした。
「ただいま。」
俺とサリアが1階に降りて見ると、サリア父だった。
「お父さんお帰りなさい!」
「ああ、俺がいない間、特に変わった事は無かったか?」
「特に無かったわ。屋根裏部屋で賢治君と色々なことを話してたの。とても楽しかった。」
「そうか。良かったな。」
ここでサリアがさっきの話を持ち出した。
「あのねお父さん。聞いてほしいことがあって…。実は賢治君、魔王を倒さなければいけないらしいの。それで私、賢治君に協力したいの。」
「具体的には、どうしたいんだ?」
「賢治君について行って、私も戦う!!」
するとサリア父の表情が変わった。
「絶対に駄目だ!!魔王って…かつて凶悪な力をふりかざして人類を絶滅の危機にまで追いやったと言い伝えられている怪物の事だろ?そんな危険な奴に立ち向かうなどしてはならない!」
サリア父の言葉を聞いて俺は事の重大さを思い知らされた。魔王ってそんなにヤバイやつなのかよ…本当に俺に倒すことなんてできんのか…?2秒でやられそうだが…。いや、その前にまずサリアを危険な目に合わせたくない!やっぱりサリアに断ろう…。
「サリア、やっぱり俺1人で行くよ。サリアを危険な目に合わせるわけにはいかないし、俺、サリアを死なせたくなんかない。」
そう伝えるとサリアは涙を流した。
「その言い方じゃ、賢治君が死んじゃうみたいになっちゃうじゃん!そんなの嫌だ…」
「泣くなよサリア。俺絶対魔王倒して無事に帰ってくるから!」
「賢治、俺も魔王に挑むのはやめるべきだと思う。そもそもどうして魔王を倒すんだ?」
「このゲームをクリアするには、魔王を倒すしかないんです!」
「げいむ?初めて耳にする言葉だが…」
サリア父は不思議そうな顔で俺を見ている。
そしてこう返した。
「まぁとりあえず、暗くなってきたし夕食にしよう。賢治はテーブルで待っててくれ。サリアも、涙を拭いて。こういう時は飯でも食って一旦落ち着いて考えるのが得策だ。」
「わかりました…。」
俺は突然そう言われて戸惑ったが、確かに俺も一度落ち着くのが手だと思った。
魔王…会った事は無いが馬鹿みたいに強いって事はわかった。いったいどうすりゃいいんだろう…。
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