第8話 そこで見たもの
「んじゃ、俺は飲みに出かけてくるからお前達2人はここにいてな。」
サリア父はそう言い残して家を後にし、俺とサリアの2人きりになった。
「そういえば、俺が借りてたピッケルまだあのバケモノに盗まれたままだな…。なんか悪りいな、取り返せなくて。」
俺は軽く頭をかきながらサリアに謝ったが、サリアは盗まれた事に関して全然気にしてない様子だ。
「ピッケルなんてどうでもいいのよ、うちの屋根裏部屋にまだたくさんあるしね。それよりも助けてくれたこと、本当に感謝してる。」
「お、おう。良いってことよ!」
俺は再び照れくさくなって別の話を切り出した。
「なあサリア、その屋根裏部屋には他にどんな物があるんだ?」
「気になる?なら来て!案内してあげる!」
サリアはそう言うと俺の腕を優しく掴み、屋根裏部屋まで連れてってくれた。彼女は無意識だが、女の子に触れられるとやはり緊張してくる。なんだか得した気分w
「ここが屋根裏部屋よ!」
「うわ、すっげええ!!秘密基地みたいだな!!」
そこには地球儀やコンパスなどが置いてあり、壁には少し色あせた大きな世界地図が貼ってあった。本棚には本がぎっしり。
「屋根裏部屋ってよりも『2階』って呼んだ方がいいくらいに広いな。天井も割と高いし。」
「お父さんが屋根裏部屋を拡張して作った空間なのよ。お父さん大工の資格も持ってるの!」
「お父さんすげえな!」
俺は屋根裏部屋へと足を踏み入れ、サリアに聞いた。
「それにしてもサリアの父さん武器屋なのに、どうしてこんなに格好いい部屋を作ったんだ?」
「実はお父さん武器屋をやりながら時々、趣味であちこちを旅してるのよ。それで旅の土産物とか手に入れた物とかをここに保管しておいたり、まぁ拠点として使ってるってわけ。」
「サリアの父さんマルチな才能すぎ…w」
「本とかなら触っても大丈夫だと思うよ。」
そう言われたので俺は本棚から本を適当に一冊手に取り、パラパラめくってみた。
すると思いのよらない物が目に映った。
「これ……まさか……」
そこに描かれていたのは俺がこの世界に来て最初に出会った巨大なドラゴンそのものだったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます